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食べた羽蟻はシロアリだったかしら? マカピーの日々 #1450

割引あり

マカピーです。
レストランのカウンターでふとシロアリの味を思い出しました。

アフリカのザンビアに4年間滞在していた頃でした。

首都ルサカでも、毎年雨季の来る前あたりになると羽蟻(はあり)が大発生するのでした。

そもそも羽蟻とはアリの巣(コロニー)が大きくなると分巣するので女王蟻とオス蟻が旅立つ現象と言われています。

巣の中にいるオス蟻は全体の2~5%とも言われていますが、そもそも何千匹かが一斉に地表に出て飛び立つのです。

オスは女王アリと交尾するために飛び立つのですが、不思議なことに何が引き金になるのか周辺の巣穴から呼応したように一斉に分巣が始まるのです。

自然の中で何がその知らせを送るんでしょう? まったく不思議だなあ。

夜ともなると羽蟻たちは走光性があるらしく、外灯でも家の光にも集まるのです。

家の窓に蚊よけのネットが無いルーバーだけの窓となれば家の中にも羽蟻が入って来て大変なことになります。

更に不思議なのは羽蟻の翅(はね)は飛翔を終えるとパラリと落ちてしまうのです。

そうすると大きめのアリが部屋中を徘徊することになりあまり気持ちのいいものではありません。


これは野生種に近いパッションフルーツです。食べたら甘かった!

マカピーは家の前に街路樹として植えられたジャカランダの根元から沢山の羽蟻が発生する事が分かりしばらくそれを観察することにしました。

マカピーが偉大な自然の仕組みに驚嘆したのは、羽蟻(オス)は地中の巣の中で女王蟻の卵から働きアリに育てられたのですが、この日だけのために生まれてきたようなものなのです。

しかも同じ使命を持った沢山の兄弟とともに「その時間」が来ると一斉に出口に向かうのですが、よく考えて見ると地中の空間ではそれまでに翅を広げる機会は無いはずです。

それが、どの個体も出口から出たとたんに羽を広げて空に飛びたてるって事です。

まるで宮崎駿監督作品の「天空の城ラピュタ」に出てくるあのロボット兵のようにその行動がプログラムされている様に思えるのでした。

車を運転している夜に大量の羽蟻が飛翔しヘッドライトに向かって集まってくると吹雪の「ホワイトアウト」現象を起こし大変危険です。

ワイパーでもかき切れないし、目の前がヘッドライトに照らし出された羽蟻ばかりになってしまうのです。

マカピーは羽蟻の発生を日本やネパールでも見たことがありましたが、これほどの規模の大発生を見たことがありませんでしたので驚くばかりでした。

ところで、羽蟻は黒アリでもシロアリでもあるそうです。

ただシロアリはアリと名前が付いていますが普通の蟻とは進化的には遠縁となるとの事でむしろゴキブリに近いとも言われています。

アフリカではこのシロアリが大量の地上部の植物残渣を巣に持ち帰り、それで地下で「キノコを栽培」して食料としているとの記述もあります。

そうか固いセルロースをキノコの菌を使って分解させちゃうとはスゴイ智慧?ですね。


散歩をしていていろいろな果実が果実があります。食べられないものももちろんあります!

マカピーはそのシロアリが作る蟻塚(ありつか)をアジア各地で見て来たのですが、アフリカのそれは想像を絶する大きさだったのです。

ザンビアの仕事で放牧している牛に寄生するダニの採取研究に同行した際に、目的地の村近くの畑の中に大きな丘がありました。

灌木のある平原にこつ然と現れた高さ5メートル幅が10メートルそして長さ50メートルほどの長いロールケーキを思わせる形状をしていてその丘には木々が生えていました。

マカピーは同乗していた北海道大学のS教授に尋ねました。

「先生、あの人工的に見える丘って人が作った古墳か何かですか?」

「マカピーさん、ここに古墳文化はありません。あれは蟻塚です」

「先生、待ってください。ボクの知っている蟻塚って塔みたいに尖がっている換気システムを持っていて、その下の地中に巣があるんじゃないですか?」

「その通りです。でもこちらでは何千年もかけてこうなっちゃったんですよ!」

「本当に小さなシロアリがこんな大きな丘を作ったんですか?」

「ハイ。彼らは地上部から植物を取り込みどんどん巣を拡大するのでその大量の土を地上部に掻きだしていることになるんです。それは物質循環を促しミネラルを地表部に運び出す重要な役割をしていると言われています」

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