ZINE「釜の道」について
西成を見つめたZINE「釜の道」を販売します。個展「西成」にて先行販売致しますので、ぜひお越しください。
オンラインでは下のリンクから展示終了後の9/17(日)19:00ごろよりお買い求め頂けます。手にとってご覧いただけると幸いです。
ZINE本体について
¥3,500-
・A4横
・118ページ(写真112枚掲載)
・本体厚さ約9mm
・全ページモノクロ
・無線綴じ
印刷:イニュニック
表紙:アラベールホワイト200kg(マットPP加工)
本文:マットコート110kg
※100部限定、それぞれにエディション/サイン入り
タイトル「釜の道」とは…
大阪市西成区の中でも日雇い労働者が多く住む区域は「釜ヶ崎」と呼ばれています。釜ヶ崎の路上で生きる人、そしてこの街がこれから歩む未来を思って「釜の道」としました。
また、本の表紙は姉に書いてもらいました。手書きの文字にしたことで、このZINEの雰囲気も伝わりやすくなったかと思います。そこもぜひ注目してもらえると嬉しいです。
掲載エッセイ
ZINE「釜の道」より引用
釜の道
鷲﨑雄一
釜ヶ崎。大阪市西成区の中でも日雇い労働者が多く集まり、簡易宿泊所がたくさんある区域だ。
萩之茶屋南公園、通称三角公園を中心に多くの日雇い労働者がそれぞれ思い思いに過ごし賑わいを見せる一方、最近はここに暮らす人たちの高齢化や浄化政策などによってかつての活気が失われている側面もある。
私はここに来ると束の間の自由を感じる。仲間内で会話に盛り上がる人、公園で昼間から酒を飲む人、路上で寝っ転がる人。
一緒になって酒を飲みながら釜ヶ崎の人と話してみると出身は様々で、長崎や宮崎、愛媛、東京、神奈川と全国各地からここに集まっている。それぞれに人生があって、話を聞くだけでもすごく面白い。
あるおじさん曰く、ここは「人生の終着駅や」とのこと。私も、もしかしたら何十年後かにここにいるのかもしれない。そして、ここならきっと誰でも受け入れてくれるだろう、という懐の大きさも感じたりする。
ただ、自由の裏には寂しさもある。昔はもっと荒れとったんやで、と釜ヶ崎に長く住んでいるおじさんはぽつりと語ってくれた。喧嘩はもちろん、暴動が起きたり、警察すらも入ってこない場所があったりしたそうだ。時が経つと人は老いていき、かつての活気は今はない。
さらには政策によってあちこちが浄化され、彼らの住む場所が取り壊されたり十分な福祉が行き渡らなかったりしている。
釜ヶ崎は変わっていく。それでもここを居場所とする人が実際にいて、寂しさを漂わせながらもここで生きていく様に力をもらうこともある。釜ヶ崎の人、そしてこの街の行く先をこれからも見届けたい。
制作後記
写真を選ぶにあたって、釜ヶ崎の人だけでなく街自体にも目を向けました。そこにも情感があり、暮らしている人の気配が残っています。人と街が失われつつある今、写真を通してこの釜ヶ崎の姿を残したいと思っています。ご覧になった後、感想などいただけると幸いです。
また、「釜の道」はイニュニックから印刷しました。
表紙の手触りも良く、けっこういい出来になったのでぜひ手にとって見てほしいです。
初めてのイラレを使った入稿でミスもあったのですが、担当の方に電話やメールで細かく連絡していただきなんとか完成しました。本当にいい仕上がりです。
今回はとにかくA4横で作りたいという思いがありました。過去に20冊以上はZINEを作ってきましたが、どれもA4横サイズのフォーマットがなく、横写真を撮っている者としてはもどかしい思いをしていたのが正直なところです。
(横写真の方が様々な情報を入れやすく、人を撮るときはその人が暮らしている環境なども写真のフレームに入れやすくて気に入っています。
最後に
現時点でできることは全てやり切ったZINEです。100部限定ですのでぜひ買ってほしいです。このZINEを持ってることを誇りに思っていただけるよう今後も頑張っていくので、ぜひ応援よろしくお願い致します。
よかったら投げ銭お願いします!いただいたサポートはZINEの制作、展示準備等に使わせていただきます。