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子供たちの素敵な未来のために -「旅育」を広める”ブレない軸”

「旅育(たびいく)」という言葉をご存知でしょうか。

「旅育」は「旅は人間性の成長を促すとする考え方で、旅によって得られる知識や興味・価値観の広がり、共感力を人の成長に役立てようとするもの」

森下晶美教授(東洋大学・国際観光学部)

旅という特別な経験により、子供たちの好奇心を目覚めさせ、さまざまな視点を養う、まさに”旅を通じて育てる”考え方です。特に、言葉を話せるようになった3歳から、脳の成長が著しい9歳までが効果的とされています。

今後「旅育」を実際に行い、その考えを世の中に広める準備中のutoさんにインタビューさせて頂きました。4歳と3歳のお子さんを育てながら、設計事務所で働くお母さんです。

「現在の私は、子供の人生を少しの間、預かっています。」

そう話すutoさんの願いは、「旅育」を通じ、子供と、子供に関わる大人たちに広い世界を見せ”ブレない軸”をもってもらうこと、そして、世界の未来がより素敵になること

その想いに至るまでの、utoさんの”これまで”、そして”これから”とはー。

のびのび育ててくれた家族との”幼少期”

2023年冬からオーストラリアに親子留学に行かれ、その後は、お子さんたちと世界を旅する予定のutoさん。

ーご自身の幼少期は、旅をされていたのでしょうか?

はい、小さい頃から、家族が色々なところに連れて行ってくれました。沖縄などの国内や、スキーや山登りなどのアウトドアにもよく行きました。昔から、旅は身近なんです。
1番アクティブなのは同居していた祖母。最近顔を見ないなと思うと、動物の赤ちゃんを見るためにアフリカに行っていたり。笑

ーパワフルで素敵!幼少期の経験は、今どんな影響を受けていますか?

旅先ではいつも、思う存分色々な体験をさせてもらいました。家族と一緒に行くだけでなく、小学校低学年からひとりで新幹線に乗り、祖父母の家に遊びに行ったりもしていましたね。それらが、今の自分の”独立心”に繋がっていると思います。「わたしはわたし」という一本のブレない軸を小さい頃から持っていられるのは、家族のおかげだと感謝しています。

ーまさに「可愛い子には旅をさせよ!」ですね。

そうですね。加えて両親は、私にひとりの人間として考える機会を多く与えてくれました。
例えば、小学生の時、周りが携帯を持ってるから買って欲しいとお願いしたんです。そしたら、理由をプレゼンしなさいと言われました。欲しい気持ちは全く否定しない、ただし、なぜほしいのか、なぜ必要なのかを説明しなさい、納得したら買うよ、と。
「自分の頭で考える」ことに重きを置いてくれていたなと思います。

家族はいつも、私を見守りつつも過干渉にはならず、「自分で決めて好きなことをやりなさい」と、のびのび育ててくれました。

一度決めたらやり通す”学生時代”

ー幼少期からブレない軸があったとのことですが、学生時代はどんな感じでしたか?

決めたら絶対にやり通す軸は、ずっとありますね。
母がインテリアの学校に通っていたことがあり、インテリア関連の課題や本が家にありました。小さい頃それらを見ているうちに、私もインテリアに興味が出てきて、中学生の時に、将来はこの道に進むと決めました。
ただその時、志望校のインテリア科への学力が足りなかったので、死に物狂いで勉強しました。塾の先生にも、史上最高の伸び率とも言われていましたね。笑

ーすごい!インテリア科に進まれたあとの進路は?

高校3年間でインテリアをみっちり学んだあと、もう座学はいらないから実践をしたいと強く思うようになりました。大学や専門学校は座学中心、オープンキャンパスなどにも行きましたが、ここには私のやりたいことはないと感じて。中でも、家具を作りたかったんです。職業訓練校の家具製造コースに通い、その後家具職人になりました。

その時も、周りが大学に行くから大学に行こう、という発想もなかったです。周りの目を気にせず、自分のやりたいことやるという軸も、自由にやらせてくれた両親の影響を受けていますね。

私のままでいいと思えた”ヨーロッパ旅”

ー幼少期から国内旅行が身近だったutoさんですが、海外への旅はどうですか?

実は、20歳ぐらいまで海外にはあまり興味がありませんでした。でも、両親に、海外には行っておきなさいと勧められて。家具職人を一旦退職したタイミングで、ふらっと一人でヨーロッパに行きました。

ー実際に行かれて、価値観は変わりましたか?

