2022年私的コンテンツベスト3

タイトルまんまです。
去年も一昨年もやったやつ。

去年末に出すつもりだったのにみじんこも間に合わんかったし、なんなら今も間に合っていないけど、途中まで書いてたので出すだけ出します…。

しかも、2022年は3つに絞れず、4つです。

2022年は以下の4つが個人的ベストでした。
①キヨさんのゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』実況
②アニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』
③esportsチーム「ZETA DIVISION」によるVALORANT世界大会3位
④ポケカメンさん・ゆきむらさん・鬱くんによる暴露配信

①キヨさんのゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』実況

まず、『ブレワイ』がゲームとしてむちゃくちゃおもしろくて個人的にも大好きなゲームという大前提がありつつ、そういえばキヨさんの動画をあまり観たことないなあと思って視聴を始めましたが、むちゃくちゃおもしろかったです…

ゲーム実況というと、もはやライブ配信によるノーカットが主流ですが、"動画編集"でゲームプレイをおもしろく魅せる元祖的なスタイルのおもしろさを実感したと言いますか…

とにかくむちゃくちゃ笑いました。

4時間ぐらい収録して1時間ぐらいの動画の長さになる云々という話もあり、長尺の動画素材をどう取捨選択して切り貼りしてひとつの動画として成立させてるのか、収録時・編集時の頭ん中を覗いてみたい…

ゲーム内でのアクションと、それに対するリアクションをとにかくひたすら繰り返して取れ高を作ってるのかなあとか考えたり(リアクションモンスターのキヨさんと、ひたすら繰り返すアクションに対して何かしらが反応が起きるブレワイの緻密さが上手く噛み合った感)

加えて、キヨさん自ら"フリ"をすることで、さらにリアクションの機会を作っているというテクもありそう。宝箱の中身で何がほしいかという要望を言葉にして、実際の中身で一喜一憂。そのフリの集大成が祠の名前あてゲームのあの名シーンに繋がるわけで…

日本のゲームコミュニティを代表するゲームタイトルとゲーム実況者がむちゃくちゃいいかたちで結実した作品はさすがのおもしろさでした。

②アニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』

詳しいあらすじとかはとりあえずこのPVを観てくれたらいいです。


とにかくむちゃくちゃカッコいいアニメだった。
観終わったあと、「こういうアニメが観たかったのだよなあ…」という余韻がふつふつと。

一本のガチッと筋が通ったストーリーが、キャラクターやアニメ表現の過剰さによって、研ぎ澄まされた釘バッドのようで、それでぶん殴られ続ける感覚。しかも、ノンストップで。

脳みそすっからかんでもとにかく「カッコいい」。

こんなにも壮大で破滅的できれいな物語だけど、作品の舞台であるナイトシティにとっては、きっと取るに足らない些末な出来事なんだろうなあ…という虚しさがあるというか、世界の広さを感じられるのがいいですね。

根本的に、好きなアニメはだいたい「惚れた女の子のために命を懸ける男の子」的なジャパニーズアニメーションによくあるボーイミーツガールモノと、アウトローなやつらがドンパチやる系が好きなので、その両方が兼ね合わさった本作がブッ刺さらないわけがなく。

2022年のみならず、近年のアニメでは一番好きでした。


③esportsチーム「ZETA DIVISION」によるVALORANT世界大会3位

ただただ熱かった。2022年でテンションが爆上がった瞬間はこれ以外にない。

海外も含めたFPS系のesportsのメインストリームにおいて、これまで日本のesportsは実力的に劣っていたとされてきた。
その中で、大会のミラー配信を中心として、esportsとストリーマーシーンが上手く混ざり合い、熱量や注目度がバチバチに上がっていた中で、まさかの世界第3位という快進撃。

いやもう最高でしょ。

個人的には、2018年ぐらいからesportsを追い始めたけど、当時は「ストリーマーのライブ配信はおもしろいから観るけど、プレイが上手いだけじゃesportsが流行るのは難しいのでは…」みたいな雰囲気がありました。

そんな頃に、いまのesportsの発展に欠かせないと思う、同じくVALORANTの競技シーンでも活躍するCrazy Raccoon(とCRカップ)が登場し、ストリーマーとesportsプレイヤーを繋げるエポックメイキングな存在になると勝手に注目してたんですが、

第一回目のCRカップから始まり、回を追うごとに規模も影響力も大きくなっていき、大会観戦という行為がポップな存在になっていきました。

そのコミュニティが盛り上がり広がることで、2018年より以前からesportsに魅了されてたストリーマー(3BRやk4senさん等)やesportsプレイヤーたち(Absolute JUPITER等)とも合流し、コミュニティの熱量が最高潮に達していたところで、ZETAの快進撃というストーリー…

正直、今後、日本のesportsチームがVALORANTの世界大会で優勝したとしても、自分の想像を越えてきた去年のワクワク感や衝撃に勝る感動はないんじゃないかと思ったりしてます。


