見出し画像

組織を腐らせる4つの要因

どうも、組織マネジメントにも興味があるエンジニアのIWAOです。

前回は「組織崩壊の落とし穴」を書きましたが、今回は視座を上げて組織マネジメントの失敗要因に迫ってみようと思います。今回参考にしたのは「失敗の本質」の中にある組織の失敗要因分析です。

この本は戦争で失敗した要因を徹底的に分析してて、マネジメント研修などでも使われる有名な本です。昨今のビジネス戦略も当時の戦略に基づいていることが多いので、組織論においても参考になるのかなと思っています。

ちなみに僕が思う腐った組織とは、仲間が次々と離脱している状態を指します。いつでも仲間を失っていく状況だけは慣れないです。止むを得ない転職でも組織に課題があるかもしれませんね。ではいきましょう!

人間関係を優先した組織

1つ目はみんな気になる人間関係です。日本の組織では日本的な集団主義があって、組織とメンバーとの共生を志向するために、対人関係というメンバー間の間柄を重視した組織になる傾向があります。

昔僕がアルバイトでシフトを組んでいたときも、誰と誰が仲が悪いとかあいつと入ると仕事をサボるから無理とか色々と要望が出ていて大変でした笑。結局、業務を分解して能力のバランスを優先してシフトを組んで、あとは機械的にローテーションさせるようにしました。チームの機能性を重視した結果、全体的に生産性が上がった甘ずっぱい経験を思い出しました。

実際に離職の原因はほぼ人間関係だから人間関係を円滑しようと個々の納得感を満たしたい気持ちもわかります。しかし人間関係を気にし出すと意思決定が遅くなると言われます。

意思決定
納得感:「多数決」>「議論」>「独裁」
スピード:「多数決」<「議論」<「独裁」

意思決定しないと動き出せないトップダウン型の組織では、意思決定の遅延によって行動時間が短縮されて負荷が上がり、意思決定の失敗によって努力が水の泡にもなります。そしてメンバーは疲弊してしまい結果的に離職することが多いです。

つまり意思決定に合理性がなければ納得感は得られず不満を溜めた人は離れてしまいます。特にマネジメント層の人事は人間関係を配慮するのではなく、目的に沿った合理的な人事が求められると思っています。

属人化された組織

続いてみんな気になる属人化ですが、ここでは組織全体つまり各チームを統合するマネジメント層が属人化すると失敗するという法則です。原理・原則を欠いた組織運営になり、計画的・体系的な組織設計を不可能にします。

属人化は百害あって一理ないのですよね。その人しか知らない業務のブラックボックス化は離職リスク負荷集中など多くの弊害が考えられます。マネジメント層の属人化も同じです。

例えばマネジメントが属人化されると、マネージャーの能力や人間性、思考によってやり方が180度変わりえます。仮に無能な人が指揮するとチーム全体の生産性が低下します。やがてマネージャーに負荷が集中し、共有不足や意思決定の後回しなど業務のボトルネックになります。結果的にダメなチームが生み出されるとチーム間の溝を生み、組織全体に悪影響を及ぼします。

対策としては属人化には仕組み化が効果的です。開発領域ではアジャイルフレームワークは有名です。システム化されたやり方に沿ってマネジメントすれば、人的なブレが少なくなるので属人化のリスクは軽減されます。論理的ではなく感情的なマネジメントは昭和の香りがしますよね。

学習不足の組織

失敗から学ぶのはもちろん、組織では環境に適応しながら生き残っていくために学びを共有して組織の改善に取り組まなくてはいけません。具体的にはダブルループ学習を取り入れると良いとされています。

ダブルループ学習とは、既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むことである。 1978年、アメリカの組織心理学者クリス・アージリスとドナルド・ショーンが『組織学習』において提唱した概念。 

組織論ではPDCAサイクルを回すのが効果的とされます。PDCAでは行動と結果の繰り返しに留めずに、失敗から学ぶ「ふりかえり」が重要です。ふりかえりでは失敗を活かすために行動の前提から考え直すことが求められます。

学習
シングルループ: 前提→行動⇄結果
ダブルループ: 前提⇄行動⇄結果

例えば、いくら算数の問題を解き続けても成績が上がらないのであれば、別の参考書を買うとか塾に入るなど前提から変えたいと思いますよね?組織も生存する目的があるので、1つの生命体と捉えると学習は欠かせません。

学習を軽視した組織では、課題を改善できずに失敗を繰り返します。そして組織を良くするための行動指針等は絵に描いた餅となり、本当に取り組むべき問題が何年経っても解決できないという事態を招きます。

感情で評価が左右する組織

最後は評価制度の話です。リーダーの意見に賛同するイエスマンやる気を見せてる無能な人を評価すると組織全体が崩壊します。このような官僚型組織では目標設定と個人責任範囲が不明確である傾向があります。

これは多くの人が目にしてきた事実かと思います。確かにリーダーからすれば、自分の意見に賛同してくれる人は安心感があり、やる気が見えれば精神論を語りやすくなるためリーダーの精神的負荷が軽減されます。

一方、無能な人は転職すると状況が悪化するので現職での出世に力を注ぎます。仮に成果を出さなくても出世できるような官僚型組織であれば、感情に訴えかけることで居場所を確保する余地がある、ということです。そして無能な人は市場価値より高い社内評価を受けるのでコスパが悪くなります。

つまり評価制度に感情が入り込む余地をなくして成果で評価することができれば、評価されなかった人も次の機会に希望を持ってスキルアップに励めます。「え、あのレベルで評価されるの?」という離職の大きなバイアスを排除できるかと思います。

雑感

日本の組織の場合、人が辞めても本当の理由を引き出すことは難しいし、本人も問題の本質に辿り着く前に辞めることも多いです。マネジメントの父もこう語っています。

「組織が腐っているとき、自分が所を得ていないとき、あるいは成果が認められないときには、辞めることが正しい道である。出世はたいした問題ではない」

組織の失敗を分析してきましたが、日本人的なカルチャーに起因した失敗でした。業務が仕組み化されているように失敗を繰り返さないための組織の仕組み化がひとつ。そして行動にスピードを求めるように組織改善のダイナミズムが日本企業には欠けている印象を持ちました。

組織カルチャーも押し付けではなく変えていかないと時代の変化には適用が難しくなりますよね。最近は組織学習というワードが着目されています。特に昨今の大企業の組織学習はベンチャー企業からすれば驚異です。

海外の企業ではGoogleやFacebookなど組織ドリブンで、確固たる地位を築いています。日本の企業でも組織として学習して、組織改善に挑戦し続ける働きがいのある組織が増えると良いなと思っています!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?