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【東南アジア旅行記】旅の準備編#1 自己紹介と旅の始まり(まんが)


 ベトナムで入国規制が撤廃された、というニュースを読んだことがきっかけだった。それで、手始めに一週間くらい、ハノイかホーチミンにでも行き久しぶりの海外旅行を堪能しようと考えた。ちょうど同じ頃、あまりにも飛行機に乗りたいという気持ちを持て余していたわたしは、2022年9月から10月にかけて何度も飛行機に乗り各地を往復しながらANAのステータス会員を目指す、いわゆる「修行」を行なっていた。コロナウイルスの影響で海外はおろか国内旅行すら多くの障壁があった時期、しかしこの頃になってくると国内の移動は少しずつ動きを再開しており、ついには海外への移動に関しても入国制限を撤廃する国が出始めていた。それがベトナムだった。

 その時のわたしは、体調不良を理由にイギリスの大学を休学し、日本に帰国していた。そんな休学も二年目に入り、ついに体調が回復してきた頃、わたしのやりたいことの中にはいつだって「旅行」という選択肢があったということを不意に思い出した。パンデミックは、そんな単純な楽しみすらわたしたちから奪っていたのだ。

 わたしは地図を広げて、ベトナムに狙いを絞り数年ぶりの卓上旅行をはじめた。すると、早速多くのことがわかってくる。ベトナムは縦に長く、そのあちこちに見所が散らばっているため、一週間程度では見切れないこと。そして、ベトナムだけではなく周辺諸国も国境の往来を再開しはじめていること。さらには、丁度わたしは日本にいるためアジア諸国へのアクセスがよく、時間もたっぷり取ることができる状況にあること。そこまで考えた時、わたしは「修行」の最後の便を国内の往復ではなく、海外旅行へのきっぷとすることに決めた。そして期間も一週間から大幅に伸ばし、七週間の旅路へと決意を固めていた。期間に関しては、ステータスのためのポイントを計算していたこともあるが、航空券の価格変動などに気を配りつつ大まかな日付を決定し、2022年内に帰国できるように最終日を設定するところから逆算して確定していった。途中、万が一コロナウイルスに感染してしまった場合のことなども踏まえ、各国における病院の対応の確認や、旅行先の国において隔離された場合でも無理なく年末には帰国できるような日程であることなどを考慮した。最終的には、最後の国となるベトナムのみ、万一の滞在延長に備え観光ビザの延長を申請した。

 この時期、わたしは海外における大学生活や自身の将来のことについて何かと答えの見えない憤りの中にいて、いつも不安で仕方なかった。身近な人たちの死に触れる機会がなぜだか増えたのもこの頃であった。そんな不安定な時期の只中にいたからこそ見えたものが沢山あった旅路になったと思う。そして、毎日欠かさずつけた手記を振り返りながら、もう一度あの旅について自分なりに整理をしたいと考えるに至り、その内容の全文を書き起こすことに決めた。以降の旅行記は、誤字などの軽微な修正、および第三者に公開するにあたりあまりに説明不足になってしまっている部分の補足等をのぞき、当時書いたものをそのまま書き写していく予定である。「旅」と呼ぶにはすこし短い、しかし手記として公開するにはすこし長い道のりになると思うが、寝る前ベッドのなかで、あるいは朝日とともに、日々の穏やかな時間に静かに寄り添わせてもらうみたいにしながら、わたしの旅路にこっそりと同行するような感覚で読んでもらえたら嬉しい。

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