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全宅ツイ不動産チンパンジー情報 第80号

【特集】検査機関の中の人々

お鯛:では、ぼちぼち始めていきたいと思います!本日は僕たち建築士の親の仇!村を焼いたオーク!検査機関の中の人達に集まっていただきました!

海老名剛|建築基準法コンサルタント|ワクコエテ:確認機関歴10年。現在、設計事務所に所属しつつ、フリーの建築基準法に特化したコンサルタントを行っております。https://waku-koete.net

地盤面は既に平均:確認検査機関に勤める、会社では一切目立たない石ころサラリーマン34歳(設定)です。審査は苦手です。

ゆっきー:建築学科(意匠専攻)を出て、建設コンサルタント(道路、河川、上下水道、海、空(空港とか)を設計する土木の設計会社です。場合によっては、建築基準法に係る建築物の設計してたりします。)で建築設備を数年やって、今、指定確認検査機関1年目です。ぴちぴちです。現職では、検査部にいて、現場の是正や、軽微な変更による補正、完了検査追加説明書の審査をしたりしてます。一応意匠系です。

お鯛:ワクコエテさんは元々検査機関で働いていて今は建築基準法のコンサルタントなんですね。地盤さんは審査担当、ゆっきーさんは検査担当と
ワクコエテ:はい、かなりマニアックなコンサルティングですが、無事に二年目のシーズンに突入することができました。。
地盤面:申請する側と審査する側の両方の気持ちがわかるワクコエテ兄さん
お鯛:かなりニッチなコンサルタントですが、逆に一部からはすごく重宝されそうですね。
さて、そんな審査機関のみなさんですが、たぶん一般の人や不動産の人からするとどんなお仕事をしているのかイマイチ分からないと思うのです。簡単に言うと昔は役所だけがやっていた建築確認、検査業務を行っている民間の事業者って事ですよね
ゆっきー:ですね!
地盤面:速くて、高くて、詳しいけど、細かい。
お鯛:確かに細かいw(いつも重箱の隅をつついて貰ってます・・・)
ワクコエテ:平成12年あたりに民営化しましたので、かれこれもう20年以上経過しましたね。
お鯛:もう20年ですか。最近、ほとんど民間に申請されてて役所の担当者の審査能力が著しく無くなっているって話も聞きますね。
ワクコエテ:おっしゃるとおり、役所に行っても答えが出ないです。民間に聞いてくださいというスタンスがとても多い。役所の主事資格の人材不足もよく聞きます。
お鯛:でも民間でも「役所が良いっていうなら良いですよ」って言われる事もあってたらいまわしにされる建築士あるあるがありますw
ワクコエテ:よく使う戦略ですね。役所議事録は現在の免罪符!
お鯛:僕の出してる検査機関、最近すぐ議事録添付しろって言いますw
ワクコエテ:結局リスクヘッジなんですよね、、
ゆっきー:すごいやばいやつは「ごめんなさい、建築指導課に聞いてください」だったりします…。
地盤面:議事録が欲しいのは、道路関係とか、集団規定とか、許認可関係とかでしょうか。
ワクコエテ:基準法は明文化されていないグレー部分も多い法律なので、支障がない内容だとしてもその根拠がない、ゆえに議事録を添付ください、という指摘になるイメージですね。
ゆっきー:検査是正で、行政打ち合わせの細かい議事録は、あんまり求めないですが、最終的には完了検査追加説明書で、「行政がいいって言ったなら、簡単な報告書いてください」って求めますね。
ゆっきー:確かに道路関係はめっちゃシビアに言われるので、シビアに議事録求めます。あと都市計画法53条許可変更※の要否など、許可認定も…。
お鯛:こんな荒業もあります

※都市計画法53条許可:都市計画道路や公園など将来的に整備する施設の予定線にかかる敷地では建築確認を取得する前に一定の条件にあわせて許可が必要。RC造・地下室はNGで2階建てまでなど


・検査機関のキャリアパス

お鯛:民間の審査機関出すとまず規模とか用途で審査担当者振り分けてますよね。検査※→住宅系の審査→特殊建築物の審査→決済者みたいに担当のステップアップとかあるんでしょうか?
ゆっきー:うちは若手は四号建築物(木造2階建てや鉄骨の平屋等審査項目が少ない建物)とかが多いです。うちそのものが住宅ばかりですが…
ワクコエテ:機関によって得意とする分野がありますよね。住宅系やら特建系(共同住宅やビル等比較的大規模で不特定多数の人が利用するような建物)やら、若手は比較的小規模の案件からスタートするのが多いですよね。ただ、大規模案件の方が出来がよかったりするので、小規模だから簡単だという訳でもないです。
ゆっきー:わたしは確認申請の経験浅いので検査→最終的には確認審査※って言われてます。
お鯛:現場検査に来るのは役所から天下ったお爺ちゃんとかが多いイメージですw
ゆっきー:おっしゃる通りです。現場検査は行政から来た方が多いです。
お鯛:天下りのお爺ちゃん、だいたい融通きかなくてすごい嫌なんですよね・・・
ワクコエテ:検査員は確かに高齢化進んでますね。私も最終的には検査員で終わろうという人生設計をしております。

お鯛:いつも「早く建築確認下ろして!」って言ってる身で大変恐縮なんですが審査機関の人って結構人手不足というか多忙なイメージあるんですがどうですか?
ワクコエテ:人の流動性は高い気がします。人材に関してはどこもけっこう募集かけてますよね。サービス業という要素が強いので合う合わないがあります。
ゆっきー:うちも多忙です、特に裏方の事務が実は足りてなくて、確認申請の本受切り替えとかが滞ってますね。実は
お鯛:最近電子申請を使ってて23時とかに指摘事項が返って来たことがあって辛そうって思いましたw
ワクコエテ:職種的に審査と接客があるので、接客が終わったら審査開始という感じでしょうか。
お鯛:日中電話してもだいたい「接客にはいってます」って言われますもんねー
地盤面:窓口閉めてからが審査時間。加え、働き方改革で業務時間も制限されるなど…
ゆっきー:窓口開く前や、閉まってからメール開封とか繁忙期は特に…窓口行ったら不在票に不在票重なってますよ
地盤面:何年か前に全社的に18時に留守電に切り替えるようになりました。
お鯛:一日に何回も電話して「折り返しまだ?」とか圧かけてすみません…

※検査=検査申請(申請書、各種試験資料、特例写真など)から、現場のチェックや、事務所内で是正写真を見て、検査済証(中間検査合格証)をお渡しするのを検査部や、検査チームとか言います。確認は、確認審査って言いまわししてると思います。行政とかは使い分けてると思います

・建築基準法6条の改正について

お鯛:そんな激務な審査機関ですけど、先日建築基準法6条の改正がありまして木造2階建ての特例がなくなってさらに多忙になると思うんですが、どうですか?改正内容をざっくり説明するとこんな感じです。

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