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両親

 私は小学生の頃の記憶がほとんどないので、帰省した際に小学生時代の絵日記や何気ない本読みカードなどを読むのが好きなのだが、最近はダンボールの中から成績表が発掘されその場にいた母親とあれこれ言いながら眺めていた。おもしろくもなんともない成績表だったが、意外だったのは美術の項目の中のいわゆる独創性の部分がAであり、現在でも厨二病を患っている私は人と変わっていると言われたようでとても嬉しかった。

 しかし、そんな成績表を母親は糾弾した。「え?あんたに創造性なんてこれっぽちもないよ??絶対にあるわけない!」と聞いてもないのに否定されてしまった。話を聞けば中学2年生の頃に技術の授業の工作で私はなんの変哲もない本棚を作ってきたらしい。しかもそれは底と側面だけでなく上側も塞がれており、ジャンプコミックしか入らなかったらしい。それを見た当時の母親は「なんで上まで塞いじゃったかな、、このサイズしか入らないじゃん」と私のことを想像力も創造力もない子と思ったとのこと。しかし、父親は違った。その屋根までついてワンピースがギリギリで入る設計の本棚を見て「寸法が完璧で流石だ」と褒めたらしい。親バカだろう。両親でここまで違うのか。

 またある日に小学校の屋上から見た景色の感想を書く授業があった。私は緑のラインの入ったデザインの煙突を携える工場を見て「なぜ緑なのか」と思い感想に書いたのだが、それに対して母親は「なんで工場を見つけた最初の感想が何を作っているのだろうじゃなくて色に言及するのか意味がわからない」と思ったらしい。が、またしても父親は「何の工場か気になるのではなく色に疑問を持てるのは個性で素晴らしい」と褒めてくれた。

 父親の仕事がもう少しでも忙しくなかったら私はここまで捻くれなかったのではないかと思ってしまうような帰省であった。

 ちなみにサムネは小2の私が書いた可愛すぎる空飛ぶダンボである。

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