『溺れるナイフ』を観た話

今の比較的暇な時期を利用し、観たかった映画を観る習慣をつけています。
というわけで、2016年公開の山戸結希監督の『溺れるナイフ』を観ました。

結論:めっちゃ好きな映画



話だけでなく小道具や美術など演出面から何から全てがツボでした。
あまり観たことがない種類の映画で、観た後のこの衝撃的な感覚を大事にしたい!と思いました。

菅田将暉×小松菜奈というキャストだけでもう観たいって感じですよね。スクリーン映えする2人です。公開当時、金髪サラサラの菅田くんのビジュアルに惹かれるも青春映画という理由で後回しにしていたこの作品。
しかし!観た人にはわかると思いますが、ただのキラキラ青春映画ではございません。

儚い、危うい、美しい、繊細、荒い、痛み、ヒリヒリ…

そんな様々な感性が刺激されるような作品でした。青春特有のキラキラもありつつ、若さゆえの荒々しさやもがきが痛いほど心に突き刺さりました。2人の繊細で大胆な恋模様をひたすら追いかけている感じ。
考えるな感じろタイプの映画だと思うので、言葉にするのは非常に難しいです。むしろ言葉にできない、こぼれ落ちたものを心にとどめておくのが大事なんじゃないかと。そういう映画大好きです。
内容について説明するのは難しいので、魅力的だなーと思った映像について感想を述べます。

①色彩が素敵
全体的に情景描写が透明感があってきれいです。田舎の閉塞感であったりジメジメした感じもリアル。そして、ところどころアクセントとなる色が画面を彩っているのも素敵です。
例えば劇中によく登場する花。赤い椿の蜜を吸う小松菜奈ちゃんと重岡大毅くんのシーンが絵的にすごく印象深いです。最後の菅田くんとのバイクのシーンも綺麗。
とにかく前編とおして映像が魅力的なのです!
山戸結希監督は有名アーティストのMVを撮っていて若者の視点を捉えるのが得意であり、見方を変えればまるでMVのようにも見える芸術性でした。


②カット割りと長回し
独特なカメラワークが印象的で、物語の世界観を作り上げています。
登場人物の顔のアップとめまぐるしいカット割りなど思わず惹き込まれてしまうような独特なテンポ感。カット割りが多いと「何?何?」とちょっと心がザワザワしますよね。菅田くんの突き刺すような冷たい眼が良すぎました。

一方で、長回しが多用されているのも特徴的です。後で振り返ると重要なシーンが多いなぁと思います。夏芽とコウの水辺でのやり取り、バッティングセンター、夏芽と大友の部屋でのやり取り、カラオケシーンなど。。
長回しによって自然な台詞回しが見られ、物語の世界観に十分に浸れます。そして役者さんのそのままの演技が切り取られていて素敵だなと。
単純に皆美しいのでずっと観ていられます。笑

このように、ふと映される表情が美しかったり、長回しによって感情が伝わってきたり、役者さんの魅力がダイレクトに伝わってくるのが良いなと思いました。物語というより登場人物の心情でどんどん進んでいく感じ。


番外編:大友・・・
私が最も心動いたシーンと言えば、夏芽と大友(小松さんと重岡くん)の部屋でのやり取りです。これも長回しなのですが、2人の会話や徐々に距離が近づいていく流れが本当に自然です。かわいらしいです。軽率に重岡くんのことが好きになりそうなくらい、演技がリアル過ぎました。大友みたいな人がいたら良いだろうな、と女子は思うはずです。ちなみにたまたまジャニーズということは知ってました(元々顔が好きだったので) 。無責任に言いますが、もっと映画やドラマに出たほうがいいのでは…。
このシーンは夏芽の部屋のレイアウトやベッドカバーの色など細かいところも魅力的で可愛くて、視覚的にも楽しめました。

忘れてならないのが、上白石萌音ちゃんの幅広い演技も良く、主要キャストが皆魅力的だということです。

長くなりましたが、これほど総合的に好きだ!と思える作品は簡単には出会えないので、今観ることが出来てよかったと思いました。
青春期に経験したことは、ほんの一瞬でもいつまでも消えることのない宝物のようなものだと教えられた気がします。
世間では色々な感想が飛び交っていそうですが、それだけ見応えがあり面白い映画だと私は思います。

さいごに、映画館で観たかったなー。


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