④ポケカメンさん・ゆきむらさん・鬱くんによる暴露配信

2022年で一番よかった。

2022年の歌い手(イケボ・声真似界隈とか含めてその辺)というコミュニティ・文化を象徴するような事件でした。

そして、それは歌い手文化とも近しく、2020年以降に大きく躍進したVTuberやストリーマーコミュニティに対するカウンター的な出来事でもありました。

それは、つまり、成熟したVTuber・ストリーマーコミュニティと、未成熟な歌い手コミュニティとの対比。

まずは状況の整理。

ざっくりまとめると、
・成熟化するライブ配信コミュニティ
・グループ化する歌い手たち
・晒しや暴露を内包して成長する歌い手コミュニティ

ちなみに、今回の文章で触れる歌い手コミュニティは、ツイキャスを出自・文脈として持つ歌い手(イケボ・声真似界隈等々含む)のことをざっくりと示します。
※まふまふさんを代表とするような歌い手の文脈とはまた別

2018年後前後からVTuberおよびCRを中心としたコミュニティが盛り上がり始めました。当初のこのコミュニティがどう発展していくのか?というワクワク感。

そしてそれは、2020年のCRカップへの山田涼介さんの参戦やにじさんじの上場などを経て、コミュニティとしてひとつの到達点に達したと感じています。

多くのユーザーに愛されるコミュニティになり、成熟したともいえます。同時に、成熟したからこそ、未成熟なものはどんどん生まれなくなっている。

"人権"発言をしたストリーマーが問題化するように、コミュニティの成長にあわせて、アウトなものはアウトだよねっていう社会性・公共性を獲得していく。

また、ライブ配信コミュニティが盛り上がった理由のひとつとして、グループ化・集団化が必要な要素だったと考えています。

にじホロは言わずもがな、CRカップを中心としたストリーマーコミュニティ、そして、すとぷりの躍進。

すとぷりの成功もあり、多くの歌い手たちがグループを組むようになっています。

人気を獲得するためには、コミュニティに属することが大事であり、そのコミュニティの空気を読んで上手く立ち回る必要があります。

だからこそ、例えば、コミュニティに属するほかクリエイターの暴露や晒し行為は、コミュニティから排除される可能性が極めて高い、リスクある行為です。

ただ、その中で、歌い手文化は晒しや暴露というコンテンツと相性がいいと考えています。

相性がいいというか、ツイキャスを出自とする歌い手コミュニティ(イケボ・声真似界隈等)は、同じくツイキャス主のコレコレさん(晒しや暴露)を内包して成長してきた側面があると考えています。

そして、現在の歌い手コミュニティの特徴としても、暴露系でありながら、歌い手グループのひとりとして活動しているポケカメンさんの存在も大きいです。

ポケカメンさんが所属するちょこらびは登録者数24万人で、歌い手グループの多くが20万前後であることを考えると、歌い手コミュニティにおいては無視できない存在です。

暴露系のポケカメンさんがコミュニティの一員として、ある種のキーマンのひとりとして影響力を持っているという歌い手コミュニティの特異性。

もちろんVTuberコミュニティにも鳴神裁さんなどのいわゆる暴露系はいましたが、ある程度の影響力はあれどあくまでもコミュニティにおいては末端の印象でした。

現在の歌い手文化の魅力は、未成熟がゆえに、そういった危うい存在が排除されていないことにあります。

そして、だからこそ、新しい何かが産まれそうな期待感もあります。


という前提がまずあり、

その上で、だからこそ、2022年において、ポケカメンさん・ゆきむらさん・鬱くんが行なった暴露配信はむちゃくちゃおもしろい配信企画だったと考えています。

歌い手コミュニティの特異性が、最大火力で剥き出しになった瞬間でした。

そして、その暴露の内容はそれぞれグループ化する歌い手・成熟化しようとするコミュニティを起因とするような、それらに対するカウンター的な内容でした。

いま最も勢いのある歌い手グループ・いれいすに喧嘩を売るポケカメンさんやKnightAを脱退して個人で活動し始めたゆきむらさん、鬱くんと元々仲よかったまぜ太さんがAMPTAKに加入することで生まれた軋轢。

社会的な通例や会社運営云々のことを考えると、本来ならださないよねっていう情報を出し、配信上のコンテンツにするという行為。

それは企業と個人という立ち位置の違いにも感じます。究極的には、"個人"としてお金を稼ぐことができる現代のインターネットにおいて、企業にはできない企画ができることは、個人にとっては強みのひとつです。

暴露や晒しは非社会的な行為ではあるけれど、個人が数字を獲得する上でとりえる選択肢のひとつです。

いれいすの代表としてないこさんの対応は正しいし、インディペンデントなクリエイターであるポケカメンさんの戦略としてもアリだと思います。

企業としてたち振る舞うこと(成熟化)に対する、背負うものが己に帰結する個人(アマチュアリズム)という対比(ポケカメンさんの場合、その上でちょこらびに影響が出るっていう矛盾があるのがまた興味深いのですが…)。

