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あなたの孤独は何色か

連休中、たくさん映画を観た。買ったまま読んでなかった本も何冊か読むことができた。私は一個の作品を見終わると、気になったことを調べたり、登場人物に想いを馳せたりなどして余韻に浸るのが好きだから、沢山と言っても片手に収まるほどしか見れていないが、先月はすごく忙しかったから、久しぶりに創作物の世界に浸れて魂が息を吹き返した感じがある。

1番良かったのはゴジラ-1.0だ。
見たいと思ってずっと見れていなかったけど、アマプラで観ることができた。
思うことは沢山あって、総じてかなり好きな映画だったんだけど、
途中、ゴジラを相模湾の深いところに沈めるぞ!という作戦の話をしていた時、「相模トラフの深さは、約2500mだ。」みたいなセリフがあり、私は突然「てかどうやって海の深さって調べるの?!」と、どうしても気になってしまい、一回映画を止めてググってしまった。

あの時代、石に紐つけて海に沈めて測ってるのかと思った。しかし、超音波を利用した音響測定で調べることができたらしい。少し安心した。

だって、もし石に紐をつけて海の深さを測っていたのなら、「おい、ここまじ深いぞ!ロープを足せ!」とか言って、誰かがコツコツ海の深さを調べていたことになる。来る日も来る日もそんなことをしていたら気が狂ってしまうに違いない、なんと気苦労なことか。
今はなんと衛星からも海の深さを調べることが出来るらしい。理屈は全くわからなかったが、単純に、人類の技術の進歩ってすごいな…と思った。

そんなことばかりをしているから、映画を観るのに人より時間がかかる。神木隆之介くんの演技があまりに上手過ぎて途中で涙が止まらなくなり、えーんえん泣きながら観てたらセリフを聞き逃し、気になるから巻き戻して5分前から観るとかもした。そんなこんなを繰り返して、見終えた頃には泣き疲れていたが、かなり面白い映画だった。調べたら、監督はアルキメデスの対戦とか永遠の0を撮った山崎貴監督だった。どうりで面白いよねと思ったし、なんでこの時代の映画ばかり撮るんだろうなと考えたりした。

そんなことは検索したら出てくるかもしれないけど、その前に一回想像するのが好きだ。人の数だけストーリがあることが面白いし、想像も考察も無料で出来る。やって損はない。こういう時間の使い方をしてる時、やはり本でも映画でも、カルチャーは良いものだよなと思う。いくらでも時間を潰せる。孤独の正体はだいたいいつも退屈だから、退屈を消しさられるコンテンツは永遠に、豊かに存在していてほしい。


結局、本当の意味で孤独を埋めてくれるのは、文学芸術音楽映画などのカルチャーであり、触れた分だけ孤独は豊かになるが、決して孤独は消えたりなどしない。

見た映画の分だけ感受性が高まり、
読んだ本の分だけ思考の幅が増え、
聞いて、歌って、奏でた音楽の分だけ感情がカラフルになって、
より極彩色の孤独を知ることができるんだと思う。

というか、そもそも孤独なんて他人と質量を比べるものでは決してないが、
本日私の感じた孤独なんていうのは所詮は気分のムラであり、貧血気味なところから発生している弱気の一部でしかなく、
例えば、ゲイでエイズで移民という3つのマイノリティを抱えたフレディマーキュリーの孤独と比べたら、心底大したものではないだろうと思えてくる。 

誰からも理解されず、寄り添ってもらうことすら叶わないまま、顔面を白塗りにして殺人鬼になってしまったジョーカー(アーサー)のことを思えば、私は幾分社会に適応しているし、自立できているので、孤独をこじらせて、狂って人を殺したり、ダイナマイトを体に括り付けて銀行に突撃などしないで済んでいるのだから、孤独の質量でも孤独の鋭利さでもジョーカーにはかなわない。
私の孤独は、本や映画で誤魔化し切れる程度の「退屈」であり、決してそれは「絶望」ではないのだ。 
↑こいつら、似てるから時々間違えちゃうけど。

1人でいると、寂しさとか、いつまで1人でいるんだろうなという漠然とした不安で死にそうになる日が、時々、本当に時々あるけれど、
そういう時こそカルチャーに触れるべきなのだと思う。

人間が歩く道なんて大概地獄だ。地獄の中に、時々嬉しさや楽しさが咲いてるだけで、苦しいこととか、上手くいかないことの方が圧倒的に多い。それがデフォルトなんだと感じる。

だから、その地獄を文句言いながら歩くのか、地獄にもいろんな文化あるんだなーと思って歩くのか、それとも、地獄でも好きな人と2人で歩けば天国じゃー!と言って歩くのか、いずれにせよ、あなたにはあなたの地獄があって、あなたにはあなたの孤独がある。

それは人と比べるものではないし、
可哀想な方が勝ちという単純なバトルでは決してない。
どうやって歩くかはその人次第だけど、
やはり、道中色んな景色が見えた方が楽しい。
色んな人の気持ちがわかった方が勉強になる。

退屈と孤独を間違えて暗くなるより、
退屈に娯楽を沢山詰め込んんだ方が、きっと楽しい。

映画を観た後でも、私が孤独なことは1ミリも変わりないが、触れたカルチャーの分だけ、私の心は色彩豊かになり、カラフルな地獄を歩けるようになるのだ。そう思うと、楽しいね。ホッピングシャワーみたいに、カラフルな色合いにしたいと思う。

孤独を「人」で埋めようとすると虚しさばかりが残りがちだ。つまらない男とマッチングアプリで消化試合なんかしてないで、みんなゴジラ-1.0を観た方がいい。映画は面白いよ。孤独を塗りつぶすにはじゅうぶんだ。ほぼ無限に存在しているし。

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