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【無料】全宅ツイ不動産チンパンジー情報 増刊号-2019 夏-

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【特別対談】ルノアールの収益構造を立退き屋が解説してみた

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「喫茶室ルノアール」などを首都圏中心に展開する銀座ルノアール(東京・中野)。ワンルーム営業やネットワークビジネス、ラッセン販売などさまざまなビジネスシーンで使われる都会のオアシスとして有名ですよね。そんなルノアールには本業の飲食以外にとある〝不動産収入〟があることはご存知でしょうか?本日は、全宅ツイ立退き部メンバーで、立退き実務の裏の裏まで知り尽くしたあのお二人にそのことを詳しくお聞きしました。
(聞き手:阿川サワー子)

■コメンテーター
Yohei Shiraishi【@yh_shiraishi
「地主さんは売りたくて仕方ないけど恥ずかしがり屋で自分からは言い出せず、売ってくださいと言われるのを待っている」#全宅銭湯部

デベ夫人【@devemistress
お酒と美容院の息抜きに趣味で立ち退きをしています #16時飲酒倶楽部

ーーはじめまして。阿川サワー子です。今日はルノアールの秘密をお聞きしようとこのお二人に集まっていただきました。
Yohei Shiraishi(以下、し):こんにちは。…って、インタビューの場所もルノアールなんかい!
デベ夫人(以下、デ):もー、さっきせっかく美容院行ったのにタバコ臭くなっちゃうじゃん。
ーーす、すみません!臨場感があったほうがいいと思って……。さて、私もよく仕事でルノアールを利用するんですが、不動産クラスタの方から「ルノアールはコーヒーで儲けているわけじゃない」という話をよく聞きます。これってどういう意味なんですか?
し:なんや。そんなことも知らんと取材申し込んだんか。こんなの義務教育のレベルやがな。ちゃんと進研ゼミやっとった?
デ:まあまあ。ちゃんと教えてあげてよ。
し:しゃーないな。まずこれ見てみ。

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ーーこれはルノアールの損益計算書ですか。
し:そうや。カワイイお目目かっ開いてよく見んかい。この特別利益のところに「受取補償金」ってあるやろがい。これが答えや。
ーー耳慣れない言葉ですね。どういう意味でしょうか?
し:自分ほんま教えてちゃんやな。そんなんやとオイシイ投資話にケツの毛までむしられんで……。まあええわ、受取保証金ってのはいわゆる「立退料」ちゅうやっちゃ。この金額数えてみ。
ーーは、はい。…2億円!?立退料で年2億円の利益を上げてるってことですか?
し:そういうこっちゃ。この店もそうやけど、ルノアールが入ってるビルってオンボロなことが多いやろ?
ーー確かに。なんだかみすぼらしいビルが多いような印象ですね。
し:せやろ。ルノアールは駅前一等地のボロいビルにわざわざ入居する。駅前ちゅうのはたいがい再開発話の一つや二つ転がっとるもんや。で、立ち退きの話が来たら、破格の立ち退き補償金を要求する。それがルノアールの戦略なんや。
ーーなるほど!
し:駅前一等地の開発ともなると金や人がようさん動く。開発スケジュールもタイトやから開発者ものんびりやってられへん。立ち退き料をふっかけられても要求を飲むしかないんや。ホンマえげつないで。

ーーでも、そんなにお金払う必要あるんですか?無茶言うなら追い出しちゃえばいいのに…。
し:ほんまわかってへんな。全然時短でけへんやんけ。デベ夫人説明してあげて~。
デ:こんなの説明する必要あるの?まあいいわ。宅建持ちの人は読み飛ばして良いわよ。ようすけは音読しようね。

<デベ夫人の宅建ワンポイントレッスン> 
 よく「日本では不動産を借りている人の権利が強い」というような話を耳にしませんか。なぜ借りている人の権利が強いのかを知るためには、まず不動産賃貸借に関する法律の歴史をひもといていく必要があります。
 日本の不動産賃貸借に関する法律は、1921(大正10)年に「借地法・借家法」が制定され、1991(平成3)年には現在の「借地借家法」へと姿を変えました。大正時代から今に至るまで、日本の住宅・不動産市場は大きく変化していますが、法律上では古くからの慣習が今でも脈々と引き継がれているのです。
 詳しく説明しましょう。日中戦争の前後、戦争需要で都心部に人口が流入し、貸家の空室率が大幅に低下していました。政府は、家賃が不当に高騰しないよう統制をかけましたが、かえって高い賃料を払ってくれない借主を追い出すそうとする貸主が増えてしまいました。
 そこで政府は、賃借人を保護しようと、賃貸不動産においては「正当な事由」がなければ明け渡しを認めない法改正を1941(昭和16)年に行いました。
 これがいわゆる「普通借家契約」と呼ばれるものです。この契約においては、貸主側は建物が著しく老朽化しているなどの「正当な事由」がなくては明け渡しを請求することが出来なません。
 正当事由のハードルは高く、さらに正当事由が認められた場合においても、貸している部屋を明け渡してもらうためには、借主側が納得する金額の立ち退き料を支払う必要があるのです。

ーーすごい!よくわかりました。
デ:趣味で立ち退きしてるからね。
し:まあそういうこっちゃ。借地借家法ちゅうのはとんでもない悪法やで。ルノアールは賃借人という弱い立場を逆手に取ってうまいこと立ち退き料をせしめてるっちゅうわけや。

