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Instagramマーケティングの9ステップ(中小企業のためのInstagramマーケティング戦略:セミナー原稿の続き)


Instagramマーケティングの進め方、手順を9ステップで説明します。これは後編です。前編はこちらです。

①個人アカウントでやってみる

Instagramの特徴を知るために、担当者だけでなく責任者も、個人アカウントを作って投稿してみましょう。

競合の企業アカウントがあれば見てみましょう。

鍵となるキーワードがあれば、検索してみましょう。

競合の企業アカウントの投稿にコメントしている人がいたら、どんな人がコメントをしているのか、コメントしている人のプロフィールページを見てみましょう。

Instagram上で、どんなコミュニケーションがされているのかを理解することが、重要です。


②担当者を決める

始めたら、一貫性を持って継続的に投稿を続けなければなりません。中途半端にアカウントだけ作って放置しておくと、かえってブランドを毀損したり、イメージダウンになってしまいます。

管理者の方は、責任者と担当者を決めてください。

担当者には、業務として命じてください。日々の業務フローに入れてください。片手間の運用では継続ができなくなったり、事故を起こすリスクがあります。

また一人に任せきりにするのではなく、困った時、迷った時に相談できる相談相手を決めてください。

そして、始めるのは無料ですが運用にはお金はかかります。人件費、制作費、必要によっては広告宣伝費など。予算をつけて実施してください。

担当者を選ぶときですが、担当者の条件としては、SNSが好きであることが条件です。嫌いな人には苦痛となり続きません。気持ちがユーザーに伝わってしまいます。

やりたい人がやることです。やりたくない人がやると効果は出ません。単なる販売促進ではなく、お客さまとのコミュニケーションですから。

また担当者はまめで面倒見がよい人が良いです。投稿するだけでなく、コメントやメッセージをチェックして返事をしたり、フォロワーの投稿を見て、いいねしたりすることが必要になるからです。


③対象とするお客さまをしぼる

より多くの人にアピールしたいと、お客さまの定義をあいまいにしがちです。例えば、「20代女性」とか。20代女性は何人いるでしょうか? 人によって好みも性格もまったく違うはずです。そんな人とどうやってコミュニケーションしますか?

マーケティングでは、ペルソナと言って、もっとも対象にしたい仮想のお客さま像を定義する手法があります。しかしながら、てっとり早く効果的なのは、既存のお客さまや社員など身内から、この人だという人を一人選んでしまうことです。対象とするお客さまを一人にしぼり、深掘りをするのが良いです。

なぜならば、
• プレゼントを選ぶとき、次の3つの選択肢の中で一番喜んでもらえる自信があるのはどれでしょう?

1. あなたの家族、恋人のいずれか一人
2. あなたの同僚、同級生 20人
3. 東京在住の世帯年収800万円以上で子供がいる専業主婦1000人

深く理解しているたった一人へのプレゼントであれば、趣味嗜好、生活態度、価値観、何をもっているか、何に興味があるかを考えることで、本人が想定する以上のプレゼントを選べる成功率が高くなります。

対象となるお客さま一人を抽出し、その人の考え方や意見を徹底的に深堀りすることで、対象となるお客さまを理解し、分析するやり方を「N1分析」といい、マーケティングで注目されています。


④目的を決める

どんな目的でInstagramを使いますか?
商品・サービスやブランド認知拡大?
商品・サービスやブランド好感向上?
店舗誘導やイベント集客?
EC購入促進?

売上拡大が最終的な目的ですが、それを最初から狙うのはハードルが高すぎます。

SNSは人と人をつなげるツールであり、市場ではないからです。

「お客さまとの対話」を重点においてください。


⑤ルールを決める、ガイドラインをつくる

炎上したり、ブランドを損ねたりしないように、あらかじめルールを決めてからスタートすることが大切です。ルールはガイドラインとして、文書化します。必要なガイドラインは2種類あります。

ひとつは「ソーシャルメディアガイドライン」(運営ポリシー、ソーシャルメディアポリシーなどとも呼ばれます)で、企業がソーシャルメディアを利用する際のスタンスや心構えを、社外の人向けに解説した文書です。

もうひとつは責任者、担当者のための「運用ガイドライン」(「運用マニュアル」と呼んでもよいです)です。


ソーシャルメディアガイドライン

これは企業がソーシャルメディアを利用する際のスタンスや心構えを、社外の人向けに解説した文書です。無くても別に良いのですが、きちんと作ることでブランドの信頼性が高まると同時に炎上やトラブルの防止に役立ちます。

例えば、NHKの公式アカウントは、フォロー返しをしていません。理由は「NHK公式アカウントがユーザーをフォローすることは、個々の意見に対する支持・賛同ではないか」という批判があったためだそうです。


このように自社のアカウントが投稿する内容やフォローの方針を明確にしておけば、炎上やユーザーとのトラブル防止につながるのです。

公開されている他社や行政機関などのソーシャルメディアガイドライン、運営ポリシー、ソーシャルメディアポリシーを参考に作ってみると良いでしょう。


運用ガイドライン

運用ガイドラインは、Instagramマーケティングをするための留意事項、注意事項を書いたマニュアルです。きちんと文書化して社内で共有しておくのが肝心です。

Instagramは気軽に投稿ができるため、担当者が自己判断で投稿した結果、企業のイメージに悪影響を及ぼしてしまわないようにあらかじめルールを決めておくのです。

ルールを作っておくと良いことは次のような内容です。

トーン&マナー
言わないことリスト
投稿フロー
トラブル対応


1.トーン&マナー

文章の一貫性・統一性を保つためのルールです。表現がもたらす雰囲気や世界観を自社のブランドや雰囲気に合わせることが大切です。複数人で投稿をする場合は統一したキャラを決めて、そのイメージで投稿して合わせます。

