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ジャニー喜多川の性加害に関する一連のもやもやとずっと沈黙してるファンが怖い話

※この記事には性暴力に関する記述が含まれます。

疑惑を放置することの最大の弊害は、子どもたちに対し、性暴力の被害者になった場合に、声を上げても無駄であると、諦めの気持ちを植え付けることにある。

「ジャニーズ問題」 徹底した事実調査を 性被害抑止へ急務 琉球大准教授/白木敦士【視標】

穏やかなタイムライン

BBCがジャニー喜多川の性加害について取り上げてから約2か月、この問題にどう向き合えばいいのかぐるぐる考えている。都市伝説的にうっすら聞いたことがある程度だったものがどうやらつい最近まで続いていたらしいことへの衝撃、複数の元ジュニアの証言から浮かび上がる性加害の実態、ジャニーズ事務所に所属するグループのいちファンとしてこれをどう受け止めるべきかという混乱。

とあるグループのファンをしていて、彼らに関する情報を得るためのツイッターアカウントを持っている。公式アカウントと、フォロワーが3桁~5桁いる規模が大きめのアカウントを主にフォローしていて、タイムラインを流れていくのは、グループの新譜情報、番組出演のお知らせ、過去のレポやエピソード、素敵なイラストなどだ。私も普段はそれらを楽しく見ていた。

しかし、BBCのドキュメンタリーが放送された後も、元ジャニーズジュニアの記者会見が行われた後も、タイムラインは特に荒れることもなくいつも通り穏やかで楽しそうだった。フォローしている人たちがあえて沈黙を選んでいるのは承知しているし、グループごとにファンの雰囲気も異なるので、他のグループのファンがどれくらいこの話題を口にしているのかは分からない。もちろん、ツイッターの鍵もついていないアカウントに想いを吐露するなんて、周囲との関係がこじれる可能性があるし、過激な人に絡まれる危険性もあることは私にも分かる。実際、ありとあらゆる単語を使って検索をしてみると(孤独すぎて同じようなことを考えてる人はいないものかと必死に探してしまった)、マシュマロやふせったーなど検索されづらいかたちで複雑な心境を打ち明けるファンもちらほらとは見かけた。

だけど、いつもと変わらないタイムラインはまるでそれらの出来事が起きていないようで、正直言って異様で恐ろしかった。

BBC「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」の衝撃

BBCがジャニー喜多川の性加害のドキュメンタリーを放送するというニュース「加害が明るみに……それでも崇拝され 日本ポップス界の「捕食者」 - BBCニュース 日本の芸能界、ポップスの世界に長く君臨したジャニー喜多川氏は、どのようにして長年にわたり10代の少年たちを搾取したのか」が出たのは3月7日だった。BBCが出した上記の日本語記事を読んだ感想は「本当にあったことだったんだ」という衝撃と「それにしてもオリエンタリズムのにおいがぷんぷんして嫌な感じ」だった。

※動画は以下で視聴可能(英語&日本語音声+中国語(繁体字)字幕)

実際に映像を見た後も同じような感想ではあったが、いくつか新しい知識を得た。

ひとつは、2017年に「強姦罪」が「強制性交等罪」に名称が変わり、性別を問わず被害者になりうるとした法改正が行われたこと。少年への性的虐待や性暴力自体を罪に問うことは、青少年保護育成条例違反や強制わいせつ罪などによって可能ではあるらしいが、最近まで「強制性交の被害者が女性に限定されていた」という事実には驚きを禁じ得なかった。もうひとつは、「合宿所」≒「ジャニー喜多川の自宅」だったこと。これまでに聞いたいくつかの「合宿所エピソード」が脳内をよぎった。合宿所と呼ばれるものは複数あるようなのでそれらの全てではないにしろ、そういったエピソードをどう解釈すればいいのか全く分からなくなってしまった。

放送後、ファンもメディアも恐ろしく静かだった。ジャニーズに興味がない人ならいざ知らず、自分たちが応援したり逆に元気をもらったりしている人たちに関わることであり、週刊誌がアクセス稼ぎに配信した取るに足らない記事などとは程度が異なるはずなのに、ツイッターのタイムラインはまるで何事もなかったかのように凪いでいた。メディアでも、報道機関らしいところに限ると朝日新聞GLOBE+が報じただけで、ほとんど話題にならなかった。