デ:ルノアールの沿革を辿ってみると、1983年にすでに100店舗の出店を達成してるのよね。ところが、2019年現在の全店舗数は119店舗。つまり35年間の間で店舗数がほとんど伸びてないの。この間に相当な数の店舗が開店しては閉店してるはずで、そこから得た立退料だけでも相当な収入を得てるんじゃないかしら。ルノアールが「コーヒーで儲けてるわけじゃない」というのはこういうことね。
ーーなるほど。ところで立退料の相場ってどのぐらいなんですか?
し:立地や賃借人の事情にもよるけど、事務所の場合は賃料の24ヶ月相当額、店舗の場合は賃料の40ヶ月相当額ってとこやな。ちなみに最近やった立ち退きでは、事務所で賃料の50~70ヶ月相当額、中には100ヶ月分相当額を払ったのもあんねんで。
ーー途方もない金額…。それでもダメだったらいよいよダンプの出番なんですね!
し:アホか!そんなことしたら一発で持ってかれるで。嫌がらせして無理やり判子を押させるみたいな地上げ見たことないわ。
デ:夜中にアメリカカンザイシロアリを散布するのよね。
し:そうそう。軒下にこそーっと忍び込んでね、カリフォルニア産のブツがよう効きますねん……ってなに言わせるんや! 立ち退きはほんまに誠心誠意やるしかないんやで。賃借人の代理人という立場に立って、「あなたのために立ち退き補償金の増額交渉をしてきます」ちゅうスタンスで話を進めんと。
デ:立ち退き交渉の1回目なんて「テメー、ふざけんな!帰れ!!」って怒鳴られて、塩を播かれることからスタートするのがほとんどなのよね。通いつめるうちに信頼関係が出来て、最後に「●●さんに言われたら仕方がない、ハンコを押すよ」と納得してもらう。
ーー思ったより地味な仕事なんですね。「ダンプでドーン!ユンボでバーン!」みたいなイメージでしたけど。
し:「しらいしかるた」が悪い。すべてあれが悪い。

ーー立ち退きに向いてる人っているんですか?
デ:当社では「ストレス耐性の高い、性格の良い若手」がアサインされることが多いわね。また相手がおばちゃんであれば若いイケメンを担当にするとか、マネージャーは交渉相手の特性に応じて担当者を決定するの。
し:人間は大金が絡むと変わるんもんなんや。最初は「ゴネるつもりはない」と言っていても急に態度が変わる人もいる。そんなのを目の当たりにして人間不信にならないようなメンタル持ってないとあかんな。相手の欲求を把握しながら、相手の機嫌を害さないように媚びへつらい、気持ちよく出ていってもらうのがわしらの仕事や。
デ:うちの場合は大体3年というのをひとつの立ち退きの目安としているので、その期限にハンコをもらうためのゲームと捉えると苦しい立ち退き交渉も楽しめるのよね。それに、立ち退きをしてくれた人から不動産の相談の連絡が来ることがあって、そういう時は立ち退き屋冥利に尽きるって感じね。

ーー立ち退きの難しさはどういうところにあるんでしょうか。
デ:市街地再開発なんかでは、立ち退き交渉が難航すると全体の事業計画や工期に絶大なる影響があるのよね。だから定められた期間内でいかに交渉をまとめるか、を相手の態度を見ながら常に交渉シナリオをいくつものパターンで用意しておく必要がある。また、全体の事業計画の中で捻出が出来る補償費も限りがあるので、何社もの借主に対しどうそれを配分するかも舵取りが難しい。
し:相手にへそを曲げられたら一瞬で終わってまう。デリカシーが無いせいか、一言一句気をつけながら話すのが難しいとこやな。それでも結局は金積んだら解決するんやけどな。

ーールノアールの話に戻りますが、不動産業界でこれだけ〝悪評〟が立ってしまうと今後の出店戦略にも影響があるのではないでしょうか?
し:立ち退き補償金で会社を回すのはアカンわな。補償金は経済の拡大によって生まれたものではなく誰かが損をしたもんやからね。
デ:ここまで有名になっちゃうと、「ゴネる企業」というレッテルを張られて、そもそも出店させてくれる貸主がどんどん減っちゃうでしょうね。飲食店舗の場合、古い店舗は閉鎖する代わりに新しい店舗を出店して、売り上げを維持するというのが大前提。受取補償費が継続しても新しく店舗を構えることができなくなればいずれ売り上げは右肩下がりになり最後はジリ貧になる。正直これからルノアールがさらに儲け続けることは厳しいんじゃないかしら。
ーーなるほど。今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。
し:最後にええもん見したんで。ルノアールの2019年3月期決算や。よく見てみ。

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ーーこれは……。

し:な?

おしまい

※通常の全チンでは、2週間の間にあった出来事についてコメンテーターが自身の知見を交えながらユーモラスに語っています。サンプルは↓↓↓

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【コメンテーター:デベ夫人・Yohei Shiraishi】
【グラビアン塊:希美】
【編集:かずお君・かもめ君】

※本記事は、コンテンツの信憑性、正確性、完全性、最新性、網羅性、適時性等について保証責任を負いません。

全宅ツイ不動産チンパンジー情報 増刊号-2019 夏-
発行:合同会社全国宅地建物取引ツイッタラー協会

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