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なぜ国語のテストは難しい?グレーゾーン対応読解力向上トレーニング

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どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


国語と算数。

この2教科のうち、
テストの平均点が低いのはどちらだと思いますか?

これは、
圧倒的に国語の方が低いです。

特に、小学校の場合。

筆者は小学校教員として10年担任を勤め、
LD児やグレーゾーンの子どもに対する、
勉強の教え方を研究していきました。

その筆者のクラスでは、
算数のテストの平均点は、
90点を超えることが多い。

一方、
国語のテストでは、
80点を超えるのがやっとレベルでした。

それぐらい、
教科の間で難易度に差があり、そして、
年々子どもたちの国語力は落ちています。

筆者が勤めていた地域は、
特に学力が低い地区だったので、
問題文がまず読めない。

そもそも、小学校で、
長文の国語のテストを行うことに、
カリキュラム的に無理がある。

1年生はひらがなを習ったばかり
それなのに、
長文びっしりのテストが出るのですから、
たまったものではありません。

テスト中に泣き出す子ども。
テストが返されて
丸が少なくて涙してしまう子ども。

そうやって、
子どもたちの自信を
少しずつ、少しずつ失わせていく
のが、
国語のテストです。

そんな中で、
筆者がどのようにして、
読解力を高めていく手立てを打っていたのかを
解説します。

こういった支援を行うと、
点数が上がる子は20点、30点と向上します。

ぜひ、ご覧ください。



読解力に必要な力/前提

読解に必要な力を、
上の図にまとめました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・ワーキングメモリの機能
・文章からイメージをつかむ力
・自身の力を把握するメタ認知
・そもそもの言葉の量である語彙
・解き方の手順を計画できるプランニング

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そのような力が、
積み上がった先に
読解力というものが存在します。

こういった、
読解の土台の力を培っておくために、
やっておいた方がよいことが幾つかあります。

以下のようなことです。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

■ 読み聞かせ
■ 音読
■ 視写

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

読み聞かせは、
そもそも絵を見ながら
内容を照らし合わせていくので、
イメージする力の向上につながります。

そして、
読み聞かせした内容に対して、
絵を見ながら対話をしたり
クイズを出したりする中で、
語彙力が養われていく。

森の動物たちがお祭りを開いていたら、

何の食べ物がある?

と聞けば、
語彙のトレーニングにもなるし、
国語のテストで問われていることを
口頭で答えていることになります。

また、本を閉じて

誰が出てきた?

とクイズを出せば、
ワーキングメモリのトレーニングにもなる。

情操教育にも読み聞かせはよいので、
最強の国語教育ツールです。

そして、

音読力のトレーニングで自力で読む力を培い、

視写によって文章の型を自分の中に落とし込む。

視写の価値は、
以下の記事にもまとめてあります。

音読は、
また別の形で記事にしていきますね。


テストを授業する

筆者がよく行う支援方法は、
テスト自体を授業するという方法。

テストをスキャンして拡大し、
ホワイトボードに映し出し

一緒に解いていくのです。

「それでは成績が不公平になる」

などと言った声を聞くときがありますが、
そこは構わずにやってしまいます。

なぜなら、テストを行うことは、
法律に定められた学習指導要領には
1つも書かれていないからです。

テストは行わなくてよいのです。
指導要領に沿ってに考えれば。

成績の材料がほしいから、
成績の根拠を尋ねられたときに
証拠となるデータが合った方がいいから
やっている。

そういった理由が、主流だと思います。

となれば、
テストの解き方も教えていないのに、
テストをやらせっ放しにする
ことは
教師としての仕事の責任放棄になり兼ねない。

よって、テストも一緒に解きます。

ただ、それでは自立することにならないので、
1年間を通して、
徐々に自力で解けるように手放していくのです。

ちなみに、LDの子どもに、
本文を教師が読みあげて支援を行うのは、
合理的配慮で、
法律上努力義務が課せられている
ことです。

もちろん、本人の意思は尊重した上で。

そして、
自力で解く力の育成に役立つのが
以下のような教材。

https://www.mitsumura-kyouiku.co.jp/s-kyozai/edusup/edusup-1181/

これは、筆者が所属するNPOが、
教科書会社である光村と
一緒につくっている教材です。

完全に、グレーゾーン対応

この教材は、
「スキル」と名乗っているように、
具体的な「読解の技術」を教えることを
主としています。

例えば、

【本文】
まる池公園には、花だんがあります。

という本文があり、

【問い】
まる池公園には、何がありますか。

という問いがあったとします。

この場合、
以下のような手順で問題を解きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①「何」を丸で囲む
②何の前後の文である、
 「まる池公園」「ありますか」に線を引く
③本文の「まる池公園/あります」に線を引く
④その間にある「花だん」を丸で囲む