BBCの放送を日本で視聴するには一定の視聴環境が必要で、かつ、内容も過去に週刊文春が出したもの以上のインパクトはなかった(らしい)、といった理由からニュース自体になりづらいことは理解できる。ドキュメンタリーの内容について、個人的に違和感を抱く箇所もいくつかあった。例えば、全体的に「極東の奇妙な島国ジャパン」という雰囲気がぬぐえないことや、証言者たちの「ジャニーさんには感謝の気持ちもある」という言葉の真意を深掘りすることなく、あくまで記者が自身の判断基準のもと彼らをジャッジし「これがグルーミングだ」と言い放つ部分などだ(「グルーミング」という概念の提示は重要だったと思うが、証言者たちに対して雑なラベリングを行うのはドキュメンタリー制作を行う上で適切な態度ではないように思えた)。しかし、ドキュメンタリーの内容は、そういったことがあったらしいという曖昧な認識しか持たなかった私にとって、上記の批判すべき点を補って余りあるくらい衝撃的なものではあった。

ドキュメンタリーがイギリス国内で放送された頃、予約していたカレンダーが届いた。素敵なデザインスタジオと素敵なカメラマンによる写真集みたいなカレンダー。凝ったパッケージや綺麗な写真に心をときめかせながら、一介のファンに過ぎない自分も、ジャニーズ事務所がメディアを黙らせる構造の維持にいくらかは加担して/させられてしまっているのだと思って少し途方に暮れた。

やはりジャニーズ事務所の影響力は非常に大きい。特にテレビ、そして本来であればテレビがやらないことは週刊誌など雑誌業界の出番なんですけど、所属タレントのカレンダーを発売するなど、きっちり利益共同体ができあがっている。大手出版各社を事務所が押さえていたというのはやっぱり相当強かったんだろうと思います(文春編集長)

ジャニーズ性加害問題、週刊文春編集長が指摘する「メディアと事務所の利益共同体」

記者会見とジャニーズ事務所のゼロ回答

いろんなことが動くきっかけになったのは放送から1か月ほど経った4月12日、カウアン・オカモトさんが日本外国特派員協会での記者会見に応じた日だった。さすがに実名・顔出しで行われた記者会見を取り上げないのは不自然と判断したのか、共同通信を皮切りに、五大紙も電子版や紙面で取り上げ、NHKもその様子を(一日遅れではあったが)夕方の5分枠のニュースで放送した。

このとき、共同通信による問い合わせにジャニーズ事務所が返したのはまるで何も言っていないゼロ回答。企業に説明責任が求められる2023年に取るべき対応とは到底思えないものだった。

弊社としましては、2019年の前代表の死去に伴う経営陣の変更を踏まえ、時代や新しい環境に即した、社会から信頼いただける透明性の高い組織体制および制度整備を重要課題と位置づけてまいりました。本年1月に発表させていただいておりますが、経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、引き続き全社一丸となって進めてまいる所存です。

ジャニーズ事務所のコメント全文

そもそもBBCから取材を受けた時点で、その後の展開を念頭に入れて、たとえ実情は伴っていなくとも「調査する予定だ」程度の回答は準備するべきだったと思うが(BBCの取材に対してもジャニーズ事務所は上記とほぼ同様の回答を行っていた)、この期に及んでなおこのような回答しか出さないことに唖然としてしまった。ジャニーズのファンとして、というよりは、一般企業で仕事をしている人間としてだ。

このような危機発生時に「ゼロ回答」で鎮火させるというのは今から30年くらい前によく使われた手法であって、令和の今では「悪手」だ。
マスコミから「企業の社会的責任」「説明責任を果たしていない」などボロカスに叩かれ、週刊誌やネットニュースにも悪い話が次から次へと出て、顧客や株主からは「舐めてんのか」というお叱りの電話が朝から晩まで鳴り響く……という感じで、火だるまになること間違いなしの「非常識対応」だ。

ジャニーズ事務所の「性加害報道」コメント、危機管理の視点で企業はお手本にできるのか

しかし、やはりタイムラインは変わらず穏やかだった。当時、一部のネットメディアでジャニーズのファンは揃ってカウアンさんを売名などと中傷していることになっていたが、あれはファンのごく一部にすぎないと思う。(なお、一部のファンによるカウアンさんの中傷について、彼の言動に不信感を抱く部分があるというのは私も理解できるが、彼の普段の素行と彼が性被害に遭ったことは別問題である。)

4月26日に、ジャニーズのファンであるみきーるさんという方が文春オンラインに寄稿した記事がある。個人的にはこの記事にあるファンの反応がいちばんしっくり来た。週刊誌の売り上げやPVに貢献してはいけないものと訓練されてきたファンが多いからか、この記事がファンの間でそれほど話題にはならなかったようだ。

