見出し画像

趣味と趣味

興味がいくつかあると、それらが相互作用でどっちもさらに楽しめるんじゃないかなーってことを思ったりしている。趣味Aだけでなく趣味Bもあると、趣味Bの視点から見た趣味Aの側面が浮かびあがってきたり。

ごくごく個人的な話にはなるけども。
祖父がとにかく器用な人で、凧を自作したり、お盆のときに使う釣り提灯を作ったり、あとめちゃくちゃ字が上手かったり。なぜか小1ごろの誕プレでカッターマットをもらい、それは今でも使っていたりする。そんな影響で工作みたいなのはずっと好きで、個人的には折り紙が特に好きだった。その頃はネットの使い方もさっぱり分からず、一冊の折り紙本をぼろぼろになるまで読み込んで折り紙を作っていた。(ちなみにその本は今、姪っ子の元に旅立ったらしく、おじさんとしてはニコニコしてる。

みたいなエピソードが山登り、映画、小説、ヒップホップ、写真、と続いていくんだけど、その辺は会ったときにでもきいてくださいな。で、この辺がいろいろ関わりながら趣味を広げていってる。現在進行形で拡張しているところで、イマイチまとまってないけど、まぁ深夜テンションで乗り切ろう。

映画──写真

映画を好きになった始めのころは「ド派手なアクションがある」、「ストーリーにワクワクする」、みたいなところしか見てなかった。でも自分で写真を撮るようになると、ひとつひとつの構図だったり、写っているもの自体に注目したりと面白さが増していく。

映画に関する文章を読んでみると実はそれが監督の意思によるものらしい。じゃあ今自分が撮ってる写真の面白さってなんだろう、と考えると偶然性がメインにあるのかなーとか。

そうしたものを撮るために映画ではいろんな製作陣がいて、監督から脚本、編集、衣装、音楽などなどたくさんの人が関わっている。逆に写真はひとりでやる人が多いし、そういうイメージがあるけど、もっといろんな人と関わって「作る」ことをしてもいいんじゃないかという気づきもあったり。

今まで雑にではあるけど映画を1300本くらいは見てるらしく、そういう「作られた映像」に慣れてると自分が写真を撮るときにも何かしら構図感覚が身についてる気もする。

シネフィルといわれる映画大好き人間たちは「運動」だとかで映画を持て囃すところがあるけど、写真にはそれがなく、じゃあ逆に写真の面白さは前後の動きがない分「想像」させることなのかもしれない。

他にも映画のストーリーの伝え方と写真のストーリーの伝え方は違うだろうし、そういうことを意識的にやれるようになるとまた面白くなる気もする。(まだ分かってないところはボカして逃げるスタイル…)

少し毒を吐くようだけど、シネマティックな写真とかはただ写真界隈の流行で、映画がなにをもって映画なのか、というのを考えると安易にむすびつけるのは思考停止だろう。
同じカメラを使って作るものだけど、映画と写真の違いを考えるとさらにどちらも楽しめるようになると思う。

あとは写真のことも知識がついたおかげで映画もさらに面白い。最近だとスピルバーグ「フェイブルマンズ」で撮ることの暴力、濱口竜介「寝ても覚めても」で牛腸茂雄の写真と映画内容の関係、みたいなのがさらに理解しやすくなったりもする。

写真──ヒップホップ

これはどっちかというとヒップホップの面白さを写真に持ち込んで考えてる感じ。

分かりやすいところで言うとヒップホップにはサンプリングなる文化がある。パクりだどうこうで最近もケンカ騒ぎがあったりしたけど、写真なんてのはそもそもが現実のコピーだと森山大道が言ってたし、いうたらパクっていくことでしかできないのが写真だったりする。

他にヒップホップのビートは同じ音のループでできていて、写真もプリントというループによって大量に繰り返し作れる面白さもある。(オリジナルプリントとかで付加価値つけることはある)
森山大道の展示なんか顕著で、同じ写真をブワーっと貼ってるやつがあったりする。
だいぶ話がそれるけど、森山大道が硬派そうなスナップ勢からも支持されてるのが面白くて。どう考えてもアート寄りの作家なのに、どちらからも支持されて一般にも浸透してるの、やっぱすげぇね。

ヒップホップを聞いてて面白いのは、アルバムに「skit」としてしょーもない会話が挿入されてるやつ。インタビューなどの本人としてではなく、キャラクターとしてのラッパーをぐっと身近に感じられて楽しい。
で、これをブックに落とし込めないかなーということで、俺もZINEの中にでっち上げた会話を入れたこともあったりした。

基本的に曲を聞いててヒップホップを感じるのは「おもろいこと言うてる」とき。ラップって韻を踏んでるだけじゃなく、言葉の連想ゲームみたいなところもある。
watsonがこの辺面白くて、「路地裏でパフパフ、俺の婆ちゃんのエビフライはサクサク」とか「小顔のまま広くなっていく顔」とかホント面白い。
ブックや展示で写真を並べるときもそういう連想ゲームみたいな面白さは欲しいなーと思ってて、これとあれが繋がってる、みたいなのを自分の写真の中で見つけていくのが楽しかったりする。

ラップではコラボ曲も多い。同じビートに対していろんなラップを乗せていく面白さ。
これを写真でもやれないかなというのが「擬態」とか過去に出したコラボZINE。写真のテーマを決めて、それに対してお互いが写真を出し合っていく。そこにオリジナリティがあったり、逆にテーマや相手ありきだからこそ撮れる写真があったりする。

あとマインドの話だけど、今、日本でヒップホップがちょうどキてる時期で、若手がとにかく多くて、みんな成り上がろうともがいてる。Twitterの写真界隈では「これでいい」感の雰囲気があって、それ自体は悪くないけど、もっと上昇志向のある同世代が欲しいなーというのは正直ある。
それに対して、この前BADHOPが東京ドームを成功させたり、ラップスタアとかのオーディション番組をきっかけに売れる土壌ができてるヒップホップ界には、同世代で頑張ってる人が多い。個展やるときはralphの曲を聞いて気分を上げてたりした。孤独にもがいてる人もいるのがヒップホップで、気持ちを重ねたりもする。


こんな感じでとっ散らかりながらもいろんなことに手を出して、自分の中で無理やり結びつけて考えながら遊んでる。

映画好きとはいってもヒッチコックトリュフォーのなんちゃらみたいな本は読んでないし(そもそもちゃんと見てないし)、ヒップホップ好きなくせに本家大元のUSのラップは大して聞いてない。正史を追ってないのはどうしても負い目を感じる部分はある。

他にも自分のバックボーンや生活を上手く写真や趣味に落とし込める人も尊敬する。きちんと積み重なった歴史が存在していて、それがストレートに伝わってくる。俺はそういうのがあんまりできなくて、フィクションだとか外のものに面白さを見出だしてたからなのかもしれない。

でも自分が好きになったものを広げてみると案外共通点がある。振り返ってみると、網目状のデタラメな、でもオリジナルな歴史ができあがってるような気がする。これといったバックボーンもなく、面白い生活を送ってるわけでもない。それでもいろんな興味があると、世界はどんどん立体的になっていく。そうやって楽しんでいこうぜ。みたいな、感じです。



よかったら投げ銭お願いします!いただいたサポートはZINEの制作、展示準備等に使わせていただきます。