日本のGDPはどうなるのか(その3)
日本の国際競争力は急速に低下していると言われています。
欧米の先進諸国と差を開けられているだけでなく、中国、インドなどと比べても劣っている分野が見られます。
日本は世界の中で、どのような立ち位置を目指すかを明確にする必要がある時期に来ていると思います。
今回は日本のGDPがどのようになるかについて書いてみようと思います。
3.一人当たり名目GDPを比較してみよう
図表2で対象とした国(2021年時点の名目GDP上位10位の国)について、2000年から2021年までの一人当たり名目GDPの推移を示したものが図表3です。
【図表3:一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】
一人当たり名目GDPの推移を見ると、米国、中国、ドイツ、韓国が上昇していることが分かるでしょう。一方、日本の一人当たり名目GDPは4万米ドルから大きく変わっていない。なんなら2022年、2023年は円安によって一人当たり名目GDP(ドル建)は大きく下がっていると思われます。
※例えば、1米ドル=100円から1米ドル=150円になると(円安)、日本の円建GDPが変化しなくても、米ドル建GDPは66.7%(33.3%減)になります。
中国の人口は世界第2位、名目GDPは第2位です。
これを読んでいる中には、中国は経済大国とイメージしている人がいるかもしれません。しかし、中国のGDPが大きいのは人口が多いからで、決して豊かな国ではありません。
中国の一人当たり名目GDPは2000年の950米ドル(150円/米ドルで換算すれば14万円)から2021年の12,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば180万円)まで伸びました。約20年で12.6倍増加しています。とはいえ、中国の一人当たり名目GDPまだ日本の1/3以下なのです。
中国の平均的な労働生産性は日本の1/3以下、中国人の平均給与は日本人の1/3以下です。先進諸国と比べると、まだまだ中国は貧しい国といえるでしょう。
現在の中国は経済危機に瀕しています。経済危機をやり過ごすことができれば、中国は(先進国まで伸びなくても)先進国並みの一人当たり名目GDPに成長していくでしょう。
そうすれば、14億人のレバレッジ効果から名目GDPは急激に増加するのです。
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次に、日本の国際競争力の脅威になるのが世界最大の人口(2023年度:14.2億人)を有するインドです。
インドの一人当たり名目GDPは2021年時点で約2,000米ドル(150円/米ドルで換算すれば30万円)。日本の1/17ではあるが、既に名目GDPは世界第5位です。
インドの一人当たり名目GDPは今後数十年間上がり続けるでしょう。そうすれば、世界最大の人口を有するインドの国別GDPは急激に増加します。
日本の国別GDPは直ぐにインドに追い抜かれてしまうのです。
<その4に続く>
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