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「南青山の子どもたちの未来のために、ひと言」


今日も南青山は憎悪の刃で切り裂かれ、罵りと揶揄の対象になっています。また、南青山住人が反対派を批判すると、それは古くから同地に住むロコ(地元民)によるニューカマー(新参者)差別であるともTwitterでは語られています。
どうなのでしょう?
本当に例の反対派は南青山のニューカマーなのでしょうか? 

私自身も移り住んで10年の南青山のニューカマーです。
しかし反対派の言は人として受け容れ難く感じますし、ましてや《南青山ブランド》など、どうでもいいと思っています。
ただただ、この地に住む大勢の恩人と友人、そして子どもたちが全国から貶められている今の状況が悔しくて切ないので、初めてnoteを書くことにしました。(※1)

まず……説明会で醜い言辞を述べた人々は、本当に南青山地区の住民なのでしょうか?
私は、これまでの経緯から、その点を強く疑っています。

建設計画の説明会は3回行われた"よう"です。

どうして"よう"と付けたかというと、私の家は南青山のど真ん中にありますが、現時点まで、港区からは、メールもチラシも、一通も届いていないからです。
ただし、《青山の未来を考える会》が作成したと思しき、コピー用紙に両面印刷した簡易なチラシが、12月の上旬に1回だけ、ポスティングされたことがあります。

この《青山の未来を考える会》が、即ち、港区子ども家庭総合支援センター(仮称)建設計画の反対派です。

同会の住所は南青山の不動産会社事務所にあり、少し前まで、10月中旬の説明会のときにテレビで放送された自称南青山住人の意見(恫喝)と同じ主張を「建設に反対する理由」として自社サイト内に記載していました。
現在は独立したドメインを取得して住民による会を名乗り、建設に反対する理由も書き換えましたが、建設反対署名の宛先や問い合わせ先は、ドメイン取得前と同じ不動産会社になっています(※2)。

1回目の説明会の頃には、同会は存在せず、住民側の質問は「周辺が小学校の通学路であるため、工事中は安全に配慮してほしい」といった常識的なものばかりで、施設の建設そのものに反対する声は上がりませんでした。
このときの質疑応答が港区のホームページで公開されており、内容を見ると、建設工事による騒音被害が予想されるようなごく狭い範囲に港区から呼びかけて説明会を開催したことが推測されます。(https://www.city.minato.tokyo.jp/jidousoudanjunbitan/documents/022_kinrinsetumeikai-shitugiyouto.pdf)

2回目の説明会は、10月中旬に行われました。
(3回の説明会の開催事実は港区のホームページで確認できます https://www.city.minato.tokyo.jp/jidousoudanjunbitan/kodomokateisougoushiensenta-.html)

この2回目の説明会のもようは、10月中旬の開催直後にテレビで報道され、反対派の酷い発言が全国に流れました。
しかし1回目の説明会には取材が入りませんでした。
反対派の会が立ち上がったとたんに、テレビや新聞で大々的に報道されはじめたわけです。

私は南青山の一住人ですが、10月中旬の説明会の後に、Twitterで南青山が叩かれているを見て、建設計画と説明会について初めて知った次第です。

1回目の説明はおろか、港区子ども家庭総合支援センター(仮称)建設計画そのものを、それまではまったく知りませんでした。

つまり、1回目の説明会も、この2回目の10月の説明会についても、件の建設計画についても、南青山に住んでいる私のもとには、港区からもどこからも、何の知らせもなかったのです。
見落とした可能性もあるかもしれないと思われますか?
しかし、地元の知人や友人に尋ねても、私と同様に、皆さん、今まで、この件について港区からは何の連絡もない、何も受け取っていないとおっしゃったのですが……。
もちろん、百人、千人に聞いたわけではないけれど……。
ほんの数人ですが、皆、まぎれもなく南青山住人です。
彼らも私と同様で、建設計画も説明会も知らず、テレビやSNSで見て驚いたと言っていました――それが10月中下旬のことでした。

最近になり、南青山に住む私が知らなかった人々(中の1人は高校生です)も、Twitterで、建設計画や説明会について寝耳に水だったにもかかわらず国中から罵倒されることへの戸惑いや悲しみ、怒りの声を上げはじめました。
なにしろ、私たちは何も知らされていませんでしたから。
理不尽でしょう?
南青山の無辜の人々(罪のない人たち)は、私は大多数だと思います。
ひょっとするとテレビに出て南青山住人を自称している人たちは、本当は南青山に住んでいないいわゆるサクラで、それなのにこの地区の住人全員が故なき咎で責め立てられている状況かもしれないとも……。
(尚、このnoteを書いている最中に、南青山町内会の人たちは住人の新旧を問わず満場一致で建設計画に賛成だったというTwitterの投稿がありました。それによると町内会では反対意見を述べているのは南青山の住人ではないと言っているということです。町内会でこの件について会合を開いたという事実が確認できないため、残念ながら真偽は定かではありません。もしかすると「1回目の説明に出た町内会の人々は全員建設に反対しなかった」ということを盛って書いた投稿だった可能性があると思います)

