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娘のおかげで人生初の寄贈式を経験させていただいた。

「私、市長さんにお手紙書くけれど、いいかな?」
と、娘が言ったのは去年の夏頃だったと思う。
どうした? どうした?  急にどうした?
娘がどうして市長さんに手紙を書きたくなったのか夫と二人で腰を据えて話を聞くことにしました。
(普通、市長にさんはつけませんが、さんをつけてお話をさせていただきますよ)
「母ちゃんの病気のことをもっと多くの方に知ってほしいから。市長さんに本とお手紙送るね」
としっかりはっきり言われ、夫と二人でそうなんだ、わかったよ!ありがとう!と気持ちを伝えました。
去年私が刊行した本には、筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)のこと、セラピスト時代に感じたことなどが書いてあります。
その本を、自分たちが住んでいる磐田市長さんに届けたい!という娘の気持ちを有り難く受けとりました。
娘は私に似て、即実行! タイプなので、話してくれた後、すぐに手紙を書き、本を市長さんへ送りました。
そして数日後、市長さんからお礼の電話が来て、娘は
「なんて素敵な市長さんなんだろう」と感動しながらニコニコと満足そうにしていました。
そして月日が経ち、2023年も終わるねぇ、と言いながら娘と一緒に年末大掃除をしていたところに、市長さんが我が家に訪ねて来てくださったのだ!
「何か困ったことなどありましたら何でも言ってくださいね」
そう娘に伝え名刺をくださったのです!
(私は床でへばっていたのでお会いできませんでした)
またもや娘は市長さんに感動してしまい、
「お礼にメールしたい! それと母ちゃんの本を磐田市に寄贈したい!」 
と鼻息荒く宣言したのです。
 去年の夏、私が筋痛性脳脊髄炎以外の病気になった時、その病院で「何その病気?」と、医師に言われ、ぅおーーい! まだまだ医師でもこの病気知らないんだ! でもって、病気の説明するのがさ、しんどいのよ!(ひどい脳疲労がある為) と、愚痴ったのを娘は聞いていて、もっと病気のことを知ってもらおう! と思ったのだと、娘が話してくれました。

そこからがバビューンといろいろ速かった!
本を寄贈したいことを市長さんにメールで伝えると
秘書課の課長さんが対応してくださることになりました。
娘が「課長さんとのメールのやりとりは毎回勉強にもなるし、丁寧なやりとりをしてくれるから気持ちがあたたかくなるよ」といつも笑顔で話してくれました。
寄贈の本100冊は家族みんなでお小遣いを出し合って購入しました。
(ありがとう! マイファミリー!)
娘と課長さんとのメールのやりとりを半年ほど続けて、ついに寄贈式の日がやってきたのです。

寄贈式当日は家族みんなで
ワクワクしながら磐田市役所へいきました。
夫はこの日のために有給をとってくれたのですが、数日前からぎっくり腰になってしまい、しゃがんだり、たったりする動きが能を舞うような感じで
面白い、じゃなくて心配していました。
でも、一番ヤバくて心配なのは、イッツミー! 私、なのです。
最近、愛犬ロビちゃんの排便についてばかり家族に語っていたので、そのことをポロリと口からでないようにしなくちゃ! と真剣に思っていました。
「なんか変なこと言わないように見張っていてよ」という私に
あまり喋らない方がいいかもね、と笑いながら夫と娘に言われ、変なこと言いませんように、と神様に祈りました。

磐田市役所につき、緊張しておトイレにいきたくなったら困ると思い、まず御手洗いに行くことにしました。
私、このおトイレを自分の部屋にしてもいい!と思わせるほど綺麗なおトイレでした。
家族みんなに手伝っていだだき無事に車椅子から便座に移動し、
座ってくつろいでいた時
「綺麗だし凄く広いよねー!」と娘がトイレ内でキョロキョロ見ていたら
ふわ~っと、
突然
自動でドアが開いたのです。
なんて言うか、バラエティ番組で
「実は今日、初恋の人がこのスタジオに来ています!」と言った後に、
ふわ~っと扉が開くように、多目的トイレが開きました。
焦る娘と夫は扉を閉めようとしていましたが、ちっとも閉まりません。
「えー!! 手動じゃないの? どうするの?」
さらに焦る娘と夫
「ストールでオマタ隠しているから大丈夫、大丈夫よー♡」
という、私の声は二人に聞こえず
「あっちから人がくる! いやー!」
「なに、どうなっちゃった?」
と、二人はてんやわんや。
ふたりの姿を見ながら思わず、おいおい、面白いなぁ!と大笑いしてしまった。
扉を閉めようとする中年男性と女子高生。
その二人を便器に座りながら大笑いするサングラスしたおばさんの図。

カオスやん!!


