キャンドルライト・コンサート
坂本龍一の名曲集at王子ホールに足を運んだ。
これは、Feverが主催する文字通りキャンドルライトの下で行われるコンサートのひとつで、その各種公演は世界180ヶ所に広がっているらしい。
この日のピアニストは、坂本龍一氏の大学の後輩でアルバム作りにも参加したことがあるという山中惇史氏。
揺れるキャンドルライトに包まれてシェルタリングスカイを皮切りにエナジーフロウ、ラストエンペラー 東風(Tong poo)など坂本氏の名曲が披露された。
1時間余りのコンサートも中盤にさしかかり
Andataの始めの和音が聴こえたとき
私は不意に哀しくなった
亡くなった後もこうやって
彼の楽曲は受け継がれて行く
いやでもちがうのだ
バロック音楽の影響を受けているこのAndata
クラシック音楽が
坂本氏の手にかかって新しい形の楽曲として生まれたわけで
それと同じように
彼の楽曲がこの先ずっと受け継がれて行ったとしても
それはもはや
坂本氏の手からは離れてしまっているわけで
ましてや
新しい曲が彼の指から生まれることは
もう決してなくて
そんな考えが
私をたまらなく辛くさせた
あの類まれな才能は
一体どこへ行ってしまったのだろう
胸の奥が
キャンドルの炎のように
ゆらりと揺れる
涙が一本
頬を伝ったような気がした
和音の響きに
にじむように
死によって
永遠に葬られるもの
永遠に
別つもの
永遠という意味を
初めて理解した気がした
アルバムasyncに収められているAndataは
実に色々な音がこのバロック音楽に折り重なっている
この曲をイヤホンで聴くのが好きである
聴くたびに新しい音を発見する
ピアノの和音から教会のパイプオルガンの響きへと受け継がれる所
不意に世界が変わるように
ひょっとしたら
あと何年か経って
亡くなった夫のもとへと旅立つ時
身体から離れていく私の精神は
こんな音楽に包まれているのではないかと
そんな気がした
日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。