私は、10月にTwitterで"南青山叩き"が始まってから、港区のサイトを調べて建設計画を知り、賛同すべきものだと思いました。
(そう思った理由については後に述べます)
そのとき同時に反対派の会についてもインターネットで検索して調べましたが、恫喝する男性と不動産会社の組み合わせから、素人の手に負えるものではないと直感したので、黙って事態の推移を見守ることにしました。

――そして、12月中旬に3回目の説明会が行われました。
今回は前回と違い、先述したように、説明会の数日前に、反対派の《青山の未来を考える会》の主張が載ったチラシが、うちのマンションの郵便ポストに届きました。
一般家庭用のプリンターとパソコンがあれば誰にでも作れる、コピー用紙の両面に刷ったチラシでした。
表面は港区のホームページから建設計画の説明会の部分をコピペしたような内容で、裏面は《青山の未来を考える会》の宣伝と主張、そして同会の連絡先が載っていました。
ちなみに、港区からそんな形状のチラシがうちに届いたことはありません。だから「これは恐らく《青山の未来を考える会》が作って配ったのだな」と私は思いました。

10月の恫喝動画を見て、不動産会社が関係していることを知った上で、その会からチラシが来た(と思った)ときの、私含め恐らくは大多数の南青山住人の気持ちを想像してみてください。

堅気とは思えない恫喝をしていた反対派の動画。
土地開発を手掛ける不動産屋の深い関わり。
公的な機関が作ったとは思えない粗末なチラシ。

……まず、「怖い」と思いました。

「怖いからこんな怪しい説明会には行きたくない」
そう考えました。

港区の説明会かどうかも疑わしいとそのときは思いました。
("南青山叩き"がネットで再燃してから港区のホームページを改めて見て、港区主催による説明会が本当に行われたことを知りました)

私は開催日時に仕事を入れていたこともあって今回の説明会への参加を見合わせましたが、時間が空いていてもたぶん行かなかったと思います。
……むしろ私には、10月12月とここ2回行われた説明会に人が集まったことの方が不思議です。
あのチラシを「怪しい」とも「怖い」とも思わず、普通の南青山住人たちが、参加を決めたのでしょうか?

それにマスコミは、いったい誰に呼びかけられて取材に出向いたのでしょう? 
10月中旬に”南青山叩き”が始まるまでは、当の南青山住民である私たちですら知らなかった建設計画と説明会なのですが?
3回あった説明会のうち、最初の説明会は取材していませんでしたよね?

また、なぜ、マスコミでは、「児相、児相」と連呼して、あたかも南青山に児童相談所だけが作られるような報道を繰り返しているのか、その点も疑問に思います。

港区のホームページでこの建設計画について確認すると、《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》は、子育てをテーマにした多様なイベントの開催子育てを支援する人のネットワークづくりを行い、近隣の親子が気軽にイベント参加や育児相談に訪れることが出来る《子ども家庭支援センター》の機能を兼ね備えた、複合的な子育て支援施設だということがわかります。(太字部分は港区HPより抜粋)

南青山地区には、公立の保幼小と児童館、子育て世帯が多い住宅街があります。
にもかかわらず、南青山地区の親子に長く愛されてきた子育て支援と遊びの拠点《こどもの城》は閉鎖されてしまいました。
そして、子育て支援と室内遊びの場《あい・ぽーと》の所在地は、南青山の保幼小がある住宅街の中心部からやや遠い外苑前駅付近で、乳幼児を連れて徒歩で訪れるのは容易ではありません。
これらを考え合わせると、こんど計画されている総合的な子育て支援施設は、大多数の南青山の住人から歓迎されこそすれ、反対されるいわれは無いと思われます。
私が、この建設計画に賛成する理由もそこにあります。
それにまた、《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》の、児相や母子保護施設と「子育て」を隔てない画期的なコンセプトにも、共感を覚えました。

考えてみれば、本来、児相等と「子育て」は地続きなものです。
児相や保護を求める母子を、本来あってはならないものであるかのように一般的な子育ての概念と区別する、そんな差別的な考え方には、私は絶対に与したくありません。

マスコミをはじめ世間の善意ある人々が批判すべきは、この素晴らしい計画を頓挫させようとする件の会なのではありませんか?
無辜の南青山住人を憎悪の対象にするのは間違っていませんか?
マスコミも、南青山についてセレブだブランドイメージだと手垢のついた言辞を並べてばかりいないで、南青山の住宅街を少し歩き回ってみたら如何ですか?
路地裏のセブンイレブンやファミリーマート、八百屋や銭湯、お豆腐屋や地元に愛されているお稲荷さん、登下校する小学生や中高生は見ましたか?
自転車に幼児を載せて保育園の送り迎えをするお母さんたちに会いましたか? 

