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カスタマーサクセス交流会8問8答

こんにちは。LayerXバクラク事業部で現プロダクトマネージャー、春までカスタマーサクセス部のマネージャーを務めていたかじ(@kajicrypto)です。

9/8に開催されたカスタマーサクセス交流会にて豪華ゲストのなかに恐れ多くもお招きいただき、質問会セッションに参加しました。

いくつかの質問にお答えしたものの、LayerXではこの春にCSのマネージャーを卒業しており、ど真ん中でやっていた頃よりも自分自身の話がふんわりしてきたな、荒くなってきたなと痛感しました。

当日の質問リストを頂いたので、改めて自分自身の脳内整理のためにnoteに一部回答を書いてみました。当日の話が悔しかったのでアウトプットし直させてください!

※ 回答内容は現在のバクラクCS組織やマネージャーの考えと一致しないこともあると思います。バクラクを含むこれまでの僕個人の経験を踏まえた回答として記載します。


1. ハイタッチのとき、クオリティを保ちながら拡大するにはどのようにしていけば良いでしょうか?

型化、型化、型化だと思います。いかに属人化を防ぎコンテンツやツールに落とし込めるかが重要だと思います。

個別のハイタッチ場面でのスキルの担保については以下などがあります。

・会話内容をスライドに落として抜け漏れをなくす
・議事録やヒアリング事項のテンプレートを固める
・初期設定・基本機能・便利機能を分類してガイドに落とす
・独り立ち前にロープレを行う
・ロープレの評価観点と評価基準を定量的に決めて複数名で行う
・お客様の本質的な課題とプロダクトで提供できる価値の組み合わせパターンをいくつか分類して可視化してインプットする

全体のプロセスについては、プロダクト別のオンボーディングフェーズと完了基準を見直し、CRMの入力・運用項目のチューニングなどを行い、レポートを見れば担当者別の進捗や顧客ごとのネクストステップがわかる、止まっていることを検知できるようなダッシュボードを組むことが有効だと思います。

具体例はこちらの目次「チーム1/2」部分に一部記載しています。

そしてこの「型化」はマネージャーだけが行うものではなくて、良かった取り組みや作ったコンテンツはメンバーも常にシェアして、CSみなで型化が強い組織にしていけると理想だと思います。この意識やカルチャーはマネージャーが作って守るべきものだと思います。

2. オンボーディング期間で最も重要且つ効果的な施策は何ですか?

オンボーディング完了基準を研ぎ澄ますこと、と回答しました。山口さん・高橋さんのお客様が導入時に解きたかった課題を正確に把握するというお話と似ています。

オンボーディングが本当に完了して価値を感じ始めていただければ、(プロダクト性質による差はありますが)そうそうチャーンレートは高くならないはずです。

その価値を感じる瞬間というのは、解きたい課題、お客様のセグメント、導入サービス状況、自社のプロダクトの機能の変化、プライシングの変化、競合との比較などによって変わり続けるものだと思います。

オンボーディングの完了基準は突き詰めると以下など考えることがたくさんあり、とてもとても難しいものだと思っています。

・セグメント別に何日以内での完了を目標とするのか
・その起点は契約開始日なのか初回ミーティングなのか
・初回ミーティングだとしたらカレンダーによってお客様にブレが出るのでそれを一律前倒しして何らかの方法でタッチできないか
・完了基準も2段階あってフェーズ管理できるのではないか
・それまでのステップも段階を踏んで管理すべきかどうか
・この機能が追加されたがこれは必須の設定項目に入れるかどうか
・データで取れない定性情報をどう入れるか
・最後にお客様に確認して言質をいただくまでにするかどうか

完了基準を考え直すと、お客様に届けたい本質的な価値指標やその管理プロセスを自然と考えるようになり、オンボーディング活動全体のレベルを押し上げるものになると思います。

3. オンボーディングチームのリソース試算が課題です。営業側の受注件数とオンボーディング側のキャパシティの需給予測をどのように実施されているか具体的にお伺いしたいです。

事業計画と顧客セグメント別のCS工数から必要人数を算出するとお話しましたが、剣持さんがその上で足りないときにハイタッチするお客様基準を決めて調整すると話されていました。

バクラクでもオンボーディングの濃淡をつけており、昨年テックタッチ中心に取り組んだものがひとつnoteになっているのでご紹介します。その後も複数のテックタッチ、セルフサクセスプロセスをトライ&エラーしています。

また、もう1年以上前の記事となりますが、関連する人員計画や生産性のモニタリングについてはこちらのnoteにも記載しています。

4. 担当者をつけてゴリゴリハイタッチで対応する顧客と、そうでない顧客を分ける際に、MRR以外でどのような要素を考慮されていますか?

