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「サバイバー: 宿命の大統領」におけるジャック・バウアーは・・・

かつてFOXの「24」全シーズン、全エピソードを見たある私は、最後にはお祖父さんになっていたジャック・バウアーがその後どうなったのかいつも気にはしていた。ジャック役のキーファー・サザーランドは「24」が終了した直後、「TOUCH/タッチ」という不思議な能力と障害を持つ天才児を抱えたシングルファーザーのドラマをやっていた。ほのぼの系のスリラーかと思って見ていたら終わりの方では巨大企業の陰謀みたいな話になり、このドラマどこに行くんだろうと思っていたらわりとあっさり終了。その後、ジャックいやキーファーはきっとテロとかアメリカ政治の世界に戻ってくるのね、と思っていた通り、2016年開始のドラマ「サバイバー」でアメリカ大統領になっていた。

原題の Designated Survivorは「指定生存者」と訳される。アメリカで閣僚、上下院両義感議員が一堂に会する一般教書演説の際に、その場で爆発でもあろうものなら、大統領継承権を持つ人間全員が一挙にいなくなってしまう。そこで、教書演説の際に大統領継承権の保持者のひとりを万が一の場合に備えて「指定生存者」として会場である議事堂から離れたところに待機させるしくみ。キーファー・サザーランド演じるジャック、いやトム・カークマンは、住宅都市開発長官。長官に着任前は大学教授で政治とは無縁な人物だったが、閣僚の中では重要度の低い仕事の上、大統領のおぼえも悪いので「指定生存者」に指名されていた。そして、一般教書演説中に議事堂が爆破されて全閣僚が死亡したため、トム・カークマンがいきなり大統領に。

そこからはもう「24」の世界だが、もと大学教授のトムはテロ対策の専門家だった「24」のジャック・バウアーのように暴れまわることはない。いかにも教授な眼鏡をかけた目の周りのシワを強調するような撮影も、年も取ったし、思いがけず世界一の権力者になって戸惑うキャラを映し出すよう。

でも、テロや裏切りが次々に起きる「サバイバー」にもきっとジャックみたいな存在が・・・と思って見ていたら、マギー・Q演じるFBIエージェント、ハンナ・ウェルズがまさにジャック。なんの証拠もない思い込みで「やるしかないのよ」と勝手な捜査を続け、あらゆる敵から狙われるが、ちょっと車をぶつけられたり首を絞められたり撃たれたりしてもへこたれない。ハンナの無茶振りは、「この人がジャックなのね」と思いながら見れば驚くこともない。

実際、テロに立ち向かう緊迫のホワイトハウスで職場恋愛が花開いたり、大統領が一匹狼の捜査官を理由もなく信頼してあらゆる権限を与えたり、仕事でしくじった人がいつの間にか超重要な仕事に戻っていたり・・・と、トム・カークマン大統領率いるホワイトハウスは、「24」のテロ対策ユニットそっくり。ジャック、やっぱりあの日々が忘れられないのね・・・。

もうひとつ。「クレイジー・エックス・ガールフレンド」のジョシュ役、ビンセント・ロドリゲス3世が下院議員役で出てきて、意外に似合うのにも驚いた。

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