……これまでの報道姿勢を少しだけ反省して、《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》の実現を、この土地で子育てをする南青山住人のために、どうか後押ししてくださいませんか。

私は3年ほど前まで、南青山の公立小学校の校庭を借りて行う小学生のためのスポーツクラブの監護係を務めていました。
このクラブは部活動ではなく、民間の団体に委任した専門のスポーツコーチが小学生たちに駆けっこや幅跳びなどを教える教室のようなものです。
平日の早朝に開かれ、自由参加ですが、件の公立小の児童に人気があり、毎朝、多いときでは50人以上も集まって楽しそうに運動していました。
同校の一生徒だった私の子どもが参加したことが監護係になるきっかけでしたが、当時、彼らの姿には本当に癒されましたし、参加児童の保護者の方々との触れ合いも日々の楽しみのひとつになっていました。

あのときの子どもたちも、保護者の皆さんも、南青山で暮らしています。
私が今感じている義憤は正当なものだと思います。

港区も、こうなってしまった以上、南青山地区の住民の名誉を守る義務があるのではないでしょうか。
何ら知らされることなく、いきなり言葉の暴力を振るわれているのは、一部とはいえ港区民です。
また、今回計画されている施設がどんなものであるかについても、マスコミの偏った報道により、住人の間にも誤解が広がっていると思います。
本来であれば、南青山地区の文化資本と人材を総動員して盛り上げていくべき性質の施設でしょう。
育児支援の総合基地として、子育ての楽しさを地域に広げ、多くの親子の憩いの場になるよう、イベントなども充実させる予定ですよね?
 港区のホームページにある《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》内《子ども家庭支援センター》の説明からは、そのように読み取れました。
児相を優しく包摂した素晴らしい施設になる可能性があると思います。
南青山地区の全戸とマスコミに正しい情報を、説明会以外の方法で、積極的に発信してくださることを望みます。
南青山住人として、今回の港区の取り組みを誇らしく思います。
《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》を応援しています。

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(※1) noteは今まで読者としてサポート専門で楽しんできました。
”南青山叩き”が始まってからずっと、かつてお世話した小学校のスポーツクラブの子どもたちやその保護者の方々、近隣の知人友人の顔を思い浮かべて心を痛めていましたが、ある日、南青山に住んでいる高校生の男の子がTwitterで”南青山叩き”が「トラウマになりそう」とツイートしているのを見たことが、投稿に初挑戦した直接の動機です。もっと正確に言うならば、その少し前に別の南青山住人がnoteを投稿していたことがずっと頭にあったところ、高校生のつぶやきを読んで決意した……というところでしょうか。

(※2) ドメイン取得前の反対派の会のページは魚拓が取られてTwitterで拡散されています。

※ 以下は、この問題関連で見つけた良い記事など。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakuraiyukio/20181219-00108061/
「児童相談所で南青山の価値は下がるのか 不動産の側面から考える」
住宅評論家・櫻井幸雄さんが「不動産価値」というキーワードからこの問題を読み解いたコラム。「なぜ、南青山に児相なのか?」という皆が感じる疑問に回答、国有地・公共事業・自治体による土地取得とその価格の構造をわかりやすく解説しています。

https://www.city.minato.tokyo.jp/jidousoudanjunbitan/documents/021_kinrinsetumeikai-shisetugaiyou.pdf
《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》の機能や建物を図解で紹介するPDF。港区作成。1階(と3階の一部)は子育て中の人が集うスペース。そして一般の来訪者が使えるのかどうかわかりませんが体育館があり、屋上と壁面は緑化、子どもが触れる内装各所には天然素材を使用する予定だそうです。よさげ。

https://www.asahi.com/articles/CMTW1812201300001.html
「港区児童相談所 南青山変更せず」
12月19日に行われた定例会見で武井雅昭港区長が建設地変更の考えはないと宣言。「(区内の)どこがふさわしい、適さないというものではない」「経済的に不自由していなくても育児放棄をするケースが地域で起きている。すべての方へのサービス」と話したそうです(そうだそうだー!)。
というわけで、たぶん、児相などの複合施設《港区子ども家庭総合支援センター(仮称)》は2012年4月に開設されます。

http://tablo.jp/case/news004289.html
「南青山住民の私は児童相談所設立に賛成します 南青山は寛容な街」
タイトルは編集長が考えたのかな? 本文は私が書きました。
今回のnoteと内容が被る部分がある理由は、noteを書いた後に、「多少、内容が重なってもいいから」と久田将義編集長に執筆を依頼されたから。
「住民の一人としての心情を吐露して頂ければ大変有難たいです。どんな土地なのか、どんな人がお住みなのか。地方の方は分からないと思いますので、もし宜しければいかがでしょう」という注文でした。写真は編集部で用意してくれたものなんですが、路地のうらぶれ方が……まあ、あのとおりなわけですが……。「南青山がっかりツアー」を企画しようかな(笑)

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