 オカモトさんを厳しい口調で非難するファンたちは悪目立ちしていますが、自分の応援するタレントの活動に影響が及ぶことを何よりも心配する人は複数いました。Bさんは「あんたさえ黙ってれば平穏が保たれたのに! ってつい思ってしまう……」と憤慨する一方で、「でもこれが他の事務所の話だったら、しっかり暴くべき! と私も言ってたかも」と、揺れる心を吐露してくれました。

オカモト・カウアン氏の性加害告発への“本音”をジャニーズファンに聞いてみた「事務所はちゃんと清算して呪いを解いてほしい」「私も“共犯者“かもしれませんね」

和田彩花さんによる「アイドルの世界のあらゆる暴力に反対します」という連帯のメッセージもこの頃だった。ファンの葛藤を描いたみきーるさんの記事や、和田彩花さんのその言葉にはいくらか救われるような気持ちになった。

防げていたかもしれない被害、やり場のない怒り

ここ数年、ジャニーズ事務所は各所で「海外進出」を打ち出し(ておいてサブスク解禁が劇的に進むわけでも動画に日本語以外の字幕がつくわけでもなく各種インフラの整備は進んでおらず海外進出自体が「ポーズ」では?とも思えるがそんなファンの愚痴は置いといて)、2023年1月にも「2023年”私たち”の約束」なる広告を日経新聞に出し(てファンの失笑を買いはしたが)、新しいジャニーズに生まれ変わるのだというアピールを行ってきた。

私が初めてジャニーズのファンクラブに入ったのは2016年だが、その時点ではコンサートの申し込みが郵便局の振込用紙で行われており(先払いで落選したら手数料だけ取られて返金という不親切仕様)、2016年でそんな状態だったことを考えれば、ここ数年で実際に生まれ変わろうとしたのだろうとは思う。しかし、だとすればなおさらBBCや国内メディアの取材に対して不誠実なゼロ回答を貫くのは「約束」に行動が伴わないことになる。そのような行動は企業が果たすべき説明責任を果たしていないと受け取られ、さらなる不信感を招くとは考えなかったのか? それでもファンが自社タレントにお金を出しさえすれば商売が成り立つので問題ない、ということなのか? だとしたらジャニーズ事務所は舐めすぎだし、ファンはファンで不誠実な事務所に懐柔されすぎではないか?

よくもわるくも、テレビさえ黙らせてしまえば人々もその話題を忘れてしまうような時代に私たちは生きていない。報道された内容についてその真偽や落としどころをはっきりさせるためにも、ジャニーズに思い入れがない/良くない感情を抱く人々が冗談半分で行う「あのタレントも被害に遭ったのだろうか」という中傷からタレントを守るためにも、ジャニーズ事務所は可能な限り早い段階で適切なコメントを発信しておくべきだった。

当時、ジャニー喜多川による性加害の真相を明らかにしていれば傷つかずに済んだ人たちがいたかもしれないことを考えると、やりきれない気持ちと行き場のない怒りを感じる。懲りずに加害を行ったとされるジャニー喜多川に対してもだが、当時それらを黙殺したメディアや関係企業に対しても同様の怒りを感じる。同時に、噂だしみんな楽しそうに思い出話するしと受け流していた過去の自分に対して、「じゃあどうすればよかったんだろう?」という出口のない問いを投げかけてしまう。

「男性の性被害神話」と二次加害

男性への性暴力に対する偏見と誤解、誤っているにもかかわらず広く信じられている「男性の性被害神話」に以下がある。(5/19追記:子どもへの性的搾取に関する解説記事へのリンクを末尾に追加)

①男性が性被害に遭うはずがない。
②女性が性犯罪の加害者になるはずがない。
③男性/男児への性被害の加害者/被害者は、ゲイである。
④男性から性的虐待を受けた男児は、その後ゲイになる。
⑤性的虐待を受けた男児は必ずその後、自らも性的虐待の加害者になる。
⑥性被害を受けても男性/男児は女性/女児ほど傷つかない。
⑦性被害を受ける男性は弱い。
⑧もし暴力がなければ、抵抗できるはずである。抵抗しなかったなら、彼もその行為を望んでいたに違いない。
⑨もし性的な反応が起こったら、被害者である男性/男児もその行為に同意していたも同じである。

