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青森県知事選挙、立憲民主党も「自主投票」の意味合い

 今朝の新聞(東奥日報・デーリー東北)に、立憲民主党が県知事選挙における独自候補の擁立を諦め、「自主投票」とすることを決定した、という記事が載っていました。
 ご存知の通り、自由民主党の青森県連も今月上旬、県知事選挙を「自主投票」とすることを決定していますが、当然のことながら、自由民主党と立憲民主党の「自主投票」の意味合いは全く異なります。

1.自由民主党の「自主投票」の意味合い
 今回の青森県知事選挙は、5期・20年間にわたって務めてこられた三村申吾知事が退任されることが決まっており、青森県としては20年振りに新しい知事が誕生するという大変重要な選挙です。
 その知事選挙に、わが自民党が誇る若手市長である、宮下宗一郎・(前)むつ市長と小野寺晃彦・青森市長が立候補を表明しました。
 自民党青森県連では、お二人から立候補の決意や政策などを聴取し、県議や各支部の意向も確認しながら検討を進めてきましたが、最終的に津島淳県連会長に一任し、その津島会長の提案を総務会が承認する形で「自主投票」とすることを決定しました。
 私は、津島会長のご決断は、素晴らしいご英断だったと思っています。
 そして私なりに、「自主投票」の意味合いは以下の3つと考えています。

1)自民党の県連・党員を分断しないため
 宮下前市長は、43歳という若さにして、むつ市長3期目という実績があります。
 同じく小野寺市長も、47歳という若さにして、青森市長2期目という実績があります。
 お二人ともに、自民党が産んだ、青森県が誇る若くて優秀な政治家です。
 他県の国会議員からは、「若くて優秀な市長が2人も知事選挙に立候補するなんて、青森県の自民党は羨ましい(選挙は大変だろうけど)」と言われています。
 当然ながら、自民党の党員も、そして県民も、どちらが知事に相応しいのか、意見が真っ二つです。
 どちらも立候補に強い意欲を示していて、一本化することは難しいという状況において、県連としてはどちらか一方を推薦することも検討しましたが、議論を進めても二人のどちらを推す声も強く、どちらか一人のみを推薦とした場合には、自民党の県連や党員が分断される懸念が強まりました。
 推薦を検討する総務会では、片方の素晴らしい点を挙げると、もう片方も負けていないという意見が続き、最終的には「どちらも素晴らしい候補じゃないか」「それなら両方推薦するべき」という声が強まりました。
 こうした状況を踏まえて、最終的に津島淳県連会長から「自主投票」というご英断が下ったものです。

2)知事選挙後の県政をスムーズに進めるため
 この「自主投票」には、知事選挙後の県政をスムーズに進めるため、という意味合いもあると思っています。
 同じ自民党系の候補者のどちらかのみを推薦し、両陣営が分断された形で激しい選挙戦を繰り広げれば、最初は同じ自民党系だった両候補者の陣営も、選挙後には「勝ち組」と「負け組」に真っ二つになってしまう可能性が高くなります。
 当然、知事選挙後に何事もなかったように「ノーサイド」とすることは難しくなるでしょう。
 一方で、「自主投票」ということでお二人が正々堂々とがっぷり四つで戦い、最終的には自民党員・青森県民がそれぞれの判断で知事を決定したということになれば、大きなしこりも残らず、「ノーサイド」とすることができると思われます(まさに2021年の八戸市長選挙がそうでした)。
 どちらが新知事に就任しても、新しい県政を作っていく中で、自民党・公明党の国政・県政の与党とうまく連携していくことが必要となります。
 新知事就任後の県政をスムーズに進めるためにも、自民党県連・党員の分断を回避し、知事選挙後に再び「一枚岩」になれる形を取る必要があります。
 その形こそが「自主投票」だったと思っています。

3)お二人とも末長く青森県を担っていただくため
 何度も書きますが、宮下さん・小野寺さんともに、自民党が産み育ててきた、青森県が誇る大変優秀な若手政治家です。
 お二人には、青森県のためにも、そして国全体のためにも、今後10年、20年にわたってご活躍いただく必要があります。
 今回の知事選挙によって、どちらかを切り捨てるのではなく、お二人の良さを思う存分アピールしていただき、知事に就任される方はもちろん、知事に就任されない方にも今後につながるような選挙戦を戦っていただく必要があります。
 そのためにも、宮下さん・小野寺さんのお二人には、ご自分らしさを遺憾なく発揮し、相手に対するリスペクトを忘れずに、青森県の未来を存分に語っていただきたいと思います。
 知事選挙が終わった時に、青森県民が明るい気持ちになり、将来に希望が持てる、そんな選挙戦にしていただきたいと思っています。

2.立憲民主党の「自主投票」の意味合い
 以上が、自由民主党としての「自主投票」の意味合いになりますが、それは当然、今回の立憲民主党が下した「自主投票」の意味合いとは異なります。
 当然のことながら、立憲民主党がどのようなことを考えて「自主投票」という決定を下したのか、本当のところはわかりませんが、私としては以下のように考察しています。

