あなたは『人よりちょっと詳しいこと』をどのくらい持っているだろうか？

たとえば、

学生時代はサッカー部だったから、サッカーならちょっと詳しい。

不動産業界に勤めているから、不動産のことならちょっと詳しい。

コンビニスイーツが好きだから、各店舗のスイーツならちょっと詳しい。

人それぞれ、得意な分野はさまざまだろう。

最近わたしはコロナで家で過ごすのが多いこともあって、いろんな情報を目にするようになった。

ストレングスファインダー（自己分析ツールのようなもの）で「学習欲」がトップ5に入るわたしは、『〇〇ってなんだろう？？？？？』という好奇心に身を任せ知らないことを学ぶのが大好きで、自然と知識が増えていった。知識といっても『ちょっと詳しい』レベルなのだけど。

そこでわかったのが、『ちょっと詳しい』が増えると世界の見え方や社会の見え方が変わるということ。

まさにそれまでぼんやりとしていたものや、視界にさえ入らなかったものが見えるようになる。まるで特殊なメガネをかけたようなのだ。

政治にちょっと詳しくなると、日本や海外の政治に意見を持つようになる。

日本の国の制度や法律、税金の使い道がどうとか、わたしの住むスペインの今後の経済状況はどうとか、少子化対策に熱心なハンガリーの政策をみて日本ではできないのかとか……

日本の大学の学費ってなんであんなに高いんだろう、そもそも日本で子どもができたら親が一生懸命教育費を貯めなきゃいけなくなる（もしくはそういった費用の捻出を懸念して子作りを躊躇してしまう）のはどうなんだろう、と思ってから、日本の教育環境に疑問を持ちはじめたりした。

社会問題にちょっと詳しくなると、人類が今向き合っている課題やすべき行動が見えてくる。

環境問題の深刻化から世界各国のエネルギー発電方法はどうなのかとか、海に流れている大量のプラスチックごみからプラスチックの消費について考えたりとか、SDGsの取り組みの中で何か自分にできることはないかとか。

前は節約のために家の電気や水使用に気を配っていたけど、今はそれよりも極力地球のエネルギーや水資源を使わないことに気を配るようになった。

社会を構成する産業にちょっと詳しくなると、かつて就活で落とされたあの企業が社会にすごく大切な企業だったんだと気づく。（遅い）

普段の生活ではあまり馴染みのない電子機器産業や鉄鋼業、化学や繊維産業などどんなふうに社会に役立っているのかを知って純粋に尊敬の念がわいたり、今となっては従事者が減ってきている農林水産業がいかに大切なのか改めて気づかされたりとか。

社会を良くするために事業を立ち上げているスタートアップ企業や若い起業家を見ていると、すばらしいことに人生を捧げているなと応援したくなる。

WEBのことにちょっと詳しくなると、普段なにげなく見ていたWEBサイトが「あ〜、こうやってできてるんだ」という技術的な視点が出てくる。

これまでは消費者の目線でサービスを見ていたのに、今となっては作る側の視点に立ってサービスの構成や狙いを考えるようになった。

ともかく「興味がある・ない」とか「普段何をやっている・考えている」とかの自分を取り巻く世界は、

あたりまえだが「知っているかどうか」にすごく影響を受けやすい。

たとえば街中のテレビでサッカーの試合が流れていても普段ならすっと通りすぎるが、そこに知ってる日本人選手が1人いたらちょっと立ち止まって見てしまうのではないだろうか。

よくわからない外国人選手がテニスの試合をしていても「何かやってるな」程度でさらっと流してしまうところを、もし大坂なおみ選手がプレーしていたら「お、勝ってるかな？」と目を奪われるかもしれない。選手の背景や特徴などを思い浮かべて、応援に力が入るかもしれない。

知っている対象がそこにあると、同じような情景でも見方は変わってしまう。知識量が増えることで、社会はよりくっきりとしたものになるのだ。そして何より楽しい。

近くにあるパン屋さんのパンも、作っている人の想いを知ることでパンがより一層美味しく感じられる。

パンの製造過程や原料を知ると、よりパンに興味を持てる。

「わからないことが一番怖い」と言われてるのも、同じようなことだろう。怖いものに近づこうと思う人はなかなかいないからだ。

だからこそ生きているうちに『ちょっと詳しいこと』を増やしていって、物知りメガネのレパートリーを増やしていこうと思う。

とくに本屋さんは物知りメガネを試し放題の絶好の場所だ。

ちらっと立ち読みすることで物知りメガネをかけては外し、かけては外し、自分にピッタリとフィットするものを選べる。

バラエティ番組を見ながらゲラゲラ笑うのも楽しいけど、池上彰さんの番組を見て『ちょっと詳しいこと』を増やすのもいいかもしれない。

物知りメガネをたくさん持ち歩いて、新たな目で世界を楽しんでみよう。