どうやら扉に近づくとセンサーが働き開いたり閉じたりする感じだったようです。
なかなかない経験にウキウキしてしまい
「ハイテクにやられたね! ミッションインポッシブル!」なんて
わけがわからないことを言いながら寄贈式会場の公室へ向かいました。
部屋に向かうとき、笑顔の素敵な男性が廊下に立っておりました。
「はじめまして」と挨拶してくださったのは
いつも丁寧にメールでやりとりをしてくださっていた秘書課の課長さんでした。はじめてお会いでき、娘は感動して目がキラキラ状態。その姿を眺める私と夫。
挨拶を済ませ部屋に入ると
机の上には「奇跡を、生きている」の本が並べられておりました。
そして新聞記者の方々や、中央図書館長さん、健康福祉部長さんが来てくださいました。
青春出版社の担当編集者さんも遠くから来てくださり
きゃー!!っとハグしたい気持ちを抑え
神妙な顔で磐田市長さんがいらっしゃるのを待ちました。
静岡新聞の記者さんから取材を受けていると、
「お待たせしました」
草地市長さんが爽やかに入室してきて、
うぉー!と心の中はリオのカーニバル状態になってしまった私。
しかし、そんな胸のうちは顔に出せないので
朗らかな笑みでその場を過ごしておりました。

秘書課課長さんの司会進行で
寄贈式がはじまりました。
式の中で、市に本を寄付するに至った経緯を娘が話すことになっていました。
「では、りぃりさんよろしくお願いいたします」
と伝えられ、娘がスピーチし始めました。

『この度は寄贈式を行っていただき、誠にありがとうございます。
 母が患っている病気、筋痛性脳脊髄炎、別名、慢性疲労症候群はまだまだ認知度が低い病気です。見た目ではわかりにくい病気であることから誤解を招きやすく、辛い思いをしている患者様もいらっしゃると思います。
そこで多くの方にこの病気について知っていただくために、母の著書「奇跡を、生きている」を寄付したいと、考えました。
まずは自分が住んでいる磐田市から認知度を広げていきたい、と思い草地市長にご連絡させていただいたところ、丁寧に対応してくださりこうして寄贈式を行うことができています。
また、母の著書では病気以外にも、生き方について綴られています。
人生にはときに、悲しくなることや辛くなる出来事があります。母の本が生きづらさを抱えながらも一生懸命生きている方のお役に立てたら、と思います。子供から大人まで読むことができる本だと思うので、たくさんの方に母の本を通じて勇気や元気をお届けすることができたら、嬉しいです。
今回、このように素晴らしい寄贈式を実施していただき、草地市長、伊藤課長ありがとうございます。心より感謝申し上げます。母と一緒に「奇跡を、生きている」を作り上げてくださった、青春出版社、宮島様、誠にありがとうございます。また寄贈式に携わってくださった皆様に深く御礼申し上げます。ありがとうございます。
そしてお母さん。病状が辛い中、本を執筆してくれてありがとう。
「奇跡を、生きている」は私の一番大好きな本です。
改めまして、本当にありがとうございました。
「奇跡を、生きている」がより多くの方の希望となりますことを祈っております』

いったいいつ暗記したんだろう!? 何の紙も読まず丁寧にスピーチしていた娘。(noteに書くため娘にスピーチの下書きを見せてもらい書きました)
そのスピーチに泣きそうになる私。
娘も私を見てうるうるしている。
母と娘の愛情劇場(昔午後になるとテレビでやってたようなドラマ)みたいになりそうだったので涙をグッとこらえる私と娘。
その後は市長さんの挨拶があり、雑談に入りました。
「もう、緊張しないで家にいるときのようにお話しください」と言われ
家にいるときの会話……。と、考えてチロリンと娘と夫を横目で見たら「変なことは言わないようにね」と言う目をしていたので、そうだったそうだった、と背筋を伸ばしました。
しかし
「病気になってアホになっちゃいまして。あ、もともとアホなんですが、さらにアホになっちゃって。今日の寄贈式のために少しでも身だしなみよくしなくちゃ! ってみんなで顔のマッサージとかしました」
と口から出てしまい、これをどうにかまとめないと! っと、病気のことをからませて、どうやって私がアホになっていったかを説明しました。これではいけないと思い別の話をすることにしました。
「自宅に市長さんが来てくださった時、すごくカッコいい! オーラが凄いって娘が言ってました」と言うと
市長さんは
「会ってみたら違うでしょ?」なんて言ってくださり、とても面白くて爽やかなお人柄で磐田市に住んで良かったなー! と思いました。
(実際もかっこよくて爽やかな市長さんです)
いろんな話しをしているうちに、写真撮影の時間になり、市長さんと家族とで写真を撮っていただきました。
市長さんのお話もいろいろ聞くことができましたし、記者の方からの取材も緊張しつつお話しすることができました。
会いたかった青春出版社の編集者さんとも握手をすることができました。
記者さんが
「市民の方からお手紙をいただいても全員に返事をすることは難しいと思いますが、なぜ横山さんには返事をしたのですか?」
と、市長さんに切り込んだ質問をしておりました。
「そうですね、いただいたお手紙に心が動かされたからだと思います」
そのように市長さんが言ってくださり、娘の気持ちを動かす文章力に凄いなぁ! と感動し、尊敬しました。
課長さんも
「手紙の字も上手だし、文章も大人のようだった。メールのやりとりも丁寧で美しくて。本当に中学生なのかな? 大人が書いたのでは? って思っていました。」
(やりとりしていた当時は中学生だった娘)
「我が家で一番常識がありしっかりしているのは娘なんですよ」と私。
「いつも怒られています。娘に」夫。

