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【シャニマス】シャニアニ5話はenza版と比較すると良いぞという話

こんにちは。カイリキー王と言います。

皆さんはシャニアニ5話をもう見ましたでしょうか。
この回は4話目の放クラ回ほど展開に起伏がなく、enza版を知っている人にとっても、イベントコミュの内容をなぞってる部分が多いので、一見「無難なつくり」の回に見えます。

しかし、私は先行上映で全話すべて見終わっているのですが、5話はその中でも個人的に一番好きかもしれない回となります。
というのも、実は非常に「攻めたつくり」の回なんですよね。

シャニアニは基本的にenza版のシナリオではないオリジナルの物語で展開されます。
しかし、イルミネーションスターズだけは特殊で、1話目からenza版をなぞった展開やほぼ同じセリフでシャニアニも物語が進んでいきます。
そう、5話目の途中までは。

5話目の「ある地点」を分岐点にイルミネの物語はenza版シャニマスとシャニアニで分岐していきます。
ただ、それはどちらが正規ルートとかではなく、きっと物語の表と裏。
どちらも存在した物語で切り取り方の問題なのだろうと思います。

背景を知れば表の物語の意味もより鮮明に見えてくるというもの。

今回はenza版シャニマスとシャニアニを比較して5話目の魅力を紐解いていってみたいと思います。

ターニングポイント

ではさっそくですが分岐点になったシーンがどこかを見ていきたいと思います。
それはイルミネの三人でレッスンをしていたときのシーン。
灯織が「今の櫻木さんは多分、ひとりで練習したほうがいいと思う」と口にした一連のシーンの最後です。

このシーンの灯織はトゲのある言い方にインパクトがあるので「狂犬時代」なんて比喩したりする人もいますが、それは個人的にはあまり的を得た表現ではないと思っています。
というのも、そのセリフは配慮から出た言葉でもあるためです。

enza版では元となったイベントコミュでもSTEPでも描かれている通り、当時の灯織は人に配慮するのを非常に苦手としています。
さらに灯織は「コミュニケーションへの苦手意識」と「心配性」なのが合わさることで、これまで学校などでも人となるべく接さないようにしていました。

実際にenza版の該当シーンを見ていってみましょう。セリフはほとんど同じですが、ここで重要なのは灯織の心の声です。



「…私じゃ、八宮さんのダンスには敵わない。歌だって櫻木さんには…もっとレッスンしないと」
「_大丈夫、このまま_」
ちなみに灯織の心の声のほとんどはシャニアニでは語られていないので、シャニマスで補完する必要があります。

上記のセリフから灯織自身余裕がある状態じゃないことがわかります。
そのあと灯織が真乃にアドバイスをしますが、この前にめぐるが真乃にアドバイスをしています。
めぐるは伝え方を配慮していますが、灯織はそっけない伝え方になっているので真乃を委縮させてしまってしまいます。
それにより逆に灯織側も萎縮してしまいます。

その結果、「…私と一緒にやるより、ひとりでやったほうが櫻木さんもやりやすいのかな…」と灯織は考えました。「私たち」ではなく「私と」なのがポイントです。
そして出た言葉が「今の櫻木さんは多分、ひとりで練習したほうがいいと思う」というわけです。


なので灯織には真乃を責める意図は全くと言っていいほどないわけです。あくまで上達のために良いと思った方法を提案しただけ。ただ厳しいことを言ったという自覚はあるようで、だからこそ自分にも厳しくしないといけないと考えます。

しかし、このセリフをよく見てみるとストイックというよりも、自分がきつく言ってしまうせいで嫌になってやめてしまうかもという心配の面が大きいです。
このようにストイックであろうとするけどあれこれ心配して悩み立ち止まるのが、「ひおひお」と称されて愛され応援される灯織の魅力です。

上のシーンはシャニアニでもあったプロデューサーが臨時レッスンに誘うシーンです。

「ふたりと上手くいっていないなんてさすがに言えない」
「私の努力不足です。3人の呼吸も、まだ上手く合わなくて」
というセリフからも、
言葉の通り本当に自分の努力不足・コミュケーション能力の問題で上手くいっていないと灯織が自認していることが伺えます。

そして重要なのが謝罪のシーンです。
灯織は謝らなくちゃいけないことが「たくさん」あると言います。私なりに意訳すると次の通りです。
一つ目はレッスンのときにいつもきつい言い方をしてしまっていたこと。
二つ目は私と一緒に練習するのが嫌になってアイドルを諦めるのではないかと心配していたこと。アイドルになりたいという気持ちを信じられていなかったから。

