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「Stella Binaria」についての解説①

「Stella Binaria」/ 桐壺 × 七味羊羹
作曲:七味羊羹、桐壺
編曲:桐壺

 今回は、10/21の東京農工大学作曲・DTMサークルの作曲大会(テーマ「合作」)で出した楽曲「Stella Binaria」について解説しようと思います。

■ そもそも作曲大会って何ですか

 DTMサークルでない人からすれば、「あの、その“作曲大会“とやらは何ぞ」となるでしょうから、先ずはそれについて解説しようと思います。
 作曲大会はDTMサークルで行われる、サークルメンバーがテーマに沿った楽曲を持ち寄って、様々な部門毎に優勝者を決める大会です。部門は3つあり、現行の作曲大会では「これすき部門」「技術部門」「テーマ一致度部門」の3つが部門として存在します。
 テーマ一致度部門に関しては、大会によって名称が変わる事があります (例:テーマが「御伽噺」であれば、「おとぎ話部門」という名前となる)。

■ 合作の経緯・合作相手についての概要

 さて、今回のテーマは「合作」でしたが、合作相手は乱数によってランダムに決定され、その相手と一緒に曲を作るといった感じで進みました (作詞作曲編曲の担当は自由)。
 そして、乱数で決まった今回の合作相手は七味羊羹くんでした。彼は主に歌モノを作るのですが、どれもメチャクソかっこいい曲ばっかりなので是非聴いてみて下さい。
 ↓七味くんの「誘爆ヒロイン」という曲のリンクを貼っつけておきます。

 後、秋M3に出品されるDTMサークルのアルバムである
・「せいかつのずかん」(テーマ自由)
・「たがやせ!おおかみさん」(テーマ「御伽噺」)

にも、彼の曲が収録されています(しかも合作・作詞含めると合計4曲で、私の2曲よりも多い、見習いたい)。
 どうか作曲能力をコピーしてこちらに移植してくれないかなと切実に思います。

■ 合作の流れ①

 さてさて、合作の流れについて話していこうかと思います。
 先ずは七味くんと「どんな曲を作ろうか」といった相談をしました。
 最初に七味くんの方から音ゲーっぽい曲を作ろうという話が出て、「ベースとパーカッションの音は出来るだけ統一しよう」とか、「最初と最後で同じメロディを使ったらエモいからそうしよう」とか、そんな感じの方針を次々と挙げていく訳ですね。他にも、
・リードの音は各自で違うものにしたら面白いのではないか
・16小節毎に区切って、作曲者で持ち回りにして作曲しよう
といった方針も立てましたが、前者は私が編曲で全体にパルス波を使うといった暴挙に出たので実現せず、後者は単純にやり辛かったのでやめました。

 まあ曲として成立してりゃ良いんです。
 作曲ってそういうものでしょう。

出だし

 出だしの16小節(リバースシンバル含め17小節)は私が作曲を担当しました。このパートの作曲の大まかな手順ですが、
★ネット上で良さげなコード進行を探す
 ↓
★ベース・打楽器類・中音域のアルペジオ・装飾音を打ち込む
 ↓
★メロディを打ち込む
といった感じです。私が作曲をする時はいつもこの手順でやります。
 いつかメロディを先に作ってからコードを付けられるようになりたいですけどね、いつ出来るようになるんでしょうね……。
 因みに、筆者は未だにコードをよく分かっておらず殆どのコードの構成音を知りません。早く覚えろ。

 さて、サークルの時にこの音源を七味くんに託しましたが、どうなるでしょうか。

前半部

 七味くんの音源が送られてきたのは、1週間後の事でした。
 当初、私は「長くてもせいぜい1分くらいやろな」と、送られて来る音源の尺を見積もっていましたが、Discordで送られてきた音源の長さを見て、少々びっくりしました。

送られてきた音源



に、2:13……?!?!?!?!?!