なんか、いいの? こんな親で。
自分たちで言っていてそう思いました。

「課長は、りいりさんのこと自分の娘みたいに思ってあたたかく見守っていたよね」
と市長さんが笑顔で言ってくださり、
なんて有り難く幸せなことなんだろうと、感謝のきもちでいっぱいになりました。

その後もあたたかい空気の中、雑談や取材を受けあっという間に一時間が過ぎました。
「また何かありましたら何でも言ってください!」
市長さんの心強くあたたかいお言葉に感動し、
「こちらこそ素敵なお時間をありがとうございました」
と深々と挨拶をして帰宅しました。

5月12日は、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎の世界啓発デーでした。
その日に近い日で寄贈式を行いたい。と娘が提案し、いろんな方々のおかげで実現することができました。
おかげで5月12日に静岡新聞や毎日新聞デジタル版に記事を載せていただくことができました。



私が伝えたいことを
心を込めてわかりやすく書いてくださり
家族みんなで感動してしまいました。
本当にありがとうございます。

少しでも多くの方に、この病気について理解していただき知っていただきたいと思っていました。娘や夫、磐田市長さん、関わってくださった方々のおかげでこのような素敵な機会をいただけたことに感謝しております。
私には大きなことはできなくて、今の自分は書くことしかできません。
でも、何か自分の出来ることで少しでも誰かの何かの役にたてたら嬉しいな。と思っています。
こうして書くことも、読んでいただけることも
当たり前のことではなく、本当に有り難く思っています。
人より疲労の回復がかなり遅く、筋肉や関節、身体がすっと痛いまま。
光や音、匂いや気温差に過敏になっているからか、脳疲労が酷く、会話も一苦労。
病状には個人差があるので、体調の良い日もあれば、ものすごく悪い日もあるし、この病気に良いと言われているものでも、個人差なのか、すべての人に良いとは限らない。
そんな病気なので、なかなか外出もできません。
でももともとは、人と話すのが大好きなので、外に出ていろんなところに行って、いろんなものを見て、いろんな人に会いたいです。
SNSでも、noteでも、なかなかコメントを書いたりできなくて
(脳疲労が酷くて!)でも、いろんな方の書いた言葉を拝読し、元気や笑いをいただいています。
本当に有り難いなぁと、日々思っています。
それでもまだまだいろんなことを経験したり
いろんな人と出会いたい。
そう思っています。
人生初の寄贈式も、素晴らしい体験でした。
夫がお母さんにこの日のことを伝えると
「私の知り合いが小寿々ちゃんの本を読んでくれてね。書いてあった言葉をノートに書いて心の支えにしている、って言っていたよ」と教えてくださり
うわー! っと嬉しくなりました。
先日も「自分のことを包み隠さず書くことが出来るって凄いことだと思う。
なかなかできないよ」と言ってくださる方もいました。
刊行して一年経ったいまも、「本を読んで元気をもらっている」
と言ってくださる方がいて、私の方がいただいたお言葉から元気をいただいています。本当にありがとうございます。
書くことしかできないけれど、書いて伝えることの大切さを学びました。

5月12日はXでもいろんな方が
リツイートしてくださり、本当に有り難く感謝の気持ちいっぱいでした。


とにかく、娘と夫の大きな愛情に私は元気をいただき、生かされているなぁ! としみじみ思いました。
「これからも、楽しいこといっぱいしていこうね」
娘にハグをされ、心がじーんとしてぽかぽかになり元気をいただきました。
母の日の、娘のXの投稿も嬉しくて、泣いてしもうたです。
生きてるっていいな。って心底思いました。

静岡新聞の記事でも
病気について理解して欲しいこと、
今回の寄贈式のことを丁寧に書いていただきました。
家族みんなで感謝の気持ちいっぱいになりました。
本当にありがとうございます。

新聞記事の写真を見て
「私、口とんがってるよ!」と夫と娘に言うと
「しゃべるとき、口とんがらせてるんだよ。可愛いよね」と言われ、知らないかった自分の癖を知りました。
(可愛くはないですから)


「お写真とられるときはさ、背筋伸ばしてね」
娘に優しく言われ、私、もっと大人にならなくてはいけないっと思いました。
(年齢的にはすんごい大人です。でもゲッターズ飯田さんの占いで調べたら、ずっと中学生タイプ。って書いてあり、私、見た目は大人、心は子供! ってあかんタイプの人じゃんか! と、ほんのりさびしくなりました)

少しでも多くの方に
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群について
知っていただく機会になりましたら幸いです。

いつもわちゃわちゃ大騒ぎの横山家だよ


最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

心から感謝の気持ちを込めて。

横山小寿々

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