ギター挫折者の最終兵器・5弦+ダウンチューニング&カポ

 我が国の楽器人口は1200万もいるらしい。さらに2002年と少し古いデータだが、この記事だとギター人口は600万人。

 2018年5月のギブソン破産に象徴されるように、近年はギターの売上も減ってはいるが、それでもギターがある程度弾ける人口は、少なめに見積もっても300万人はいるとみてよかろう。ではその挫折者はどれくらいかというと、ざっくり10倍、3000万人はいるだろう。

 そんな全国3000万人のギター挫折者向け記事を去年書いたが、その続編である。「オープンチューニングにし、オープンコードで弾けばいい」で一度は終わったのだが、弱点もあって、

・マイナーやsus4くらいなら簡単だが、それ以外のコードは結局難しくなってしまう
・オープンCの場合のA以降など、どんどん音が高くなってしまい違和感がある(鍵盤なら左側に行けばいい)

 そんなこともあり、もう一度レギュラーチューニングのレギュラーコード(そんな呼称はない)で練習してみた。
 やはりできない。そこで、ダウンチューニング&カポを試してみた。

 実は前からこの方法は知っていたのだが、負けた気がする、見た目がダサい、そして私の場合押さえづらさよりも問題は指の干渉だと思っていたので、解決策にならないと思っていた。
 だが、これは思い込みだった。押さえやすくなることで、余計な力が入らない→指のフォームにも余裕が出る→結果、干渉も抑えられる。やってみるものだ。奏者から見てカポ右の1フレット目(上記写真では3フレット)は、一見硬くなったように見える。だが弦高が下がっているのでとても押さえやすい。ぜひ騙されたと思って試してほしい。チューニングがそのままでも、感触の違いはわかるはずだ。
 また、ギターを使わない時は弦を緩める人が多いと思うが、ダウンチューニングにすると最初から緩めてある状態なので、そのまま放置できることもメリット。

 さらに、5弦ギターにしてみた。6弦を捨てる。高音のソロやコード弾きしかしないんだったら、低音の6弦など不要だ。レギュラーチューニングEADGBEからもわかる通り、6弦と1弦は同じ音、一部の特殊なコードを除いて同じ押さえ方をする(G7やGM7は6弦と1弦の押さえ方が違うが、3弦と6弦が同じ音(G)なので問題ない)。なので、片方あれば和音としてはちゃんと成立する。これは上記記事で私が開発した、4つの弦しか使わないSTコードにも通じる思想だ。
【6/16追記:EFGルートの分数コードはマニュアルと同じには使えないが、あんなものいるか? 元のコードで鳴らしとけばいい。作曲家のオナニー、自己満足じゃね?。どうしてもやりたければカスタマイズすればいい】
 そもそも、#系を除くと6弦を使うのはEFGコードのみ、CDAB、過半数は使わないのだ。使わなくてもあってもいい? いや、単純に邪魔なのだ。
【7/4追記:厳密には、EFGコードはそれぞれE/B、F/C、G/Bとなる。この際Dコードも5弦を鳴らしてD/Aでいいではないか(dim以外は5弦開放弦Aで行ける)。分数コードがデフォルトでもいいじゃないか、そういう時代だ!】
 6弦を外してみた。これもやってみるとわかるが、とてもスッキリする。見た目もだが、弾く時のストレスが減る。
 ツイートの写真は2カポ(全音下げチューニング)だが、今度は1カポ(ハーフダウンチューニング)にしてみた。写真はCメジャー。

画像1

 5弦ギターの実用的なメリットは、以下。

・Gコード系が簡単になる。7つのうち一つでも簡単になればぐっと楽になる
・Fコード系(のバレーコード系)も簡単になる。Fメジャーの場合、人差し指のバレーコードが1,2弦だけ押さえればよくなる。難易度はBメジャーとほぼ同じになる
・6弦のミュート、鳴らすか鳴らさないかの判断が不要になる
・些細なことだが、チューニング・弦交換の手間が5/6になる

 余計なプライドは捨てて、とことん簡単な状態からギターを始めよう。特に弾けもしないのに複数ギターを買って余っている人は、ぜひ1本試してみてほしい。私もエレキ(レスポール)とギタレレ(過去記事)で2本、そろそろ3本目が欲しくなってきた…。
 今回記事以外の対策としては、細い弦(ライトゲージ、エクストラライトゲージ)に張り替えるのもいい。そういえば私は切れてしまった1弦しか張り替えたことがないが、試しにワンランク細く(010→009インチ)してみたら確かに楽である。アコギにエレキの弦を張るのもおすすめ。音質? そんなものは気にするな。弾くためには手段を選ばないマキャベリストであれ。
【6/16追記:010-046から009-042の弦に張り替えてみた。それでも1フレットは硬いが、感触はかなり違う。ローコードに関しては、細い弦交換よりダウンチューニング&カポの方が効果は高いが併用すればより効果的】

 さて、ここからは余談だがコロナ自粛による、テレワークで在宅勤務も増えた。通勤時間がなくなり、家でギターなど楽器を練習する時間は増えた(昼休みにすることも可能)し、その需要は大きくなっていると思う。とはいえ家だとエレキギターでないと厳しい人も多いだろう(アコギも公園など行けば可能だが)。
 全国3000万のギター挫折者よ、今こそ再チャレンジすべき時ではないか。他に没頭できる時間つぶしや趣味もなく、かつて買ったギターが家の収納に眠っているなら…それは天命かもしれない。
 今音楽家たちはステージに立てず大変な思いをしているが、初心者が今から練習始めればちょうど自粛期間が終わる頃にステージで演奏できるかもしれない。何食わぬ顔で、音楽家デビューしてやろうではないか。