 1分と2分だとあんまり違いが分からないように見えますが、何か凄いんだな~と思ってくれれば大丈夫です。「よう2分も作ったなこの人すげえや……」と思いつつ音源を聴いてみて、更にびっくりしました。
 以下、音源を聴いている時の、私の心の声の書き起こしです。
「え エ エ ェ ェ エ エ エ っ、ライザー使ってるこの人、スネアとキックの使い方上手いなこの人、うわっメロディが沢山ある(表現能力0)、えっこの人こういう曲もいけるんk、さ、サイケトランスになったんだけど、オッ電子音おる、★電★子★音★おるが、おっと急に落ち着いた曲調になった、またライザー使ってるすげえn、ん゛がっっ????!!!!?!?!えっっ、やばっ、これダブステップになっちゃわない!?(れっつ!みらくる☆はーどこあっ!(feat. みしゃも)/Laur より引用)、えっこの人何でも出来るやんこれ、え、やば」(中略)
 兎に角、彼がこちらの想像の100倍のクオリティで作曲してきたのですよ。音源が送られてくる前は「相手は歌モノ作ってる人だし色々難しいんちゃうかな」と心配をしていましたが、ゴリゴリの杞憂でした。
 曲の展開も素晴らしいし、何よりもメロディや中音域がとても充実しており、聴いててとても良かったです。

 そうなって来ると、後半の私のプレッシャーが増大します。ここでやらかすと、全部が台無しになります。クソデカプレッシャーの中、この桐壺とかいう男によって後半部はどう作られていくのでしょうか。

後半部

 前半部の項でクソデカプレッシャーだの何だの言いましたが、後半は前半を作るよりも簡単です (無論、個人差はあるでしょうが)。何故なら、前半の曲のメロディや下地を使い回し出来るからです。使い回しは私の得意分野なので、そこは安心出来る要素ですね。
 寧ろ使い回しをせずに新しく何かやろうとしても情報量が多くなり過ぎるので、使い回しが最適解なのではと思います (100%使い回すのはアレですけど……)。
 前半で曲の展開が多かったので、後半はそこまで暴れなくても良いなと考え、ちょっと落ち着いた曲調にしてから一気にサビまで持っていって、そこから上手~く収束させてエモ~く終わらせようと、何となく指針を立てました。

 ダブステップからどうやって落ち着いた曲調にするかは悩みましたが、テクノにして無理やり落ち着かせる事で解決しました。展開を一気に変える時にリバースシンバルは便利ですね。
 又、普通にテクノにすると逆に曲調が平坦になり過ぎてクソつまらないので、楽器を徐々に足していって曲に変化を持たせました。因みにテクノのベースラインは前半のサイケトランス地帯から引っ張っています。キックや他の音の配置によって同じベースラインでも印象が違うかなと思います。
 その後に最初のライザーの部分をコピペして、最初のスネアを裏拍から表拍に切り替えたり音を微調整したりすれば、自然とテクノ地帯とライザー地帯を接続出来るんですね。

 ライザーの後はそのままサビへと突っ込みます。ここで前半の音源を再利用します。最初のライザーとサイケトランスの間の部分(0:35~0:57くらい)を下地にして、メロディを付けるといった感じですね。
 流石にそのまま丸々使った訳では無く、スネアとハイハットを補完したり、リードとぶつかってしまう音は消したりしました。
 メロディは感性に任せて作り上げました。結局は感性が一番大事なのかも知れないですね。メロディは頭に浮かんで来たものをそのまま打ち込んでいるので、下地とぶつかるようであれば全廃するし、上手く調和すれば変更せずそのまま使います。

 サビの後は徐々に収束して……と前述しましたが、結果的に割と一気に落ち着けました
 出だしの部分を再利用し、メロディを改変して、そこから急に「デンデンデンデン」みたいな音のシンセだけになって、最後に聞き慣れたメロディを流してフィニッシュ……まあ、エモいですね。
 あんまり自分はエモいという言葉を使う事は無いんですが、これを「エモい」と形容せずして何と言うんだと思いますね。

 さてさて、全体の作曲が完了し、後は編曲だけになりました。編曲以降(曲制作・作曲大会の様子)については②で解説しようかなと思います。

 最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


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