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この木は何ですか? マカピーの日々 #1452

マカピーです。
熱帯には薬になる植物がまだまだ沢山あるらしいですよ!

なんと、野生の動物も自分で薬草を見つけて傷を治すのだそうです!
下のニュースでオランウータンの例を紹介していました。

熱帯地方にはまだその素性(有効成分)が分かっていない植物が沢山あると言われています。

なにせ原生林にある一本の高木には沢山の着生蘭やいろいろな生物が住み着いていてそれだけで一つの生物圏を形成していているとも言われるくらい多様性に富んでいるのですからまだまだ未知なる世界が残されているわけです。

その原生林が、いとも簡単に開発の前に地上から消えてしまう状況があり、それを科学者たちが心配する事と言うのは「研究も及んでいない世界が消えてしまうという危機感」から来るものです。

もちろんエコシステム全体をどこまで残すのかという問題はありますが、少なくとも「この大木一本を残せばいい」とはなりません。

というのも森全体で一つのエコシステムが形成されていてそれは空気の湿度から地中の地下水などにも影響しているでしょうから。

やっぱり相当広い面積の中で、人間の影響を少なくした環境の中でオランウータンやゾウやサイが自由に動き回れる広さが欲しいわけです!

創薬の観点からも、熱帯雨林の多様性に求められるものは沢山あり昔から沢山の薬草ハンターがジャングルを探査したのでした。

ふーん、散歩して面白いわけ?

さて、マカピーのマレーシア協力隊員仲間のOさんは植物学者でした。

彼は大学に勤めながら有用植物の採取にある島へ出かけました。

そこで、村人を雇い上げて森に入り植物を調査初めて困った問題に突き当たりました。

Oさんが、「この木は何と言う名前ですか?」と尋ねると「カユです」と返事があります。

それで、「じゃあこっちの木は何と言いますか?」やっぱり「カユです」と返って来るのでした。

Kayuとは木という事です。

「だから、その木とこの木は違うとしたら別の名前があるでしょう? 地元の言葉でも良いからそれを教えて欲しんだよね」

確かにその島の住人は半島マレーシア側のマレー語をしゃべる人たちではなくサバ州のバジャウまたはスルック系の住人でしたが語彙が非常に少なかったのです。

もともと彼らは海洋民族ですから、海の事柄については非情に詳しいのですが陸に上がるとカダザン族系住民などと違って植物に関する語彙が乏しくなるようでした。


木の幹から直接実がなるジャックフルーツ(ナンカ)

マカピーもネパールに滞在していた際に食肉に関する語彙が豊富な事に気付きました。

ヤギの肉一つとっても屠ってから食事するまでにいくつもの過程を経るわけですが、その都度に肉の名前が変わるのです。

ちょうど米作文化が発達している日本ではこうなります。

種籾(たねもみ)を播種(種まき)して苗代で育苗した苗を田植えすると、どんどん稲が分ケツを繰り返し株が大きくなり成長します。

更に出穂(しゅっすい)して花が咲き受精するとそこに実となる栄養分が充填されてゆきます。

登熟し稲が実れば稲刈りをして乾燥、脱穀して籾(もみ)、それを撞いて玄米にして胚芽や糠層を取り除く精米を経て「白米」ができ初めてご飯を炊くことが出来るわけです。

もっとも、マカピーは農家で生まれて稲作も知っていたし農業の学校出身なのでそうした事を知っているのはあるのですが何よりもそうした全てのプロセスに適切な言葉が存在している事を認識せずにはいられません。

つまり日本はコメ文化の世界だったのです。

ところが、海洋民族や牧畜文化、農耕文化でもトウモロコシや麦作ともなると又別の文化を生むことになります。

だからOさんが直面した言葉の問題は極端ながら、異文化の中で暮らす際に「説明しにくい」文化背景をお互いに理解することが求められるのでした。

それから日本には植物名もラテン語をつかった学名を使用しなくても牧野富太郎さんの功績もあってほとんどの動植物には「和名」が当てられているのです。

おそらく世界でも稀有な国と言えるでしょう。


おそらくショウガの仲間(いやランかも)ですがとっても美しい花を咲かせます

マカピーがマレーシアの青年の日本滞在を手伝う仕事をした際に、教師グループの一人の女性が「マカピー、この木の名前知っている?」つづけてラテン名を言ったのですがマカピーにはチンプンカンプンでした。

「ゴメン、マカピーにはその木の日本名しか分からないんだ。じゃあマレー語ではなんて言うの?」

「それが、残念なことに植物分類に従ったマレー名がないのよ。だから私も学生の頃一生懸命ラテン名を覚えたのよ」

どちらがいいかと一概に言えないのですが、マカピーは自分が日本人に生まれてよかったなあって思いそして、牧野富太郎さんのような先人の業績に感謝するのでした。

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。文化とは膨大な叡智の集積ですね



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