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西成の冬のこと

前回で夏祭りのことを書いたけど、今回は年末の越冬闘争のことを。

年末年始は企業など休みのところが多く、日雇い労働者の働き口が少なくなる。そうなると宿に泊まることもできずに路上で寝泊まりすることになってしまう。そういった厳しい冬をみんなで乗り越えようというのがこの越冬闘争。(かなりザックリした説明)

このときも夏祭り同様ステージでの演奏があったりいろんななイベントをやってるけど、冬ということもあって三角公園の真ん中に焚き火があって、それを囲むようにみんなが集まっている。

あるおじさんがギターを弾いて、それに合わせて踊るおじさんがいたり。
あるおじさんから兄ちゃん、一本タバコええか?と言われて渡すと別のおじさんに渡して、アニキの分やねん、ごめんな、俺は吸わへんのよとニヤっとしたり。
余命宣告されてるおじさんもいた。毎週教会に行きピアノを弾いてるらしい(奈良で朝6:00からとのことで行けなかったが…)。

夏祭りと違って出店とかはなく観光で来てる人は少ない印象。
西成のおじさんたちが焚き火を囲んで集まっている中に入っていくと、自分が生きていく中で感じる寂しさだったり不安を共有してるかのような気分になる。でも、こっちが勝手に感傷に浸ってるだけで、ここに住む人たちは毎日こういった思いをしていて当たり前になってるのかもしれない。

今どんな気分ですか?など不躾なことを聞くわけでもないので想像するしかないのだけど、俺がここにいても出ていけとか言われたりすることもないし、孤独な人たちが焚き火というひとつのぬくもりに集まって手をかざしている空間は心地よかった。

年明けには野球をしてる人がいたり、餅つき大会、その餅の配給などもある。年末は少し感傷的なところもあったけど、正月はやっぱり正月気分で楽しくわいわいしてる。子供も来て一緒に餅をついたり、高齢者が多いので「餅はゆっくり食べてくださいね~」という呼び掛けがあったり。

全日程を参加したことがあるわけではないので全部は書けないけど、夜には人民パトロールというのをやっていて大阪各地で路上生活者を労るデモ行進もやってるらしい。今年の年末は参加してみたいと思っている。

冬は夏とはまた違った雰囲気になる西成。静かに、それでも強く生きる彼らの姿に力をもらったことは確かで、もし興味がある人はぜひ一緒に行きましょう。


鷲﨑雄一写真展「西成」展示情報
会期:9/16,17
会場:アートギャラリー ヒルズワン (大阪府豊中市本町6-1-1 2F 阪急宝塚線「豊中駅」から徒歩8分
※入場無料

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