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〈注意:追記あり〉林眞須美死刑囚による23件の連続殺人・殺人未遂事件を警察と検察が捏造していた件について、和歌山地検に取材を申し入れました

 私の独自取材でわかった和歌山カレー事件に関する警察と検察の不正について、また新たに和歌山地検に書面で取材を申し入れました。

 取材申し入れの書面は特定記録郵便で送付しましたが、日本郵便の郵便追跡サービスによると、本日午前9時46分、和歌山地検に到着したとのことなので、以下に全文を公開しました(PDF版とテキスト版があり)。

 ただ、書面だけを見ても、予備知識がない人は内容を理解できないと思いますので、取材申し入れの趣旨を若干説明しておきます。
 
 まず、前提となる事実に関する説明からです。

 和歌山カレー事件の犯人とされている林眞須美死刑囚については、1998年の事件発生当初、保険金目当てに人にヒ素や睡眠薬を飲ませる犯行を重ねていた疑惑が取り沙汰されました。そして実際、林死刑囚は死亡保険金目当てで人にヒ素を飲ませたという内容の殺人未遂事件4件で起訴されています。さらに裁判では、検察官がこの4件の他にも林死刑囚が死亡保険金目当てで人にヒ素や睡眠薬を飲ませた「類似事実」が19件あったと主張しています。

 これら23件(=起訴された4件の殺人未遂事件と19件の類似事実)のうち、被害者が死亡したとされる事件は1件のみですが、換言すると、検察官は林死刑囚の裁判において、林死刑囚がカレー事件のほかにも「23件の保険金目当ての連続殺人・殺人未遂事件」を起こしたと主張していたことになります。

 対する林死刑囚はこれら23件の事件をすべて否認しましたが、結果的に裁判では、一部の事件は事実と認められたうえ、林死刑囚がカレー事件の犯人だと示す間接事実であるかのような認定がなされています。
 
 以上が前提となる事実で、以下は私が独自に取材してわかったことです。

 私はこれら23件の事件の現場のうち、訪ねることが可能な場所は実際に訪ねて取材してみたのですが、うち3件の現場については、警察も検察も裏付け捜査を一切行っていなかったことが判明しました。

 また、林死刑囚の裁判記録を検証したところ、そもそも検察官は林死刑囚の裁判において、これら23件の事件の現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を裁判に一切提出していないこともわかりました。

 検察官が本気で林死刑囚について、23件に及ぶ保険金目当ての連続殺人・殺人未遂事件を行っていたと考えていたなら、そのようなことは現実的にありえません。

 したがって、これらの23件の事件については、検察及び検察と共に捜査にあたった警察が林死刑囚のことを和歌山カレー事件の犯人にするために捏造した架空の事件であるとみるほかありません。

 よって、私は和歌山地検に対し、以下の通り、取材を申し入れた次第です。

 和歌山地検から回答があれば、改めて報告します。

〈5月15日追記〉
 本日、午前10時20分過ぎに和歌山地検の広報官・奥田氏より電話で回答があったので、末尾に追記しました。




・・・・以下、意見書1(テキスト版)・・・・


2024年5月7日

和歌山地方検察庁検事正 柴田真様

  先日は私の取材申し入れに対し、ご対応下さり、ありがとうございました。和歌山カレー事件について、新たに貴庁に取材させて頂きたいことがあり、連絡させて頂きました。

 以下、貴庁への質問などをまとめていますので、ご対応をお願い致します。

片岡健
※私の住所や連絡先は同封した名刺に記載している通りです。

 【貴庁への質問】

 貴庁は林眞須美氏の確定審において、林氏が死亡保険金目当てに夫や知人男性を殺害しようとヒ素や睡眠薬を飲ませた事件が23件(内訳は公訴事実4件と類似事実19件)あったかのように主張しました。林氏は23件を全て否認しましたが、確定判決では、23件中6件(内訳は公訴事実3件と類似事実3件)が事実と認められたうえ、林氏が和歌山カレー事件の犯人であることを示す間接事実であるかのように判示されました。

 しかし、私が和歌山カレー事件について取材する中、以下2点の事実が判明しました。

 (1)上記23件の事件のうち、3件の現場である岸和田競輪場、■病院内の食堂、喫茶店■において、貴庁も和歌山県警も裏付け捜査を一切行っていないこと(※筆者注・■は、原本では実名) 

 (2)そもそも、貴庁は林氏の確定審において、上記23件の事件の現場で裏付け捜査を行ったことを示す証拠を一切提出していないこと

  これらの事実に照らせば、上記23件の事件はいずれも、貴庁と和歌山県警が林氏を和歌山カレー事件の犯人とするために捏造した架空の事件だとみるほかありません。
 何か反論があるようでしたら、お聞かせ下さい。 

【回答期限】

 回答期限は本年5月15日(水曜日)の午後5時とさせて頂きます。
 貴庁が回答期限の延期を必要とされる場合、ご相談頂けましたら幸いです。

 【特記事項】

 今回の取材申し入れについては、公開質問の形をとらせて頂きます。本書面が貴庁に到着次第、私が運営しているnote(URLは以下の通りです)において、本書面を公開しますので、ご承知おき下さい。

●私のnoteのURL https://note.com/ken_kataoka/

・・・・以上、意見書1(テキスト版)・・・・

〈5月15日追記〉
 本日午前10時20分過ぎ、和歌山地検の広報官の奥田氏より電話で伝えられた回答は次の通り。
 「事件の内容に関わることなので、お答えできません」

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