当時、なんとなくモヤモヤしていたんです。インテリアの道に進み、家具職人になるという軸はブレてない。だけども、家具職人が忙しく疲れていて。
そして日本では、”みんな同じが正しい”とする文化がある。私は、昔からそこに合わせられなくて。さほど周りの目を気にするタイプではないものの、そんな積み重ねがピークに来ていた時期だったと思います。

海外でのひとり旅は、予定を決めずにユースホステルに泊まり、さまざまな人と触れ合い、現地の人の暮らしをのんびり眺めていました。その中で、「私もこのままでいい」と思えたんです。日本では、出る杭は打たれる傾向にあるけど、海外ではそれは”個性”と捉えてもらえる。広い世界を見て、「私の杭も出っ放しでいいや」と吹っ切れましたね。

強くいられる”母となった今”

ーその後、ご結婚・ご出産されたんですよね。お母さんとなられたあとは、自分軸はどうなりましたか?

母になってからも、全く自分軸はブレていません、何も変わらない。
私は、子供をひとりの人間だと思っていて、「現在の私は、子供の人生を少しの間預かっている」認識なんです。

私が育った家庭では、お互いがお互いを”名前”で呼んでいました。お母さん、お父さんではなく。だから私も同じように、自分の子供たちには、名前で呼んでほしいとお願いしています。私は、”お母さん”という名前ではなく、”uto”というひとりの人間だから。

ーなるほど。”ひとりの人間”としてご両親に育てられているからこそ、utoさんのブレない軸があるのですね。

そうですね。その軸のおかげで、何かあった時でも、私はあまり落ち込まずにやれていると思います。
今の場所で年子の2人を出産した時、頼れる実家も近くになく、いわゆる育児ノイローゼになっていた状態でした。社会と接することができず、2人の子育てで逃げ場もなく、正直毎日発狂しそうでした。ただ、確かに辛かったけど、その割には何とかやってこれたのも、この自分軸のおかげだと思っています。

自分軸をもっていないと、何かあったときに暗い方へ引っ張られてしまうと思うんです。

自分の子供たちが大人になった未来は、今より暗い可能性があると思っています。例えば、コロナ禍で育った子供たちは、マスクにより人の表情を見る機会が減っている。日本では、子供の声が騒音と言われ、自由にボール遊びも出来ないところが増えている。そんな環境で育った子供たちが、ストレスを溜め込んだまま、本当はうまく発散できずに大人になっているのではないか、と懸念しています。

何かあった時に、何にも引っ張られないで、”強く、楽しく”生きていってほしい。

親子留学に行きその後世界を周るのも、子供が広い世界を見て、自分軸を確立しやすいようにと思っています。

旅育を広めて”素敵な未来”へ

ーご自身が旅育を実践するだけでなく、「旅育自体を世の中に広めたい」という想いを持っていらっしゃる理由を教えてください。

やはり、旅は心が豊かになり、選択肢を多くもつきっかけになると思います。選択肢が多くあると、挑戦もしやすくなる。加えて、広い世界を知ることで、物事を俯瞰的に捉えられるようにもなります。そんな子供たちが増えて、その子供たちが大人になった時、絶対に今よりもっと素敵な未来になると信じているんです。

そして、子供だけではなく、子供と関わる大人、例えば保育士さんや学校の先生にも広い世界を知ってほしいと思っています。

右向け右が正しい日本社会の中で、いくら小さい頃に自分軸が形成されていたとしても、保育園や小学校に入った時、先生たちが柔軟じゃないと、そっちに引っ張られてしまいます。それほどまでに、子供の周りにいる大人の影響は多大なんです。

加えて、働いている母の身としては、保育士さんって本当に有難くて。そんな方々のためにも、例えば海外の保育園に短期留学してもらうプログラムをつくったり、留学ではなくとも、休暇を取りやすく旅に出るのが当たり前の環境を作り、広い世界を知ってもらいたいと考えています。

ーなるほど。子供だけでなく、その周りの大人たちにも向け、旅育の考えを広めるということですね

欲を言えば、今は子供がいない方、今後もつ可能性がある方にも知ってほしい。子供が出来た場合、日本で育てることだけが当たり前ではなく、旅をしながら育てる方法もあることを、頭の片隅に入れていただけたらと思っています。

ー今はどんな準備をされていますか?

旅育のポータルサイト作成のため準備中です。そのために、WEBデザインとライティングを学んでいます。今後は、SNS発信もしていく予定です。

子育てをしながらフルタイムで働き、親子留学の準備をしながら、サイト作成のための学習をする。正直毎日すごく忙しいですが、でも今の私には、「旅育を広める」というブレない軸があるからこそ、頑張れています。

「可愛い子には旅をさせよ」の考えのもと、ご家族に大切に育てられ、確固たる”ブレない軸”と”独立心”が芽生えたutoさん。自分軸はしっかりしているものの、お話をする空気感はとても柔らかい素敵な方です。

utoさんのお子さんは、自分のことは自分でやる、既に意志が強いお子さんとのこと。これから一緒に海外に出て、ますます強く逞しく成長していく姿が楽しみです。

そして、旅育が当たり前の世の中になった時、未来はどう変わるのでしょうか。そんな未来に私もワクワクしながら、一度決めたらやり遂げるutoさんを、心から応援しています。

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