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

答えは、「花だん」。

解答欄も、
きちんと3マスになっており、
何文字かが確定できるようになっています。

このように、

問いの中にあるキーワードに印をつけ、
本文にある同じキーワードをチェックし、
キーワードの近くにある答えを探す。

そのような手順を、
徹底的にトレーニングしていくのです。

楽しく、
確実に成功体験を積めるような教材構成のもと。

基本的に国語のテストは、
問いに含まれているキーワードを本文から探し、
周辺にある答えを見つけ出す作業が多い。

それをパターンごとにトレーニングする。

そもそも国語には、
問題パターンの数が決まっているからです。


国語テストの基本パターン

国語のテストに対応する力を付けるため、
小学校のテストのパターンを
徹底的に分析した教員がいます。

その方は、
市販テストを5~6社ずつ取り寄せ、
問題パターンを抽出し、分類をしました。

その結果、大雑把に分けると、
15パターンに分類できることが
分かったそうです。

15パターン+例の一覧を
以下に掲載します。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

《A 内容に関する問題》
【1】書き抜き問題
 → ~の文を書き抜きなさい
【2】設定・名詞を問う問題
 →「ふたり」とは誰と誰ですか
【3】述語を問う問題
 → 水面はどうなっていますか
【4】「どんな/どういう/どのような」
を問う問題
 → どんな様子でしたか
【5】「どのように/どうやって」を問う問題
 → 谷川はどのように流れていますか
【6】理由・目的を問う問題
 → 穴を空けるのはなぜですか
【7】要約する問題
 → 2つの言葉を使ってまとめましょう
【8】文章構成に関する問題
 → ~が変わる、初めの4字を書きましょう
《B 文法・言語に関する問題》
【9】指示語の問題

 → 「それ」は何を指していますか
【10】接続語の問題
 → 「ので/けれど」の合う方を書きます
【11】書き直しの問題
 → 2つの文を1つに書き直しましょう
【12】文の組み立てに関する問題
 → 主語と述語はどれですか
【13】言葉の意味を問う問題
 → 次の言葉の意味を選びましょう
【14】文字・言葉・熟語に関する問題
 → 次の漢字の部首は何ですか
【15】漢字・文字の読み書きの問題
 → 次の漢字の読み方を書きましょう

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

いかがでしょうか。

15パターンしかないと分かっているなら、
小学1年生からトレーニングを積んでいけば
6年間でかなり解けるようになる
はずです。

「15パターンでいいんだ」

全体像を把握できれば、
子どもも安心
します。

残念ながら、
小学校の教育現場に、
このようなことを意識する風潮が
あまりないのが現状。

6年間のトレーニングで
パターン認識できるさせる文化は、
まだ形成されていません。

これから、
広げていく必要がありますね。

ちなみに、
紹介した書籍には、
パターンごとのトレーニングプリントも
収められています。

コピーして、
そのまま使うことも可能です。


読解×お絵かきトレーニング

これは、
主にLDやグレーゾーン対応の方法ですが、
全ての子どもに役立ちます。

専用の書籍もあり。

パターンは2つです。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

Ⅰ 絵を見て内容を文に書く
Ⅱ 文章を読んだ内容を絵にかく

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

例えば、以下のような問題。

次の絵を見ていない人にも伝わるように、
文章で説明しましょう。

鳥は何匹いるのか、何色なのか、
それぞれどのような動作をしているのか、

といったことを文章に起こすのです。

上記に掲載した本は、
トレーニング問題が豊富にあり、
以下のように答えやすくなっています。

国語が得意科目になる「お絵かき」トレーニング

文章を絵にする問題も、
以下のような感じです。

国語が得意になる「お絵かき」トレーニング

レベルが分かれているので、
段々と高度なものにレベルアップしていけば
確実な力となっていくでしょう。


まとめ

読解力は、やはり、
一朝一夕で身に付くものではありません。

そして、現状の小学校の授業は、
授業で徹底的に話し合い、
ほぼ暗記してあるような題材のテストばかり。

初めて出会う文章を解くテストには、
なっていません。

しかし、
真の読解力が試されるのは
初めて出会った教材に対して

が多いはずです。

そういった、

・真の意味での読解力
・1年生からの系統だった指導
・グレーゾーン対応の手立て

などが、
きちんと整理されて、
学校単位で取り組むことができれば、
読解力はかなり向上していくと思います。

ただ、
学校現場は忙しいので、
家庭や別の支援できるサービスなどの手段を
一緒に模索し、読解力を補ってもいきたいですね。


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