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ミニマリスト、物欲の旅に出る

もう何十年も前の話。実家が引っ越しをする際に、貯めに貯めていた本や雑誌、CDやレコード、カセットを一気に処分しました。今でいう断捨離ですね。

そこからはミニマリストよろしく、余計なモノはできるだけ買わず。新しいモノを買う場合は、今までのモノを捨てるか売るかして、スペースを確保してから買うということを習慣づけていました。

時代的にも色々なモノのデジタル化が進んだこともあり、その傾向は止まらず。音楽は全てデータ化し、スマホ以外で聞くことがなくなり。書籍はKindleで買うようになったので、もはや売ることすらなくなり。

外出するときは荷物を極力少なくしたい自分としては、スマホとKindleですべてが事足りて。家の中だって、モノが少なければ部屋もスッキリして、掃除も楽ちん。デジタル万歳。ミニマム最高。

の、はずだったのですが。

去年、山下達郎の旧譜がまとめて再発されました。LPとカセットで。収録されている曲は、すでに手元のスマホにデータとして入っています。何より、レコードプレーヤーもカセットデッキも持っていません。

それなのに、買っちゃいました。LPレコード。しかも2枚。

限定とか言われると買っちゃうよね

いやあ、どうしよう。聞けもしないレコード買って。スマホで聞けるものを、わざわざ買って。

でも、嬉しかったんですよね。手にした時。「自分の好きなモノを手に入れたんだ」という満足感。スマホはもちろん、CDよりもずっと大きいこのLPのサイズだからこそ味わえるのだなと。


書籍についても、最近はKindleよりも紙の本を買うことが増えました。もともと仕事で必要なWEB系の本はカラーかつ大判なので、Kindleでは読みづらかったというのもあったのですが。

それだけではなく、テキスト中心の本も紙に移行したのは「どこまで読んだかパッと分かりづらい」という小さな不満があったから。Kindleでもページ数で分かるのですが、手にした感覚では分からないのですよね。当たり前ですが。

本を読むのが遅い自分としては「よし、ここまで読もう」「ここまで読んだから最後まで読み切っちゃおう」というのをページの厚みから判断するので、やっぱり紙の方が感覚がつかみやすくて。

あと本棚に並んだ書籍を見ると、自分の好きなモノや興味のあるコトが形となって現れるので、本棚がそのまま自分の頭の中を再現しているようで。これもKindleのリストでは味わえない感覚なのですよね。


今年のゴールデンウイーク。どこに行く予定もなかったので、休みを使って部屋を模様替え。新たに加わったのは、本棚とレコードプレーヤー。

(無印の家具はAmazonで買うと配送料が無料になるのでおススメ)

(いつかワイヤレススピーカーに繋げるかもしれないのでBluetooth対応を)

スペースがなくて、押し入れに積んでいた本を並べ。買ってはみたけど、聴けずにいたレコードをかけて。確かにモノは増えたけど、それ以上に得られた充実感。

実は、ずっとこうしたかったのか。スッキリした部屋は気持ちが良いけれど、一方で「さすがに寂しいな」と思っていたのも事実。もしかすると、モノを持つことで得られる満足感を忘れていたのかも。

年を取って、かつて好きだったモノを再び手に入れたいという思いも、きっとあるのだと思います。レコードなんて、その最たるもの。あのとき処分しなければよかったと後悔することもしばしば(プレミアが付いていたら、なおのこと)。

でも懐古主義だけでない、何かがあると思うのですよね。モノを手にする、モノを集めることって。なんというか、本能的な欲求のような。


デジタルの仕事に就いて長いこと経ちますが、実際に手に取れるモノを作っている人には、憧れと羨みがあります。どんなにデジタル化が進んでも、手に取るという体験は得られないものだから。

そんな気持ちを言い訳にして、再び物欲の旅に出ます。でも大丈夫。ミニマリストの気持ちは忘れていないので、部屋がモノであふれるようなことにはないはず。きっと。いや、たぶん。

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