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BtoBで新しいサービスを始めた理由

あけましておめでとうございます。昨年はほとんどの時間を新しいサービスの開発に費やしていて、年末に無事ローンチすることができました。

クローバ PAGEのローンチが2016年の終わりでしたから、丸7年ぶりの新サービスとなります。クローバ PAGEは企業で使うよりも、個人事業主やイベントを主催するお客様が中心のサービスですが、新しく開発したRunbookはマニュアルを作ることに特化した企業向けのサービスです。ビジネス向けのソフトウェアは慣れ親しんだ分野ではありますが、なぜ今、マニュアルを作るためのサービスを開発したのかについて書きたいと思います。

クローバ PAGEのこと

正直なところ、まだ個人事業やフリーランスの方たちに向けたビジネスが依然厳しい状況だというのは認めざるを得ません。コロナによるさまざまな活動自粛から始まって、円安による原材料の価格高騰やインボイス制度の導入などが重なり、クローバ PAGEのユーザーの中にも、コミュニティを解散したり、お店を廃業したりしてホームページが不要になったという方が少なくありません。僕は個人が自立して働ける社会の実現に貢献することを理念として起業したので、とても残念ではありますが、この状況はまだ当面続くだろうと思っています。もちろん小さい事業でも着実にビジネスを成長させている個人事業主の方も大勢いらっしゃいますし、リアルイベントも盛り上がりを取り戻してきています。なので、クローバ PAGEの改善を続けつつ、理念を実現するために、少し先を見据えてもうひとつ別の製品を提供することにしました。

なぜマニュアルなのか

ホームページの次はマニュアルって、相変わらず地味なこと始めるなと思った人もいるでしょう。Runbookはただのマニュアル作成ツールではありません。マニュアルが業務システムそのものになることを見据えた野心的なサービスです。

かつて、ステーィブ・ジョブズは、AppleでCD-Rに書き込むためのソフトウェアを開発する際、複雑な機能を盛り込んでくる開発者に対して、ボタンがひとつある。それを押せばCD-Rに書き込む。きみが作るのはそれだけだ、といったそうです。ところが今のiPhoneはそんなシンプルなものではありません。毎年バージョンアップするたびに設定の項目は増え、通知をオフにするのも一苦労です。スマートウォッチの時刻を合わせたい? まずスマホにアプリをインストールしてアカウント登録、それからBluetoothでペアリングしたのちに時刻を同期しろといわれます。とても初見でできるものではありません。ただ時計の時刻を合わせたいだけなのに!

一方で、企業向けの業務システムと呼ばれるソフトウェアはこれまでずっとシンプルでした。SIベンダーと呼ばれる人たちが、それ会社のためだけにソフトウェアを開発していましたから、余計なものは一切なかったのです。さらにシステムを使うためのマニュアルも、ベンダーの人が作ってお客さんに納品していました。今はどうでしょうか。DXの名の下に汎用のクラウドサービスを使って、業務システムを構築することが一般的になりました。汎用のサービスは大勢のお客さんを満足させるために、100の機能が必要ですが、実際にユーザーが使うのは、その中の3つだけです。別々のお客さんが、それぞれ別々の3つの機能を使います。さらにあなたの会社ではGoogle Workspaceとチャットワークとkintoneを組み合わせて使っているかもしれません。ベンダーはその3つのサービスを絶妙に組み合わせてあなたの業務がまわっていることなど知るよしもありません。だからあなたが会社を辞めたときに、その3つを組み合わせて業務をまわす方法を誰にも教えないか、もしくはいつも目をかけている後輩に教えてあげるか、どちらかを選択することになります。後者を選択した場合、後輩がその説明を聞いたかどうかは賭けでしかありません。だからまともなマネージャーであれば、誰が担当になったとしても業務を引き継げるように、あなたの会社だけが必要な手順をどこかに書き記そうとするでしょう。つまり会社の業務の数だけ、業務システムの使い方は異なり、書き記すべき手順も異なるのです。システムは確かに顧客に請求書を送信してくれるでしょうが、今のところ、人の手がまったく介在しないシステムはほとんどありません。最近は、テクノロジーだけでなくそれを使う人間に焦点を当てて生産性を向上させる考え方を、デジタルアダプションと呼ぶそうです。

技術的なチャレンジ

クローバ PAGEではドラッグ・アンド・ドロップでブロックレイアウトのホームページを作れるようにするという、当時としては先進的なチャレンジをしましたが、今回は普通に文書を編集するのと同じ操作で、入力フォームや表、画像を含むページ内の要素を自由に編集できるようにするという技術的なチャレンジをしています。Notionなどを使い慣れた方にはイメージしてもらいやすいかと思います。これによって、マニュアルのどこでも好きな場所に、入力可能な要素を配置できるようになりました。これにより、マニュアルを業務システムそのものとして使うことができます。例えば、手順に従って作業を行うだけで報告書を提出したり、作業の進捗を確認することができます。

最後に

Runbookとクローバ PAGEは用途は違いますが、相性はとてもよく、どちらもサイトを公開できるという意味では似ているので、技術面でも流用できる部分が多く、互いに補間しあいながら効率的に開発を進めることができていると感じます。公開するサイトの性質がそれぞれ異なっており、弊社では、例えばRunbookの情報公開サイトとして、マニュアルをRunbookで、ブログをクローバ PAGEでそれぞれ公開しています。どちらも自信をもってオススメできるサービスなので、まだ見たことのない方はぜひさわってみてください。

Runbookで作ったRunbookのマニュアルです(ややこしいですが)

こちらのブログはクローバ PAGEで作りました。さくっとオウンドメディアを始めるのに便利です。

というわけで、今年からクローバ PAGEとRunbookの二本立てでがんばっていきたいと思います。こうやってサービスを提供していけるのもご利用いただいているユーザーの皆様のおかげと日々感謝しています。今年も引き続き応援よろしくお願いいたします。