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旅分析で自分を知る ~旅と感情のタイムライン~

「旅で人生なんて変わらないよねぇ」

そんな少しひねくれた現実主義者の私は、昔から小心者で「こうしたい!」より「こうしておこう」で生きてきました。10代の頃は「つまらん、つまらん~」が口癖で、家族にとって相当迷惑な人間だったであろうと思います。そんな私に、人生は誰かに楽しませてもらうのではなく、自分で楽しくするものだ、と気づかせてくれたのは旅でした。

旅をしたことで旅をもっと好きになり、次の旅をするごとに自分の進む道が少しずつ見えてきた。そんな経験なら私にもあるかもしれない…という思いで今この記事を書いています。

そう、今回のテーマは「原体験の旅

原体験…あまり聞きなれない言葉かもしれませんね。

原体験とは「人の生き方や考え方に大きな影響を与える体験」です。

普段、無意識に考えていることも過去の経験に基づいて判断しています。
意識していない行動も含め「なぜそう考えたのか」「なぜ行動したのか」を自分に繰り返し問いかけることで原体験にたどり着きます。

ー中略ー

昔の体験を思い出し、自分の軸を見つけてみましょう!

出典:【5分で解説】『原体験ドリブン 人生の答えの9割がここにある!』チカイケ秀夫(本の要約・レビュー・書評・まとめ) - Dolly Blog

つまり、私の「今」を形成してきた旅について。きっとあなたにも、今のあなたに繋がる旅の記憶があるのではないでしょうか。まだ旅をしたことがない、という方もこれからそんな旅に出会うかもしれません。


旅と日常の原体験

ところで、原体験は旅でしか得られないのか、といったらそうではありませんよね。日常生活から学ぶことも沢山あります。

ただ日常生活では、よほど大きな環境の変化がない限り、同じ場所、同じ人たちに囲まれて日々が過ぎていきます。そんな時、「旅」という手段でそのコンフォートゾーンから一時抜け出してみる。そうすることで、自分をより俯瞰して見る機会を作れるのではないでしょうか。そして、そこで得た気づきが日常を少しずつ変えていくのだと思います。

旅と感情のタイムライン

写真を見ると当時の気持ちを思い出すように、出来事(ここでは旅)と感情は必ずセットになっています。それを時系列で書き出し深掘りしていくことで、今のあなたが何故そう在るのか、そして未来のあなたがどう在りたいのか、それを紐解いていくことができます。簡単に書くとこんな感じです。

私の旅と感情のタイムライン(略図)

図からお気づきのように、実は来年、夫と世界一周の旅に出ます。これまで30ウン年、堅実に生きてきた私がなぜこんな大胆な決断をしたのか、正直自分でもうまく説明ができませんでした。

でも、こうして感情の流れを分析してみると、一見突拍子もない決断も、私の中では腑に落ちるものとなり、「これでいいんだ」と思えるようになりました。

もちろん、旅の経験だけがこの決断に繋がっているわけではないのですが、旅は今の私を形づくる大事な要素だったと感じています。今回は、その中で印象的だったものを3つ振り返ってみたいと思います。しばしの間、私の記憶の旅にお付き合いください。

1.反省だらけのイギリス留学

昔から洋画オタクで英語に憧れていた私は、大学生の頃、短期の語学留学プログラムに参加しました。当時の私は今とは程遠いインドア派。親元を離れて初めて行く海外は楽しみ半分、不安半分。同じプログラムに参加する10人ほどのメンバーと、空港に集合して目的地まで一緒に向かいました。まったくの一人きりではない、という点がこの旅の安心材料でした。

しかし、それが反省だらけの初海外の原因に。

ロンドンの空港までは無事に着いたものの、乗り継ぎの便が悪天候のためキャンセルに。英語も大して話せない私はオロオロするばかり。一緒に参加していた男子2人のおかげで、空港で一夜を明かした後、なんとかバスで目的地にたどり着くことができました。みんなが一緒だったからそんなトラブルも良い思い出ですが、もし一人だったらどうなっていたことやら。それと同時に、私は何もできなかった…という後悔と反省の念がいつまでも私の中にこびりつくこととなりました。

