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コロナウイルスに向き合うNPO等の「社会変革」のシリーズ記事が公開(SSIR)

 先週、Stanford Social Innovation Review(SSIR)でコロナウイルスに向き合うNPO等の「社会変革」についてのシリーズ記事が公開された。
Rethinking Social Change in the Face of Coronavirus
 主にアメリカの社会セクター等がどうコロナに対応しているかの記事をまとめてシリーズ化していて、ざーーっと読んだ感じ面白いのが、
「この機会は世界に/リーダーに何を問うているのか」を様々な視点で議論していることと、
「自身のマインドフルネス」を大事にしつつソーシャルチェンジへのつながりを再考していること。
 
 
■この機会は世界に/リーダーに何を問うているのか
 下記はいくつかの記事内の問いを拾って一部まとめたもの。コロナがどのような機会/脅威なのかと、それにどのような観点・あり方で対応していくのかを様々な視点で議論している印象。
 そしてその対応は、1団体でどうこうではなく様々な主体の視点でどう変わっていくか、協働していくかが前提になっている。
 
  
Q、非営利団体、財団、慈善団体、社会正義の擁護者はどのようにして進化する危機/パンデミックから浮上するか? 問題に対処できるユニークな洞察と能力は何か?
Q、テクノロジーの活用にあたりアクセスとデジタルリテラシーのギャップを考慮し、軽量で、無料で、信頼性があり、安全なアプリケーションをどう採用していくか?
Q、コロナ前のコミュニティの社会的資本(官民のサービス含め)の現状と、コロナ下・後の構造転換をどう進めていくか?
Q、連邦政府が失速して危機を悪化させる一方で、他の政府機関、企業等が各地域で先導できるか?(人種、経済、世代の境界に沿った長年にわたるデジタルの分裂を越えた投資と協働をする等)
 
 
 
■自身のマインドフルネスを大事に
 「私たちと私たちの組織はすべて、ストレスと不安が高まっていて、対処方法の1つはマインドフルネス」とした上で、下記の新しいシリーズを立ち上げたそう。
Centered Self: The Connection Between Inner Well-Being and Social Change』 
 シリーズの説明は下記の通り。まさに、まさに!! 

「社会変革のリーダー等は多くの場合、多大な個人的負担を伴う独特の課題に直面しています。多くの人が社会問題の中心で働いており、自己反省やセルフケアを許さない慢性的にリソース不足または非常にストレスの多い環境で働いています。その結果、燃え尽き症候群、深刻な健康問題、人間関係の崩壊などの問題が発生します。
しかし、個人的な幸福が体系的な社会的課題に効果的に対処するという証拠も増えています。個人、資金提供者、および組織が、自分自身および分野全体でより良い福祉をどのようにサポートできるかに関心が高まっています。」

(参考)先日同じくSSIRから拾った記事『チェンジメーカーの内的な幸福と社会変革のつながり』もとても近いことを伝えている。そしてこのテーマに共感・関心寄せる人が多いのが印象的。ぜひ一緒に研究しましょう。

 また、先週参加したある勉強会で「コレクティブ・トラウマ/ヒーリング」ということを初めて知りました。「集団で悲惨な出来事を経験したり深い悲しみを覚えたとき、地域社会に属する人々がまとめてトラウマを抱えてしまう」ことで、コロナもそうなり得る。一方、それに集団的に予防・軽減したり癒していくこともでき得るそう。この分野は素人ですが事例研究しつつコロナでは何ができるか議論していきたいです。
(参考)地域社会に属する多くの人々が一斉にトラウマを抱えてしまう「集団的トラウマ」とは? - GIGAZINE

  
 
■「前例がない」がくり返し起こるいまに挑戦する
 この1-2か月間、SNS上でコロナをチャンスに変えた!という声が拡散されるのを面白いなとみていました。政府等への各種政策提言は勿論、孫正義さんの支援内容の転換(オンラインの声を受けて簡易検査キットから医療従事者向けのマスクへ)や千葉市長の「人が集まらなくてもいい時代を作る」というちばしチェンジ宣言など。(もっと沢山あるでしょう)

