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消防ヘリで補助犬ユーザーと補助犬救助?!~介助犬編~

令和6年能登半島地震により被災されたみなさま、関係者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈りしております。


はじめに

先日、浜松市消防航空隊の皆さんの訓練にご協力してきました。
一体、どんな訓練かというと…
補助犬ユーザーと補助犬をヘリコプターで救助する!

浜松市消防航空隊のヘリコプター「はまかぜ」

なぜ、浜松でこのような訓練を実施することになったのかについては、こちらのnoteをご覧ください。

当日は、盲導犬、介助犬、聴導犬のユーザーさんたちがパートナーである補助犬と一緒に訓練に協力をしてくださいました。

訓練の概要はPRTIMESのリリースでご覧いただけます。

今回のnoteでは「介助犬編」として、肢体不自由者と介助犬のヘリコプター吊り上げ救助の方法をご紹介していきたいと思います。

訓練にご協力いただいた介助犬ユーザーさん

訓練のポイント

☆肢体不自由者への対応

今回は、専門家である作業療法士(OT)4名の先生方にもアドバイスをいただきながら、慎重に訓練を進めていきました。

ご協力いただいた浜松医科大学付属病院のOT。実際に要救助者の体験もしていただきました

介助犬ユーザーは手や足に障害のある方です。その障害は一人ひとり異なります。それぞれの障害の応じた対応が必要となります。

救助の際に配慮すべき点として、まずはその方が「身体を動かすことができる範囲を丁寧にヒアリングする」などのアドバイスをいただきました。

「〇〇さんが動かすことのできる範囲はどこですか?」等とヒアリングします

訓練の流れ

救助の手順は以下のような流れになります。

①介助犬に救助用ハーネスを取り付ける
②介助犬ユーザーに救助器具を取り付ける
③介助犬ユーザーの吊り上げ救助
④介助犬の吊り上げ救助

救助の前に…

上記、訓練のポイントでお伝えしたように、介助犬ユーザー自身のことについてヒアリングした後は、介助犬に関することについても確認します。
ユーザーが救助された後は、隊員が介助犬をコントロールしなければなりません。介助犬への最低限の指示語、「ステイ」(その場で待て)、「OK」(動いていいよ)の確認も忘れずに行います。

①介助犬に救助用ハーネスをつける

まずは介助犬に救助用のハーネスを取り付けます。
ハーネスは犬用に作られたもので、海外でも使用されている頑丈な素材でできています。

ハーネスはゆるみのないよう、しっかりと取り付けます

もちろん、介助犬はこんなハーネスをつけるのは初めて…!しかし、ユーザーや隊員さんが優しく声かけしながら着用させたため、ちょっと不思議そうな顔をしながらも、全く嫌がることはありませんでした。

②介助犬ユーザーに救助用ハーネスをつける

続いては、介助犬ユーザーにも救助用ハーネスを取り付けます。
今回は、エバックハーネスという、身体を包み込むような形のハーネスを利用しました。

まずは、ハーネスに両腕を通します。

その後、お尻の下にハーネスをくぐらせます。

今回、訓練にご協力いただいたユーザーは、上肢の力が強く、短い時間であれば自分の身体を支えることができたため、まずは車いすの上で「プッシュアップ」をして体を浮かせてもらい、ハーネスをお尻の下に通しました。

最後に身体の正面でカラビナをとめて、完成!

③いよいよ吊り上げ!まずはユーザーさんから…

浜松市のヘリコプター「はまかぜ」は、機体がコンパクトだという事情もあり、今回は「隊員+ユーザー」→「隊員+介助犬」の順番で救助を行います。(今回はヘリコプターのエンジンをかけずに訓練を行いましたが、実際の救助の場面ではヘリコプターは上空でホバリングしています。)

まずは吊り上げされる場所で、2名の隊員が声を掛け合って、ユーザーを車いすから降ろします。

1名の隊員がユーザーと一緒に吊り上がり、ヘリ機内へ。

④次は介助犬の番!

続いて、残ったもう1名の隊員と介助犬が吊り上がります。
「上がるよ、大丈夫だよー」
という隊員の優しい声かけで、介助犬も落ち着いたまま機内に収容することができました。

訓練動画のご紹介

上記訓練の様子は、YouTube動画でもご覧いただけます。

まとめ

今回の駐機訓練が安全に行われたのは、この日に向けて浜松市航空消防隊の隊員さんたちが、真摯に訓練を重ねてきてくださったからこそです。

ご協力いただいた介助犬ユーザーさんも、
「こんなに真剣に取り組んでくださって、感激しました。もし救助されるようなことがあっても、安心ですね。こういった取り組みがあることを介助犬ユーザーの仲間たちにも伝えていきたいです。」
とおっしゃっていました。

改めて、万全な準備を整えてくださった、浜松市消防航空隊の皆さんと、ご協力いただいた介助犬ユーザーさんと介助犬、作業療法士の4名の先生方、千葉介助犬協会のトレーナーさんに心より感謝申し上げます。

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