1)二人を上回る候補者が見つからなかった
 今朝の新聞には、立憲民主党の田名部匡代県連代表が、記者会見で「どちらも素晴らしい、優秀な人材」とコメントしたという記事が出ていました。
 まさに、田名部匡代代表の一言に尽きると思います。
 新聞には「(立憲民主党の)人材不足」という言葉も見られますが、私はそうは思いません。
 そうではなく、宮下さん・小野寺さんを上回る能力・実績・魅力を備えた人材は、そもそもなかなかいないということだと思っています。
 そして、立憲民主党の立場からみても、このお二人のどちらが青森県知事になっても立派な県政を実現してくれるだろうという(消極的かもしれませんが)期待もそこに含まれているのではないかと私は感じました。

2)三村知事・県政与党の政策への評価
 宮下さん・小野寺さんは、(少しニュアンスの違いはあっても)どちらも三村県政を高く評価し、その良いところはしっかりと受け継いでいくと表明しています。
 また、自由民主党・公明党の国政与党とも緊密に連携していくことも表明しています。
 そのお二人に対して「自主投票」を表明したということは、これまでの三村県政に対して対立候補を立てるような大きな論点が存在しないということ、三村知事の20年間に対して(消極的かもしれませんが)一定程度評価し、それを継承することに対して異議を唱えないということを表明しているとみることもできます。
 つまり、三村知事の進めてきた県政、そして自民党・公明党の進めてきた県政に対して、その正当性をある程度認めざるを得なかったということではないかと私は感じました。

(3)留意点
 立憲民主党など、野党の動きについて、一つ留意しなければならないことがあります。
 「自主投票」という決定を受けて、これから立憲民主党などの野党側からも、「宮下さんを支持したい」「小野寺さんを応援したい」という動きが出てくるものと思われます。
 そうした動きについて、良い方に捉えれば、「野党にも支持される、オール青森県の知事が誕生する」と考えることができます。
 普通に考えれば、野党と言っても「勝ち馬に乗りたい」ということだと考えられます。
 そして穿った味方をすれば、自民党系の候補のどちらかを応援することで、自民党側の選挙戦略を混乱させる目的があるかもしれません。
 つまり、「あいつは野党系だ」という印象を持たせることで、自民党員の投票行動を反対側の候補に誘導しようという考えがないとは言い切れません。
 自民党県連や自民党員としては、こうした野党側の動きに惑わされないよう、まさに「自主的に」判断し、行動することが求められます。
 これも「自主投票」の難しいところかもしれません。

3.「自主投票」に対する私の立場
 「それでは、自主投票に対する神田潤一の立場はどうなんだ」と聞かれることが増えています。
 私の立場は以下の通りです。

1)現時点で、私はお二人とも応援します
 何度も書いていますが、宮下さん・小野寺さんお二人とも、自民党が産んだ、青森県が誇る優秀な若手政治家です。
 なかなか甲乙つけ難いと考えています。
 また、津島県連会長が「自主投票」を決定した経緯や意図を考えても、国会議員という私の立場で、少なくとも県議会議員選挙が終わるまでは、どちらかを応援するという形を明確にすることはしないつもりです。
 国会議員としては、県政から独立し、「自主投票」を決定した津島県連会長を支える立場として、あまりどちらかに偏った応援の仕方は避けるべきと考えます。

 結論として、現時点では、私は、お二人とも応援する立場です。

2)自民党の皆さんはどちらを応援して頂いても構いません
 自民党の皆さんには、(県議会議員、市町村議会議員を含めて)それぞれの考えに沿ってどちらかを応援していただいても構わないと思っています。
 それも「自主投票」の一つのあり方です。
 ただし、どちらかを応援する際に、誰かに自分の応援する候補者への応援を強要・強制することは「自主投票」の趣旨にそぐわないものと考えます。
 また、自分が応援している方ではない候補者・陣営へのリスペクトも忘れないようにお願いしたいと思います。

 あくまでも、同じ志を持つ仲間から次のリーダーを決めようとしていることを忘れないように、正々堂々とフェアな選挙を戦っていきましょう。

3)お二人にはどんどん県民の中に入っていっていただきたい
 そして、宮下さん・小野寺さんお二人には、この機会にどんどん県民の中に入っていき、ご自分の政策や青森県の未来を語っていただくとともに、県民の方々の声に真摯に耳を傾けていただきたいと思います。
 この選挙戦を通じた、県民一人一人との触れ合いや、一人一人から寄せられた声が、選挙が終わってからのお二人の血となり肉となって、さらに素晴らしい活躍をしていただけるものと信じています。

 宮下さん・小野寺さんお二人には、是非とも、青森県の将来に希望が持てるような、爽やかで清々しい選挙を戦っていただきたいと思います。
 私は、お二人の選挙戦を、全力で応援したいと思います!

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