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日本史授業脚本「33.政党の結成」

板垣退助の自由党、大隈重信の立憲改進党の結成が今回のテーマです。政府の一員として活躍していた板垣退助と大隈重信ですが、彼らはともに薩長出身者に対する反発心があり下野しました。

板垣退助は土佐藩、大隈重信は肥前藩出身で、薩摩藩・長州藩とともに倒幕を成し遂げた雄藩出身。でも、やはり薩長と比べるとやや落ちますね。政府内の議論になると、大久保利通や伊藤博文などの薩長閥にかなわない。

でも、ついに「国会開設の勅諭」によって10年後の民撰議会設立が約束されました。これは彼らにとって念願でした。出身藩の力ではなく、議論で決まる政治が実現すると思っていたからです。

板垣退助は「民選議院設立建白書」を出していますし、大隈重信は「国会即時開設派」として政府内で浮いた存在でした。議会開設に向けて心躍ったことでしょう。

そこで両者とも議会選挙に備えて政党を作ります。しかし、この二人は「議会開設」というところだけは共通していますが、理想とする政治体制のビジョンは全然違いました。

ここが今回のテーマの心動かしポイントです。民権派といっても、その理想は一つではないんですね。それぞれがどんな国家ビジョンを持っているのか比べてみるのがいいと思います。

革命も辞さない過激なフランス流の自由党、議会中心の穏健なイギリス流の立憲改進党。この理想像の違いは、各政党の支持階層も異なります。

これからアジア発の立憲国家になっていく日本が、急進的な自由党と穏健的な立憲改進党、そして政府系の立憲帝政党という政党によって議論が深められていくことになるのです。

日本の国体である「和の精神」と「話し合いの重視」がより強化されることになるのです。

ここで一つ大切なこと。政府も自由党も立憲改進党も、意見や方針は違えども、「国家の繁栄」と「国民の幸福」がゴールという点は同じです。立場は違っても目的は共通していることで、この後日本は欧米に追いつくほどの発展を見せるのです。

それに引き換え、今の「政党」は国民全体ではなく、「支持者のための利益集団」になってしまっているように思います。そのため、政党同士は足の引っ張り合いばかりで「国全体の利益(安全保障)」や「国民全体の幸福」のために協力し合うことを忘れてしまっていますね。

政党政治の始まりの授業を通して、生徒たちには、「政党は一部の人たちだけでなく、国全体の幸福を実現するために議論する(切磋琢磨する)存在であること」を知ってもらいたいですね。

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