真乃は一つ目には「アドバイスをしてくれていただけ」、二つ目には「灯織の気持ちの追いつけてなかったのは本当だから」とそれぞれ気にしていないと答えます。

ここまではシャニアニとenza版シャニマスで共通の展開となります。
ただ、ここを境に話が分岐します。

分岐 enza版シャニマス

enza版ではこの後、灯織が頑張りすぎが原因で体調を崩し、めぐると真乃が自宅までお見舞いに行きます。

「今度こそふたりと一緒に頑張ろうって思ってたのに。まだ焦ってたんだね。今のままじゃダメだって思って、空回りしてた…」と灯織。
「まだ焦ってた」というのは、ダンスはめぐるに、歌は真乃に敵わないという話の続きです。もともとその焦っていて余裕がなかったからこそ、「今の櫻木さんはひとりで~」の例のセリフを口にしてしまったとも考えられます。
お見舞いに来ためぐるは「ゆっくりお話ができるのは嬉しい」と言い、
灯織は「…そうだね。今まで_こういうこと、できなかったし_」と返します。
「しなかった」ではなく「できなかった」なのがミソですよね。

その後二人はボーカルレッスンの録音を聞きます。
「…やっぱり櫻木さんの声、よく通るね。…私もっと練習しないと」と灯織は人の長所を見ては、逆に自分は劣っているからと練習でどうにかしようとします。
そんな灯織に「ひとりでやるより、みんなで話し合ったほうが上手くいくと思うんだ」とめぐる。


enza版のこのコミュは1人でアイドルを目指していた灯織がイルミネ3人でアイドルを目指したいと変わっていく話です。
enza版では灯織の性格やコミュニケーションエラーにフォーカスされ、ざっくり「問題は3人で解決していこう」という着地点となっています。


ちなみに体調が治ったあとサプライズで歓迎会を準備してる真乃とめぐるにばったり出会ってしまいこそこそしてる2人を見て心配したりします。

それもあってか、enza版シャニマスでは初期のイルミネのコミュはこの後のコミュも「アイドルとして高みを目指す!」という要素はほぼ出てきません。次のイベントコミュである「Catch the shiny tail」では真乃の成長が、「Star n dew by me」ではめぐるの成長が描かれます。なんならさらに次の「くもりガラスの銀曜日」では灯織は二人と自分とでアイドルに対しての熱の差を感じてもう一度心配になったりもします。
このように、イルミネはアイドルとしての活躍にフォーカスをしたものではなく、個々の人間的な成長・三人の関係性の変化にフォーカスを当てるものが多いです。
実際初期2年間くらいのイルミネはレッスンしたりライブしたりのシーンはコミュではほとんどなく、3人で仲良く遊びに行って少しずつ変化していく様子を楽しむコミュがほとんどです。
主人公ユニットなのにかなり変わり種のユニットと言えます。

分岐 シャニアニ5話

ではシャニアニではどうでしょうか。
分岐するのは謝罪後のシーンです。シャニアニでは灯織が体調を崩すくだりはなく、その代わりにボイスレッスンのシーンとなります。作中で歌唱があるのは以下の歌詞です。

ヒカリのdistination
そのしっぽを捕まえたい
見失わないで
夢がある限り

瞳のillumination
輝く無限の可能性
私たちのキセキ
繋がってくヒカリの束
その先へ

ヒカリのヒカリのdistineation

「distination」とは目的地・目標という意味です。
シャニアニはこの歌詞に沿って話が展開されます。
レコーディング後、3人は公園のベンチで空を眺めながら話します。
ふと、めぐるが口にしたのは灯織の謝罪に対するアンサーでした。
めぐるはアイドルを始めたきっかけは言われてなんとなくだったけど、毎日が楽しくて、二人のこともアイドルのことも大好きになった。
続いて真乃も。スカウトされて一度断った。自分にはアイドルなんて無理だと思ったから。今も自信はないけど、灯織とめぐると頑張りたい。

それぞれがアイドルを始めたきっかけと、今アイドルを頑張りたいと思っている素直な気持ちを伝えます。
アイドルを目指す大きなきっかけもなく、ドラマチックな変化があったわけでもない。
ただの日常の積み重ねによる小さいけど確かな変化。
だから、3人でアイドルをやりたいという静かな決意表明。

なのでシャニアニのこのコミュの着地点は、「3人でアイドルを頑張っていきたい」という部分となります。
シャニアニの方がより「アイドルを」が強調された内容となっています。

ここが分岐点となり、なんとシャニアニのこの後のイルミネはアイドルに対して本気だと伝わってくるシーンがたくさん見れます。

他にも色々

これだけでも大満足なのですが、5話にはサービスシーンもいっぱいあります。
もちろんenza版シャニマスの思い出のシーンをアニメで見れるだけでサービスとしては十分なほどなのですが、
例えば先ほどのアイドルを目指したきっかけを言い合うシーン。
私は、めぐると真乃の決意表明を聞きながら灯織はなんて答えるんだろうと見ていました。
「この流れヤバイじゃん(笑)」と。
というのもそれは灯織のきっかけは人に言いづらい内容なんですよね。
灯織がアイドルを目指したきっかけを知るにはシャニアニではなく、enza版シャニマスのSTEPというコミュを読む必要があります。
それは「アイドルになればみんなに好かれそうだから」というもの。

それを知っていると5話であった一連のトラブルもまた見え方が変わってくるかもしれませんね。

終わりに

5話の考察は以上となります。6話以降も面白いので是非楽しんでもらえたらと思います。
この記事がきっかけでシャニアニの魅力が少しでも増えたなら大変うれしく思います。

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