(3)共通テスト漢文の問題文を白文を読む練習に使ってみようのコーナー

CMあけ 提示部繰り返し)

然 兩不相遇 其故何哉
  今欲求之 其術安在
「然」ですが、これも目印。「然れども」とか「然れば」「然らば」「然り」と読んだりしますが……今回はこの前に「君主は賢臣を欲しがってるし賢は名君のところで実力発揮したいと思ってる」という意味でしたから、この「然」の下に「だから名君の下に賢臣ばかりいるし、賢はだいたい名君に採用されやすい」みたいな内容がきていればそりゃ読み方は「然り!」とか「然れば」でいいんですけど、果たしてどんな内容がきているのか!答えは……

共通テスト漢文の問題文を白文を読む練習に使ってみようのコーナー(2)|カワイ韓愈 / 카와이 한유|note
の続き

「相」の下には動詞扱いの漢字が来ます。兩不相遇「兩(ふた)つながら相遇わず」の「兩(ふた)つながら」はなかなか読みにくいと思いますが、まあそんなこともあるなあと思う程度でいいです。読みにくければ辞書ひきゃいいんです。今回のその二つは「君と賢」ですから、この二者を指してんでしょうくらい想像できりゃいいです。「めぐり会うことがない」んだから素直に
「然レドモ」
って読んでおきゃいいです。「哉」も目印です山ほどこれからも出てきます。こういう目印的なやーつを最終回にまとめておきます。
人間、一度見ただけで覚えて忘れないなんてこたあないです。すぐ忘れます。だから繰り返し何度も読んだりするんです。読んでるうちに憶えるって言ってたのはそういうことです。
で、この「哉」ですが、この文字だけじゃ意味の特定は困難なのです。今回は「何」とセットで来てますから「なんぞや」と読んでおきゃいいです。その両者が出会わない理由はなんだ、くらい。次の行も同じ方向で考えます。だいたいこんな意味だろうと把握してからその意味になるように読みます。漢文ってそんなもんです。「じゃあこの両者がめぐり会うためにはどうすりゃいいのか」くらい。
高校の古典の教科書に絶対載ってる史記の鴻門之会

沛公安在(はいこう、いづくにかある)

こんなところで役に立つんですねえ教科書って読んでおくもんですねえ。其術安在(其の術、いづくにか在る)。
共通テスト漢文では「其の術、いづくに在りや」と読んでますが、「いづくにかある」でも構わんです。何度も言いますが送り仮名その他は日本人の都合です。

ここからはおまけ。読んでも読まなくてもいいです。

日本古典の文語文に所謂形容動詞という品詞区分があり、そこにはナリ活用形容動詞とタリ活用形容動詞というものが存在しますが、日本古典にはほぼナリ活用形容動詞しか出てきませんのです。タリ活用形容動詞の例として、高校副読本あたりの文語文法本には例として「堂々たり」「満々たり」くらいが挙げられていますが、ここらの言葉、漢文訓読の影響を受けたもんくらいでしか出てこないのです。もうここらへん、もうちょっとあの副読本も説明を加えりゃいいのにと思うのですが、古文副読本はそこらをさらっと流したままです。タリ活用の形容動詞は漢文では頻繁に出てきます。例えば
「突如」「勃如」「躩如」「鞠躬如」
「卒爾」「莞爾」
「忽然」「憮然」「填然」
これらが日本古文でいうタリ活用の形容動詞、これら接尾辞のついたものはそう。「然」はそんな役目もある漢字。



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