もう一つの反省は、留学あるある。海外の生徒に話しかける勇気もなく、日本人とつるむ毎日。人見知りだった私は、ホームステイ先の家族にもなかなか馴染めず会話も少なめでした。当然、英語力が伸びることも海外の友人ができることもなく、ただ観光をして日本人の友人をつくって帰るという始末。バイト代と親に援助してもらった貴重なお金は、泡となって消えました…。

確かに楽しかった。でも、私はこの旅で何を得たのだろう…。当時の私はそこに真剣に向き合うこともせず、苦い思い出の1ページとしてそっとしまい込みました。学びといえば、ただ海外に行くだけでは何も変わらない、ということでしょうか…。

2.一念発起、タイひとり旅へ

そんな行動力もなく他力本願な自分をいい加減どうにかしたい。そんな思いで決意したのがタイ5泊6日のひとり旅。タイを選んだのは、直行便で行けて旅もしやすそうだったから。国のチョイスに小心者な性分が顔を出していますが、それでも今回は本当に一人きり。空港とホテルとアユタヤツアーだけは予約して、あとはフリープラン。

というわけで、心配性な私は徹底的に準備を行いました。ガイドブックを熟読し、地図を頭に叩き込み(10年以上前の話)、緊急連絡先の紙を何枚もコピーして…と、とにかく想定し得るあらゆる不足の事態に備え、いざ出発の日。

不安よりも、やれるだけのことはやった という自信と、これから未知の世界へ旅立つワクワク感の方が勝っていました。

旅の最中は、多少道に迷ったり小さなトラブルはあったものの、グルメも観光もしっかり満喫して無事帰国。

私はこの旅で、自信は不安を和らげ、未知の世界へと自分を後押ししてくれる、そんな力があることを知りました。そしてその自信は自分が行動することでしか生まれないのだということも。

自分で旅を作っていくことと海外の楽しさを知った私は、もっと海外へ行ってみたい、家に閉じこもってないでもっと外に出ていこう、と思うようになりました。いつのまにか「つまらん~」と言わなくなっていました。

3.瞑想の師匠と出会った国内プチ旅行

そうは言っても根っからの小心者。生き方そのものはそんなに簡単には変わりません。安定した仕事をしながら1年に1回海外に行く程度、結婚してからは夫と休みも合わずそれすら難しい。私の人生このままでいいのか…と悩んでいた時に出会ったのが瞑想の師匠です。

旅の話からいきなり瞑想?と思われるかもしれませんが、やはりこの出会いは私にとって省くことのできない大事なパーツ。

日本でもマインドフルネスは浸透してきていますが、当時の私はまだ疑いの眼差し…。夫のススメでしぶしぶ会いに行くと決めたものの、あまり乗り気ではありませんでした。車で2時間かけて海沿いの街へプチ旅行、そんな気分で向かっていました。

師匠とのやりとりは長~くなるのでここでは割愛します。ただ、この師匠と何度も話すうちに、自分がこれまでいかに頭でっかちで、心の声を無視して生きてきたかに気づきました。そして、もっと自分の心が「こうしたい」と思える道に踏み出す勇気をもらいました。そこから数年かけて行きついた私の「こうしたい」は、シンプルに「もっと旅をしてみたい」「もっと夫婦の時間を大切にしたい」でした。

旅のチカラ

だいぶ大雑把ですが、私の旅のタイムライン(ダイジェスト版)はこんな感じです。「つまらん~」が口癖で小心者だった人間が、世界一周を決意するまでのお話。

ひとつの旅が大きく人生を変えたわけではないけれど、点と点が線になり、少しずつ私の価値観を広げ生き方を変えていった。

旅には、そんな力があるのかもしれません。


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