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スタートアップ、社長、育休を取る

ミラティブ赤川です。
先週、第二子の娘が生まれ、妻子が退院してくる今週から育休をとることにした。

ミドルステージのスタートアップで社長が育休を取る、というのは、まだまだ当たり前ではないようで、社内外から驚き含みのポジティブな反応ももらった(ポジティブでありがたい…)。
記録兼ねて考えたことを残しておく。意思決定を支えてくれる仲間(メンバーや投資家などのチームミラティブ)に全力感謝して、今日から2週間は全力育児である。

#良妻 がまだ入院中のこの土日は、さっそく息子とふたりで、プレ育休の主夫としてワンオペの家事に忙殺された。
寝付いて解放されたPCでぐったりとこれを書いている。

第二子のはずなのだが、なぜか「はじめての育児」という本を買ったていたらくの自分だ。
次から次にLINEで「あれどこにあるっけ?」と問うて、嫁氏の「前それ教えたじゃん」返答をいざなう「こんな新人は嫌だ!」状態
まずは起業家としてのクリエイティビティの発揮や家事のDXどころか、自分内負債の完済からやらねばならない…。

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7年も前ということもあるが、第一子の時は見事に子育ての記憶がない。
0時までオフィスで働いてまた8時過ぎに出社、が自分の中の当たり前、なんなら責務や分担のように感じていた。

フルリモートで、3食家族でいっしょにごはんを食べる2021年。私自身もだが世の中もずいぶんと変わった。

この10年、日常では世界は分断が進んだと感じていたが、同じだけ寛容も進んだと信じたい。



なぜ育休を取ろうと思ったか。

「取りたいから!娘を少しでも幸福に育てるため!」当然最上位Yesだ。

他は、権限移譲と事業成長が並列で進み、幸いにもまったく問題なく休める状況だから取る、という現実的な話も完全にゼロだとは言えないが、

どちらかというと経営者的には、長い目線でどういう会社にしたいのか、に向き合った時に、口先だけのユーザーファーストでなく、ユーザーに向き合う自分含む構成員自身がちゃんと幸福である、という状況に向き合いたい、と思った。
経営はシンプルな方がよく、シンプルに、メンバーは幸せな方がいい。

幸せの定義は十人十色だが、良いことも悪いことも、誰にでも起こりうるライフイベントには最大限向き合える方が良い。
会社はそれをサポートできる方がよい。
当たり前の制度は当たり前のようにそれっぽく作れるが、変にエクスキューズになるくらいなら、まず上層から言行一致で体現していく方が良い。
実例が積みあがることでしかこの手の申請の心理的安全性は担保されない。
PRだけが目的化していたらヘドが出るが、どうありたいか、実際に行動して、その上で社内外に強く伝わるメッセージの力は借りて良い。

そんな思考回路を取った。(そして偶然、上層メンバーの介護休暇の取得事案も重なった。堂々と取ってほしい)

(*完全に余談ながら、この手の「いい話」とPR・メッセージの葛藤を考える時、いつも震災の直後にPUNPEEがYouTubeにて即アップしたリリックを思い出す。
「これは売名行為だ 少し有名だからできるような売名行為だ 俺らを好きなちょっと不安な人たちが 少し元気になるような売名行為だ」
当時、とても勇気が出た)


「言行を一致させる」。簡単なようでとても難しく、シンプルでいてとても重要なこと。
経営する上で最近はより深く意識している。(同じような考え方で、ミッションがわかりあう願いをつなごう、なら、まず私たち自身がわかりあうことから始めなくては、というふうに、行動指針も1月に改定した)


経営、事業をやっているとこれでもかと言わんばかりに矛盾が出てくる。葛藤の中で、AかBかのトレードオフではなく、AとBとを止揚させて、いかに矛盾が少なく、「自分たちのありよう」と「解決する課題」を一本道にしていくか――。

会社経営を考えることは、存在理由・未来に成し遂げたいことと、目の前の解決すべき課題から始めて、その両端からすべてに通底する芯を通していくことでもある。そして理想と現実の間の矛盾を、根気強く、解きほぐしていくこと。

引き裂かれそうな時こそ、掲げた理想に立ち返る癖が本当に重要になる。
そこから取るアクションは完璧でなくても良い、のだと思っている。理想に近づく小さな行為の連続だけが理想への道筋だと信じている。

そんな経営の長い営為の一貫に、メッセージとしてのスタンスも込めて代表の育休取得も位置づけられるとよい、と思った。そんなところだ。


自己主張と寛容、利己と利他、それらのグラデーションの中に「わかりあう」ためのピースは潜んでいる。
我々の毎日は前提ヅラした無意識バイアスに溢れている。0歳児との向き合いで、汚れのない赤子の眼を借りるつもりで、改めて世の中・社会・会社を見る時期にしたいと思う。それをケチな経営者として企業価値にももちろんつなげていく。

そんなふうに「はじめての育児」に明日から取り組む所存。余裕があったらまた経過や感想などもつづることとします。拝啓、目指せ、ジョンレノン!

*関係各位、しばらく反応が鈍くなるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします


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