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東京物語(映画)

あの、小津安二郎監督の、サイレント映画、「生まれてはみたけれど」を観て、面白かったので、有名な、「東京物語」を観ました。

何が凄いって、原節子の存在感。人気があるのが、一目瞭然。

「私、、、そんなに、いい人じゃありません」と言う。
原節子が美しくて、釘付けでした。
銀幕の大女優こそ、原節子でありました。
淡々と親子の人生模様を描く。普遍的であり、叙情的、じんわりと、深く突き刺さる、言葉で表すことの出来ないような小津ワールド。
親子感の絶妙なバランス、いや、ほんま、親子とは、という永遠のテーマをえぐる。
血が繋がっていない次男の嫁(原節子)だけが、親切で、優しかった。ズシリと心に響く。
だけど、この映画は、日本より、世界でも、人気が高いそうで、その理由に、びっくりしましたので、記しておきます。

なぜ、東京物語が、世界で高評価なのか。
yahooより、winさんのベストアンサーより。

この東京物語は、60年以上前の作品です。
これが、世に出た時、欧米で、流行っていたのは、聖人や、王族貴族や、戦争、歴史もの。出てくる人も、常人を超えたヒーロー、ヒロインや、悪人でした。

一方、東京物語は、どこにでもありそうな、平凡な家族の、どこにでもありそうな、平凡な話をひたすら、日常的ない会話でつづられたものです。
ごくごく平凡な内容を小津安二郎は、丁寧に丁寧に、手間暇かけて映画にしました。

当時、欧米では、工業化と大衆化の中で、一個人の存在は飲み込まれ、個人の尊厳や、価値は失われていく途中でした。
ところが、小津安二郎という監督が、日本において、どんな平凡に生きる人間でも、深い人生の問題に直面し、それを乗り越えて行く姿は、まったく、聖人や、英雄と、変わらないことを映像で証明しました。

欧米の知識人にとって、それは、衝撃であり、思想革命であって、20世紀の新しい福音書となりました。
この映画をきっかけに、世界中の人々の価値観や、モノの見方は変わり、結果的に、多くの国の社会体制や国際政治までも、劇的に変えてしまうのです。

この映画は、世界をリードする思想家たちに、多大な影響を与えました。
例えば、スーザン・ソンタグ(アメリカの著名な知識人、人権活動家)や、ロジャー・イーバート(ピュリツアー賞を受賞した映画評論家)、リチャード・ウィルソン(イギリスの有名なブロードキャスター)といった、熱烈な「東京物語」のファンの人たちです。
そういった、著名な映画監督や、人権活動家や、政治家や、団体の活動を介して、「東京物語」の思想は全世界に広がっていくのです。

つまり、21世紀の全世界の人間観のルーツは、この映画にあります。だから「めちゃくちゃ」凄い、のです。

 そう言われてみれば、ここまで、個人的な、一家族の物語の映画は、あるようで、ないと言えると思います。最近では、一個人の物語、若者や、、、といった映画はありますが、この映画、小津安二郎が元祖だったのですね。

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