 このところ、3.11で尽力した岡本全勝元復興庁事務次官の言葉を思い出す。1000年に一度の災害を前例をもとに判断してはいけない、というリーダーシップを持った方で、下記の本で当時いかに価値観の転換を行い、省庁やセクターを超えたチームづくりと実行をし続けたかを記している。(RCFのボス=藤沢烈の共著。おススメ)

「社会に衝撃を与え、国民の意識を変えても無常観や不信感が広がるだけ。衝撃をきっかけに国民が行動を起こし仕組みを変えなければ、日本社会は変わらない」『復興が日本を変える』より引用(一部改編)

 新公益連盟で政党や官僚へコロナ向けの提言をしているときも「(3.11やリーマンの経験も活かしながら)このタイミングだからこそ既存の仕組みを超えて変えていこう」「でも落ち着くとすぐに忘れて日常に戻るから早く動こう」という議論が多くて面白い。(日本人って非日常って言い訳がたつと良くも悪くも大きく動きがちだなと)
 SSIRやコレクティブ・インパクト関係の記事は下記のような社会変革(意識・構造の変容:System Change)を具体的にどう進めるかの知見が多く、研究と実践が重ねられていて。日本でも今回のような状況でどのような社会変革の事例があったのかの調査と、今後必要な取り組みを実行をしていきたい。どう進めよう、、
(参考)『Four Strategies for Large Systems Change(SSIR)

■おまけという名の独り言(一息入れたい気分)
 SSIRのシリーズ記事は今後も楽しみにしていくとして、記事を読む中で感じているのは、自分の大好きな社会変革が進みやすい状況なのに傍観しているだけの自分に対する落ち着かなさ....
 4/1でフリーランスになってより動きやすくなっていて、いまだからこそと動くこともできる。けど、心身がアクセルを頑張って踏んでいるのに、それ以上の強さでブレーキを思いっきり踏んでいる感覚。これを認知してからしんどさが増している。

 先週、若干過覚醒気味になっていたときに『How Dual-Career Couples Can Work Through the Coronavirus Crisis(Harvard Business Review)』という記事を読んだ。ロックダウンした街で離婚率が上がっていて、強制的に一緒にいる時間が増えた夫婦/家族内の関係を整えることができるかどうかで離婚or妊娠になるという内容。その記事のススメの通り、夫婦で下記の質問をし合って、お互いの原則を確かめた。このおかげで久しぶりに肩をおろして一息入れられた感じがあったし、夫婦の愛が深まった(子どもは1人で十分だけど)。

以下の質問についてそれぞれが数分考えて書き出し、一つずつパートナーと確認して共通の土台を確認する。その上で同意事項について書いておく。
・この期間(ひとまず3ヶ月を想定)自分にとって最も大切なことは何か
・今後数ヶ月間、自分のキャリアにおける相対的優先事項は何か
・この期間の子育ての原則は何か
・この期間、相手から必要とするものは何か
・最も心配なことは何か
( 山崎繭加さんの訳を抜粋)

 でもこの記事を書いていてまた落ち着かなくなったのは、仕事や自分の行動を通してゆくゆくは社会変革につながるということが現実味を帯び始めて高まっている一方で、自分がコロナ発症/加害者?になる可能性も十分ありその責任や影響に怖さを感じているからかもしれない。
 このメンタルモデルはまたの機会に紐解くとして、こういう怖さを感じる時は、一度大きく踏み込んでみて怖さを充分かみしめて冷や汗かくことが良さそう。その正体がわかるしアクセルとブレーキの配分もわかる。何か1つ取り組んでみようと(いま)決めた。何がいいかな~(独り言おわり)

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