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スイカおじさんが転んだ

思わぬ出来事は突然やって来る。

私は運動神経が鈍い。
野球をしている子供達のボールが飛んで来ても、こっちに向かって飛んで来た来た、あ~ガツン!ヒット!なくらい鈍い。

先日、駅構内を歩いていたら、突然後ろからものすごい勢いでおばさんがぶつかって来た。
一瞬スローモーションで時が流れ、気がついた時には床に転がっている自分がいた。
そしてそのおばさん「ごめんなさい!ごめんなさい!」と2度言って、大丈夫ですかの言葉もなく、なんと走り去ってしまったのだ。
さぞかし急いでいたのだろうけれど。
私、吹っ飛ばされて倒れていますけれど・・・
すぐさま側にいた若い男の人が声をかけてくれ、私は彼に起こしてもらい立ち上がることができたのだった。

スイカおじさんのことを思い出した。
昔、駅の階段でスイカを持っていたおじさんが転んだ。
Suicaではない。これからが季節の果物のスイカ。
今はスイカをまるまる1個買う家庭は少ないのだろう。
その頃は切って売っているスイカなどはなかったから、1個買うのが当たり前の時代。
ビニール紐で編んだ手さげの中に入れてもらい、大事に持って帰ったもの。

そんなおじさんの持っていたスイカは、おじさんが思っていたよりも重かったのだろう。
バランスを崩して転び階段の下に倒れたおじさん。
そしてその側で割れた真っ赤なスイカ。
駅をいく人達が、皆一瞬ギョッとする光景が広がった。

おじさんは大丈夫だったのだろうか?
怪我はしなかったのだろうか?
あのスイカはどうなったのだろう。
きっと家族は楽しみにしていたことだろう。
あの時、私はその他多くのただの傍観者だった。

「大丈夫です。大丈夫です」
私は飛んでいったバックを拾いあげ立ち上がった。
ここは駅の構内。
多くの人が行き交う。
なんたって恥ずかしい。
人だかりが出来たらそれこそ大変だ。
痛いなどと言ってはいられない。
そして私は走り去って行くおばさんの後ろ姿を、ただボッ~と見ていたのだった。

次の日の朝から何だか首が痛い。
軽いムチウチ症かも知れない。
病院に行くほどではないのだが、このどうしようにもない気持ちを怒りをいったいどこにぶつけたらいいのやら。
普段ならそんなに気にならない痛みも、どうやら怒りと繋がってしまったようだ。

noteでセルフメディケーション、きっとこれが一番の治療法かも知れない。
と思いながらの今日のnote。


お茶にしましょう
スイカケーキです
スイカの味がしたかどうかは?ですが
これもきっとセルフメディケーションのうち


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