岩崎直子「男性の性被害とジェンダー」宮地尚子編(2004)『トラウマとジェンダー:臨床からの声』金剛出版

BBCによるドキュメンタリーが放送された後、週刊文春による露骨な性暴力の描写を含む告発記事が相次いで公開された。それらの記事がジャニーズ事務所社長による公式見解を引き出すきっかけになったことは否めないが、性暴力に関する報道は、実際の被害者だけでなく過去に被害に遭ったことがある人々に不要なフラッシュバックをもたらさないために、細心の注意を払ったうえで行われるべきだったのではないかと思う。実際に、ネット上では上記の神話を含む面白半分のからかいが散見された。匿名で発信できるネットなんてそんなものと言ってしまうのは簡単だが、大手メディアが沈黙を守り適切な報道を行わなかったがゆえに引き起こされた二次加害/中傷も中にはあるだろう。

ジャニーズ事務所提供素材を使った一斉報道と不気味なパラレルワールド

5月14日21時、藤島社長による公式見解謝が公開された。そのとたん、堰を切ったようにスポーツ新聞各紙、各テレビ局がジャニー喜多川の性加害について取り上げはじめた。

そもそも記者会見ではなく謝罪動画と文書の公開に留まり、性加害の事実は否認し(加害者が亡くなっているため確かに難しいとは思う)、第三者委員会は立ち上げないし、社長も辞任しないという一般企業だったらおそらくありえないだろう対応だった。「身内の責任取らされるのもね」という同情もあるようだが、社長なのだから責任を取るのは当然だ。結局、公式見解は記者会見時に出したゼロ回答に不誠実を上塗りしたにすぎず、ジャニーズ事務所への追求はしばらく続くことになりそうだ。どうしてコメント出すたびに火に油なんだよと思うが、文書にあった通りジャニー喜多川とメリー喜多川の2名が絶対権力を持つような経営が続いていたとしたら、もはやジャニーズ事務所だけでは適切な対応ができないのかもしれない。(最大限の譲歩)

被害を受けたという証言の真偽は専門機関によってのみ検証が可能だと思うものの、2004年の裁判で「(少年たちによる性被害を受けたという証言に)真実性の抗弁が認められ」るとされた後も依然として性加害が続いていたならば、ジャニーズ事務所はそれを組織的に容認していたのではないかという疑惑が持ち上がるのも無理ないだろう。ジャニーズ事務所としては関わりございませんでした、というていで対応を進めていくのだろうが、今後組織的関与が判明したとき、いよいよジャニーズ事務所はにっちもさっちも行かなくなってしまうのではないか、と怖いような醒めたような妙な気持ちになっている。

社長による公式見解が出た後も、平和なタイムラインは発売されたグッズやツアーの話題で持ち切りである。話題にして事を大きくしてしまったら自分が好きなタレントを傷つけるかもしれない、好きなタレントの評判を落とすかもしれない、それによって彼らの露出が減り、彼らがこれまで積み重ねてきた努力が水の泡に帰してしまうのかもしれない、そんなことは我慢ならない、といった想いはあるのだろう。しかし、被害を受けたとする人物による実名・顔出しの記者会見が開かれ、また、現社長による公式見解までもが出てしまった現在、それらの出来事が起きていないかのような穏やかなパラレルワールドはかえって不気味に感じる。

おわりに

来月からツアーが始まる。正直どんな気持ちで参加すればいいのかいまいち整理がつかないまま、まだぐるぐると考え続けている。今後ジャニーズ事務所がどうなるのかは分からないが、なあなあで終わらないことを祈りつつ、できる限りのことをしようと思う(事務所への問い合わせがメールからできなくなってるの「ファンファースト」から乖離しててイライラするけど)。ジャニー喜多川の性加害に関して今後も報道が行われると思う(思いたい)が、単に事務所のコメントを垂れ流すだけではなく、性暴力に対する偏見を取り除き、被害に遭ってしまった人がその口を塞がれてしまわないような情報が広く共有されると良いなと思う。

関連する映画を見たり、本を読んだりして性暴力や性被害への理解を深めようと努めるなかで、性被害を受けた人は確かに被害者ではあるが、別に彼らを「おぞましい性被害に遭ったあわれむべき被害者」という雑なカゴの中に入れる必要はないし、そうすべきでもないのだなと思うようになった。ある人物が性被害を受けたからと言って、その人物が性被害だけによって定義づけられるものでは全くないからだ。言葉にすると自明のことに思えるし、身近な友人から性被害を打ち明けられたときに実践できていたことだと気が付くけど、はっきりと認識するのは意外と難しかった。