例えば、文体の統一感。「である」調にするか、「です」「ます」調にするか。統一させましょう。

テイストの統一感。「ご質問いただけますと幸いです」というていねいな文章にするのか、「ぜひ来てくださいね!!」というフランクな文章にするのかなど。


2.言わないことリスト

企業アカウントでは言ってはいけないこと、言わない方が良いことを明示して担当者としっかり共有しておきましょう。

誹謗中傷・他者への権利侵害、虚偽、 差別、秘密情報は言ってはいけません。

政治・外交・ジェンダー・思想などは注意が必要です。言わない方が無難です。

個人情報はけっして書いてはいけません。

顧客などのプライバシーに関わる情報も書いてはいけません。
裏付けのとれない噂話は投稿してはいけません。

他人の権利のある著作物を無許可で流用してはいけません。
社内の重要な内部情報は公表してはいけません。


3.投稿フロー

投稿のフローをあらかじめ決めておきましょう。投稿前に複数の人で内容のチェックをするようにするとリスクを減らせます。

必ず上司のチェックをするかどうかは、担当者と責任者の信頼関係で決めてください。厳しくすると、担当者のやる気をそいでしまいがちです。

投稿する端末(会社PC、個人携帯)や時間(就業時間中、時間外)もルールを決めておくと良いです。


4.トラブル対応

万一の炎上等に備えて考えておくべきリスク対策は次のようなものです。

・謝る、謝らないの判断ラインを決めておく
・炎上した場合はどのようなことをするべきかを決めておく

他社の炎上事例を他山の石としてチェックしておきましょう。
炎上はいつ起こるかわかりません。就業時間外に起こるかもしれません。緊急連絡網を作っておきましょう。

万一謝罪をしなければならなくなった場合は、そのやり方を決めておき、避難訓練のようにシミュレーションしておくと安心です。


⑥企業アカウントを作り、プロアカウントにする

Instagramの企業アカウントを登録したら、一般アカウントから「プロアカウント」へ切り替える設定が必要です。プロアカウントにすると、カテゴリ設定ができたり、投稿ごとのいいね数やコメント数などが見られたり、問い合わせボタンをプロフィールに表示できたり、さらにショッピング機能やInstagram広告を掲載できたりします。

大切なのは、アカウントページに表示される「プロフィール」の設定です。

プロフィールには次のようなことを設定していきます。
・写真
・名前
・ユーザーネーム
・自己紹介の文章(150字まで)
・自社の公式サイトなどへのリンク
・カテゴリ
・連絡先オプション

写真はロゴマークなどお客さまが一瞬で認知しやすい画像にすると良いです。

ユーザーネームとは、英数字の文字列で、「アカウント名」や「ユーザーID」とも呼ばれるものです。

ユーザーネームには30文字の制限がありますが、短すぎず長すぎない適切な長さにすると良いでしょう。検索されやすく、わかりやすいものにしましょう。

自己紹介の文章は検索されることを意識して、商品やサービス名、地域などを記載するのが良いです。オリジナルのハッシュタグがある場合は、記載しておくと良いです。

自社の公式サイトなどへのリンクを登録しておくと、Instagramからホームページへ直接飛ぶことができるようになります。Instagramではフィード投稿の文章にアドレスを書いても、直接飛ぶことができません。

カテゴリを設定すると、プロフィール画面の名前の下に表示され、そのアカウントの専門性をアピールできます。

連絡先オプションには、お問い合わせ用のメールアドレスや電話番号、住所を登録できます。

⑦公式Instagramをさまざまなところで告知する

アカウントの設定ができたら、まず最初の投稿をしましょう。新しいアカウントでは、なかなかいいねも付かないでしょう。それが普通です。Instagramを始めたことをあらゆる手段で告知しましょう。

例えば、ホームページ、店頭ポップ、看板、チラシ、名刺、他のSNSアカウントなどです。


⑧フォローをお願いする

最初は誰もフォローしていませんから、さみしいものです。

とはいえ、SNSはオンライン上の個人間のコミュニケーションのために作られたシステムです。そこを企業として使わせてもらうので、むやみやたらとフォローをお願いするのは考えものです。

そんな時は、社員や関係者、懇意にしているお得意様など身内に近い方にお願いをしてフォローしてもらいましょう。


⑨一貫性を持って継続的に投稿を続ける

ここまで、いろいろと準備が大変でしたが、これができていれば、あとは安心して投稿を進められます。

前回も書いた通り、大事なのは一貫性を持って継続的に投稿を続けることと、フォロワーとのコミュニケーションをきちんとすることです。

中途半端にアカウントだけ作って投稿が続かないと、フォロワーも増えませんし、フォローした人もがっかりです。ブランドが毀損され、イメージダウンになってしまうわけです。

また情報を届けるだけならSNSを使う必要はありません。「チラシ配り」のような一方的な投稿ではなく、フォロワーに役立つ情報提供と対話で、フォロワー自身が他の人へ紹介してもらうことが理想です。

Instagramではアルゴリズムによって情報を表示するので、フォロワーが多くても必ずしも情報が届くわけではありません。

フォロワーは数ではなく、質が重要になってきます。質の高いフォロワーさん、ファンが他の人へ進めてくれることで売上拡大をしていくからです。


このオンラインセミナーのアーカイブ動画はこちらで公開されています。

●売上向上の秘策!中小企業のためのInstagramマーケティング戦略 ~CSPA 中小企業ステップアップセミナー Vol.10 ~


●前編

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