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魔々勇々 29話(最終回)感想

週刊少年ジャンプ掲載の作品、『魔々勇々』が2024年19号を以て完結となりました。
感想配信での熱量も高く、個人的にも思い入れの強い作品だったので最終回の感想を個別で記事に残そうと思います。

今回の記事は毎週書いているジャンプ全体の感想記事の中から魔々勇々最終回の部分を再編集したものとなります。

前半は最終回単体、後半は作品全体を通しての振り返りとなっております。
それではどうぞ。


○魔々勇々 29話(最終話)

最終話単体振り返り

エンドの身の上を聞いたコルレオは……?というところから。
「私の存在が全てを不幸にし続ける…」
というエンドの言葉に全身全霊をもって反論。
「生まれてこねェ方が」
……コルレオもかつて言ってたねえそんな事。
そこから今までの物語を振り返って「俺は不幸なんかじゃないよ」と、「俺は幸せだった!!!たくさん恵まれた!!!」「それが嘘だったなんて 絶対誰にも言わせない!!!」とエンドに伝えるコルレオ。
ここまで『魔々勇々』を楽しく読ませてもらっていた読者としても同じ気持ちなのでコルレオの叫びに説得力が宿りまくってる。
エンドによって生かされ、エンドが消えればともに消える命だとしてもコルレオの人生は嘘でも幻でもなく確かにそこに存在していたし確かに幸せだったんだよな。
まさに「俺がその証明」。
差し出した手を取ることすら躊躇うエンドに対し、自分から手を掴みに行ってそのまま気持ちに優しく寄り添うコルレオ、勇者として……というより、「コルレオという勇者」として完成したような感じがある(伝わるのか?このニュアンス)。
大粒の涙をこぼすエンド、めちゃくちゃ良い表情してるわ……
やっと必要だった優しさが届いたんだねって。
後半はエピローグ。
転落するコルレオを助けたのは誰だったんだろうね。
エヴァンの力はエンドにあげちゃったから消えてるわけで、紋章が残ってるのはコルレオ自前の紋章術の分かな。マママの寝相クソ悪いの好き。
自分が生きていることでグリシャの存在を察し屋上へ向かうコルレオ。
エンドを離さずなんとか生きながらえていたグリシャ。ここにエンドの一部が残っていたからコルレオも消えずに済んでたってわけか。
まだ野望を諦めず命を奪おうとしてくるグリシャ。そこに……
「じゃあ終わりにしようぜ」
魔王勇者全員揃い踏み!!の激アツな絵面でいざ最終戦!!
……というところで〆………!
パンネロさんと戦ってた魔王、また弁当落としてて笑った。ちゃんと持ってて。
仄めかしで終わってた「刻印解放」を回収して終わったのは林先生の作家としての意地なんかもあるのかな。
エンドの悲しみ、コルレオの成長、魔々勇々集結の少年漫画的アツさ……と、必要なものがしっかり詰め込まれた良い最終回でした。
拾い切れてない要素もあったけど、それらを全部拾うよりはキャラと読者のために尺を割いて作られた最終回だった印象。それでいいんだと思います。

作品全体の振り返り

終わってしまったか……まずはそれですね。
個人的には絵もキャラも魅力的で展開も味が濃く、「これが人気出ない環境なのか……」となってしまうくらいには評価が高い作品だったので非常に残念。

なぜ振るわなかったかの原因……強いて言うなら序盤での固定客獲得にやや躓いたからってところかなあ。
マママ離脱とか凝りすぎのコマ割りとか細かいところで読者に疑念を抱かせてしまった感じがあったかも。
マママ以外にも魅力的なキャラはバンバン出てきたし、コマ割りもどんどん洗練されて見やすくなってきてたしで、連載中の成長で弱点らしき弱点は見当たらなくなってきてたように思うんだけど、序盤で「この作品にアンケ入れ続けよ!」と思わせられるか否かで総合的なアンケ得票って思ってるよりガッツリ変わってくるのかもなあ。
あと暗号学園やアスミカケルの在籍期間とかなり被っていたとか、同期のカグラバチ・ツーオンアイスがどちらも面白かったとか、看板以外にアンケ入れる読者の票がかなり分散しやすい環境だったというのも向かい風だったのかもしれない。鵺とかグググもいるし。まあその中でガッツリアンケ取れてこそだろと言われたらそれは…そうなんですが……
原因らしきものを挙げたは挙げたけどぶっちゃけ致命的なやらかしや弱点はあまり思い当たらない作品という認識だったので、「連載って分かんねえなあ……」って感じ。こういう減点少ない作品って得てして加点も少なくて沈んでることが多いんだけどこの作品は強力な加点も全然あったし本当に分からん……中盤以降は熱心なファンもしっかりついていた印象だったし。やっぱ序盤かなあ。でも序盤も別にそんな悪くないどころかむしろ良かった方だと思うけど……

物語としては「勇者コルレオの成長物語」として一貫していたのが良かったなと。
バトル的成長だけでなく人間的にも、泣いている者に手を差し伸べる勇者としての精神性の醸成と完成はそれこそ最終回で鮮烈に描かれていたし、最終回以前でもそれぞれの勇者と魔王が悲劇を抱えているからこそ手を差し伸べるコルレオが輝くという構造が真っすぐシンプルですごく好みだった。
一話時点ではほぼ甘ったれの若者だったコルレオが、終盤では痛みも苦しみも知ったうえで涙を拭ってあげられる立派な勇者になっているというね。
「紋章術の出力は目的意識に比例する」という設定もかなり秀逸で、キャラの成長やドラマをそのまま戦闘に反映させられる構造になっているのには膝を打ったな~。
あとサブキャラも魅力的でよかった。特にやっぱ女の子のかわいさは群抜き。
エリシアとミネルヴァ、結局どっちがコルレオとくっつくんだろうね……?たゆんっ……

もっと色々なものをこの作品で見たかったな~という気持ちは正直めちゃくちゃある!
せっかく魔王と勇者の世界観だし冒険をもっと見たかったな~とか、誰もが認める勇者として今度はみんなから正しく名前を覚えてもらえてるコルレオとか。あと水着回とか。

ただ先述したように、作者の林先生が連載中にかなり進化していたので、次回作は絶対めちゃくちゃすごい作品作ってくるんだろうなという半ば確信めいたものすら感じさせられてるんだよな。
だから本当に次回作が楽しみで期待してます。また林先生の漫画が読みたい。
というわけで、あまりにも名残惜しいですが林先生、コルレオ、魔々勇々、お疲れ様でした……!!
この作品のおかげで出会えたフォロワーなんかもいて、それこそコルレオと仲間たちみたいな気持ちでした。ありがとう……!


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