ハイタッチをするなかでスムーズにオンボーディングできる先、そうでない先について情報を集め続ければ自ずと見えてくると思います。

例えば導入サービスの状況。プランや導入サービス数、オプションを多くつけているのか、そうでないのか。MRRに近いと思いますが、単一プロダクトで高いMRRと複数プロダクトで合計で一定のMRRでは関連部門やタッチ度合いも変わると思います。

例えば従業員数。このプロダクトでxxx名を超えると質問がとても増える、機能が足りない場面がある、実現方法が複数あるのでハイタッチでの運用提案が必要など。

例えばクラウドサービスの導入・運用に慣れている企業様かどうか。結構オンボーディングに差が出ますよね。

例えば同じ領域のITツールを利用していて"引っ越し"なのか、アナログ業務だったのか。上に似ていますが、IT系企業でも初めての領域の業務設計やツール導入ではコンサルティング的なカスタマーサクセス活動を求められる場合もあると思います。

ハイタッチしているCSMみなの知見を集めて新しい発見があったら軸として検討していくと良いのではないでしょうか。

5. 営業とCSが仲良くないです。これはあるあるな現象なのでしょうか?また、営業とCS間で良い連携をとるにはどうしたら良いでしょうか?

当日剣持さんが話されたように、KPIが違うので何もしなければ仲が悪くなっていくことが多いと思います。

HowとしてはFSとCSで定例ミーティングを行い、解約やクレームについてCSから共有する、FSから受け入れ可能か微妙なラインのお客様について相談を受ける、CRMの入力項目をブラッシュアップし続けるといったことが有効です。山口さんも同様の話をされていましたので一定の解だと思います。

また個人的にはやりすぎとは思いますが、解約が発生した際に当時の営業担当の評価に影響させるという話も聞いたことがあります。

その上で、これはHowよりも文化の問題だと思います。KPIの違いはあれど、ビジネスの本質としてお客様への価値提供が重要なゴールだと双方で認識していれば、どういうお客様なら受け入れられるか、どういうお客様はこういった機能ができるまで待っていただこう、などの会話が自然と生まれるはずです。

お客様への価値提供に目線が合っていない状態で定例ミーティングを行っても、猜疑心や嫌悪感が生まれやすい状態でお見合いやマイクロマネジメント化してきて気持ち良くないんじゃないかなと思います。

部門のトップ同士やプロダクトマネージャーとこれらについて話し合い、価値提供をできるお客様の受け入れ基準を決めていけると理想だと思います。

6. Expansionを生むためにどんな取り組みをしているか?を教えて欲しいです!

バクラクのExpansionへの取り組みはカスタマーセールスチームのnoteをぜひご覧ください。

7. ヘルススコアの設計に携わってますが、プロダクトから拾える数値以外にも、担当者の定性情報も同等に重要だと思います。定量と定性をどのようにバランスをとって顧客管理をされてますか?

定量の割合について、剣持さんが30%小泉さんが100%と意見が割れつつ、高橋さんがプロダクト性質やフェーズによって変わるので答えはない論点、大切なのはヘルススコアの目的だと整理され、盛り上がっていました。

この質問を頂戴したとき、私はヘルススコアを”作る”ことに囚われているのではないかと感じました。考えていたことを別途noteにまとめました。

8. カスタマーサクセスの定義をひとことで表すと

2年前のnoteからブレずに、「自社のサービスが顧客に提供するビジョンの継続実現に責任を持つ役割」と回答させていただきます!


回答は以上です。

個別にご質問やディスカッションなどしていただける方はX(@kajicrypto), facebookなどからお気軽にご連絡いただければと思います!