成熟することの魅力もあるし、未成熟だからこそ生まれるもののおもしろさもある。

そして、ゆきむらさんや鬱くんに関しては、グループ化するコミュニティを起因とする内容でした。

グループ化が勝ち筋な時代において、「じゃあ、グループ化しない個人は勝つことができないのか?」という単純な疑問と興味。

特にゆきむらさんは企業に所属してコントロールされるような性質ではないけれど、そのパフォーマンス性の高さは、現代の歌い手コミュニティにおいても群を抜いています。
※とある配信で、オリジナル曲のENVYを流しながらアジテーションを行なうことがあったのですが、そのドライブ感はむちゃくちゃすごかったです。

この3人による暴露配信は、社会性を獲得しグループ化するコミュニティに対して、ある種の牙を剥く内容であり、もっといえば、歌い手に限らず、成熟化・コミュニティ化するVTuberやストリーマーコミュニティなどのライブ配信文化をも象徴する事件でした。

真面目さやまともさが大事な時代で、グループやコミュニティが勝ち筋な時代において、問題児たちは勝つことができるのか?

そして、危ういものを内包し成長する歌い手文化の性質も含めて、その"邪道"が成立する可能性があるかもしれないと考えていて、このどう転ぶかわからない感じがめちゃくちゃおもしろいです。

そもそも、ヒトは清廉潔白なクリエイターや作品だけでなく、危ういもの・ゴシップなもの・トキシックなもの(=アンチモラル)も消費してしまう性質があるとも思っています(昨今話題の晒し行為や"文春砲"という言葉が存在してしまうのがヒトの世でございますので…)

もちろんコミュニティが拡大することで、歌い手文化も健全化していく可能性は大いにあるけど、そこも含めてどうなるか?っていうのは見てて楽しいです。

ここからは少し話を広げて、現在の歌い手コミュニティについて補足となります。

その特質性やいまのコミュニティのカオス感を考える上で、アイデアのきっかけとなったクリエイターがいます。

ニキさんです。

個人的には2022年のポップカルチャーを語る上で重要なクリエイターのひとりだったと考えています。
※2022年にブレイクして、YouTubeの登録者数が大きく伸びたことも含めて

ニキさんは、歌い手的なスタイル(アバターではなくキャラ絵による編集動画・マスク顔出し等)ながらも、イケメン王子というキャラクター設定(VTuber的スタイル)を生かした動画を作っており、動画内容はYouTuberのジュキヤさんを参考にしたゴシップ・下品な内容で、ゲームのVCによる野良プレイヤーとのコミュニケーションを動画化し、それがTikTokやYouTubeのショート動画でバズるという、現代を代表するポップカルチャーを横断的に取り入れたキメラ的なスタイルです。

歌い手的な文脈・コミュニティから、キャラクター設定とその設定にあったキャラクターデザインをとりいれた手法が生まれたことは、VTuberという文化が花開き、浸透したからこそ生まれたかのようなVTuber以降の新しいスタイルです。
※歌い手が2Dアバターを取り入れることはよくあるけど、"キャラクター設定"はほぼ初?

さらには、VTuber文化において語られがちなキャラクターと中の人の関係性としても、ニキさんは中の人がマスク顔出しでも登場しており、"イケメン王子のニキさん"というキャラクターがニキさん本体の人格と切り離されて、ショート動画におけるコンテンツのひとつとして成立している構図がおもしろいです。

動画の内容も、お茶の間で観ることが憚られるような下品な内容で、正直これいまのライブ配信コミュニティでやったら炎上するだろうな…という内容もあったりで、その非健全性・お行儀の悪さはいまのYouTubeを中心としたインターネットカルチャーにおいては珍しくなっています。

ただ、ある種の周縁からこういったクリエイターが登場し、メインストリームに食い込み始めてきているのは文化的にはむちゃくちゃおもしろいなあと考えています。

非社会的なコンテンツが存在できる未成熟さ・アマチュアリズムが色濃い歌い手文化だからこそ、なにか自分の期待や予想を超えてくるような何かが生まれるかもしれない。

2022年の前半におけるニキさんの台頭を追いながらそう仮説を立てて歌い手文化を見てたら、いまの歌い手文化を象徴するようなやべえ事件が11月に起きたので、

個人的には2022年の歌い手コミュニティは新しいムーブメントの登場やニュース性が高くてむちゃくちゃおもしろかったです。
・すとぷりのあれこれ
・いれいすの躍進
・ポケカメンさんやゆきむらさんの問題児ムーブ
・ニキさんやめろんぱーかーさんといった歌い手的なスタイルながらも出自や文脈が異なるクリエイターたちの登場
などなど

2022年の歌い手コミュニティは大きな地殻変動があった中で、2023年はさらに加速するのか?それともそのまま特に変化なく進んでいくのか?

個人的には、何か自分の想像を超えてくるやべえことが起きるといいなあと楽しみにしています。

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