最後に松尾潔さんがラジオで話していたことを引用する。

私は、今回の疑惑を放置することは、ジャニーズ事務所だけの問題じゃないと思っています。一番の弊害は、今回の報道やマスコミの有り様を見た子供たちが、もし性犯罪・性暴力の被害者になったとき、「声を上げても無駄だ」という諦めの気持ちになるかもしれないことです。疑惑を放置することで、社会全体が諦めの気持ちを子供たちに植え付けかねないのではと怖れを感じています。
メディア、広告業界、芸能界だけでなく、みんながこの問題を直視しない限り、性加害や性暴力は、この先もなくならないでしょう。音楽業界に身を置く私も正直つらいです。ましてや、こういう世界に憧れたことがある、あるいは憧れている家族がいる、といった人たちも胸を痛めているはずです。
私たち一人一人が、この国が抱える問題として当事者意識を持ち、みんなで膿を出すというところに、舵を切るべきじゃないでしょうか。
音楽業界、芸能界で仕事をしている私が今、ここでこういう発言をしていることの意味について、察していただければと思います。ジャニーズ事務所のタレントと直接連絡を取ることもある立場にいます。彼らと番組で共演する機会も多いことをご存知の方もいるでしょう。私はタレントを守りたい。その立場でお話しさせていただきました。

松尾潔「私はタレントを守りたい」ジャニーズ社長に記者会見求める

参考記事

6/4追記:弁護士ドットコムニュースのジャニー喜多川の性加害に関する記事のまとめページ。これまでの報道、裁判の経緯、ジャニーズ事務所の対応(危機管理やガバナンスの視点)、少年への性暴力の扱いの難しさ、橋田康さんのインタビューなど、複雑に入り組んだ問題点についての各種記事がそろっている。

暴露本なども含む過去の証言についてひとつひとつ取り上げている。証言にある行為が生々しくまた暴力的なので、なるべく精神的に安定しているときに読むのが良いと思う。

NHKによる特集ページ。男性の性被害の体験談や、社会全体で性暴力についてどう向き合うべきかに関するインタビュー記事や、被害を打ち明けられたときに取るべき行動についての記事など。

5/19追記:子どもへの性的搾取がどのように行われるのか(特に性的グルーミング)、また男性が性暴力にあったときの声の上げづらさについて丁寧に解説されている。

文藝春秋電子版「ルポ 男児の性被害」に掲載された二本樹顕理さんのインタビューの一部。性被害に関する詳細な記述があるため、読むときは注意が必要。また、前編と後編あり、後編では性被害による影響の大きさやお子さんが産まれたことも声を上げようと考えたひとつだったことが語られている。

藤島社長による公式見解に対する二本樹さんの考えを聞いた記事(文藝春秋電子版)。声を上げる理由や今後の社会に対する想いが個人的に刺さったので公開間もないけどリンクをおくことにした。

補記

いちファンのくせにつらつらとファンへの疑問みたいな内容を書いたが、ジャニーズ事務所に所属する/していた彼らを「人間」としてではなく「商品」として見るなら、彼らの商品価値が損なわれうる行動はしないに限るので話題にしないという行動も理解ができるかもしれない。逆にふだんは商品扱いしているのにこんなときだけ人間扱いかよという意地の悪い指摘もできる。別界隈で「アイドルを『消費』することの是非」が話題になっていたが、この件を通していよいよ迷宮に迷い込んでいる。生身の人間を偶像として崇める行為にどうやって向き合えばいいのかは自分でもまだよく分からない。人間は矛盾だらけ。

書いていてふと思ったこと。ジャニーズはファンも含めた疑似家族のような感覚に陥っているのかもしれない。強権的で絶対的だが愛すべき父たる「ジャニーさん」、その「ジャニーさん」を敬愛する息子たるタレントたち、という構図で考えてみると、ファンがジャニーズ事務所に批判的なコメントを「ジャニーズのファンの外部」に向かって行うことを躊躇してしまうの合点がいく。そもそもファンコミュニティなんてどこもそんなもんなのかもしれないが。

そういえば2020年末にそれは駄目だろというぬいぐるみが出たときにジャニーズ事務所に長文のお気持ちメールしたためたけど、そのあとも倍率高めの会場に当選しているのでお気持ち表明、恐れないでいいと思っている。(裏で個人情報と問い合わせのデータベースをひもづけて当選確率下げるなんてあこぎなことはやっていないという証明)(やってるかもって思えちゃう時点で私の洗脳されっぷりも事務所もヤバいなと改めて)

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