見出し画像

2030年の世界地図帳からみる製造業とSDGs〜本の要約、2030年の製造業編〜(工場でできるSDGs①)

 こんばんは。昨今毎日のようにSDGsが騒がれる時代になりましたね。製造業関係でもバッジをつけている人が増えたように思います。先日のIPFでも植物性樹脂による脱石油プラスチックを掲げている企業が多いことも印象に残りました。そこで、今後中長期的なテーマとして製造業におけるSDGsのへの貢献を考えていきたいと思いました。そのためにまずは全体像ををつかんで、具体的な今できることを紹介していきたいと思います。

 全体像を掴むために、落合陽一さん著「2020年の世界地図 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」を読みました。この本を選択した理由は、SDGsに関する説明だけではなく、2030年の世界状況を鑑みた上での日本のあり方こそがSDGsに取り組む理由になるというような意見なので、より現実的だと考えたからです。この本を読むことでなぜSDGsが必要か、どのように実現していくかという部分が理解できると考えました。


1. 本の要点① SDGsと2030年の世界

 2030年までには5つの破壊的テクノロジーでデジタルイノベーションが加速され、世界情勢も産業のプレイヤーも大きく変わる。その上でSDGsは具体的にされた世界共通の目標であり、それらを自分ごととして捉えて2030年を予測する必要がある。

SDGs…2030年を予測する上で、世界共通の目標であるSDGsは切り離せない。17項目あるが、それぞれ個別の目標が、それぞれ課題をもった国でローカライズされ、5つの破壊的テクノロジーによって達成されていくと予測される。

5つの破壊的テクノロジー…AI、5G、自動運転、量子コンピュータ、ブロックチェーン
5つのテクノロジーによるイノベーション例
食料…AI,IoT,ブロックチェーンにより、製造〜流通までの完全なコントロールができるようになる。自動運転技術が発達して、AIドローンや、GPS連携ロボット、手入れ収穫の自動化等スマート農業が加速する。細胞の培養で食用肉を作るレルようになる。→SDGs項目2「飢餓をゼロに」

健康
…ロボット手術やips細胞による再生医療、がん発見精度の高いAI診断等、様々な医療技術が発達する。→SDGs3「すべての人に健康と福祉を」

資源…再生可能エネルギーが増加して、脱炭素化が加速。太陽光と風力の実用化が進んでいる。再生可能エネルギーは、一度設立すると、材料を追加する必要がなくなる。→SDGs7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」

都市…一極集中は2025年にピーク、2030年代に土地・住宅事情が変わる。スマートグリッド化、空飛ぶ車等の多様なモビリティが発展する。
→SDGs11「住み続けられるまちづくりを」


2. 本の要点② 世界の4つのデジタルイノベーションのイデオロギー

 世界のデジタルイノベーションには4つのイデオロギーがあり、日本はそれぞれの中間点を目指すべきであり、その中でもヨーロピアンデジタルのように伝統・歴史があるため、日本独自の伝統・歴史にイノベーションによる付加価値をつけ「デジタル発酵」をしていく必要がある。
「デジタル発酵」…様々なテクノロジーがその土地に根付いたモノ・サービスと掛け合わせることで新たな魅力と価値が出てくるという考え方が今後必要となってくる。

アメリカンデジタル…オープンソースなどを使ったイノベーティブな帝国主義。規制ではなくイノベーションによる目標実現及び根本にある環境保護。
 資源問題に対しても、規制を強化するのではなくシェールガス採掘技術の革新などで解決してきた歴史、西海岸ではその土地や文化や歴史に根ざした生活を目指す"生命地域主義"が生まれ、コンピュータ黎明期とその考え方が混じりることにより テクノロジー X エコロジー が起き、GAFAMなどができてきた。そのため根本に環境保護の感覚がある。

チャイニーズデジタル…国家を後ろ盾とした資金と情報統制下のイノベーション。中国共産党による意思決定スピードと資金によるイノベーション。太陽光発電は、ほぼ中国メーカーが生産しており、世界一の生産量と広大な平野があるため、非常に理にかなっている。一帯一路を通して、ユーラシア大陸を横断してアジアへ電力を送り込む巨大送電網も配備するなど、今後も国家に後押しされた巨額の投資と消費が行われる。その投資先の一つに再生可能エネルギーがある。


サードウェーブデジタル…アフリカ等の最新技術が流行していなく、大量し消費国である新興国で起こる一足飛びのリバースイノベーション
2030年にはアフリカやインドの生産人口が増える。しかしアフリカには貧困問題が深く根ざしている。その中に最新テクノロジーが加わり一足とびでリバースイノベーションが起こっている。
 例えば、ほとんどの人が銀行口座を持たないため通信時間の残高を現金化できる電子マネーの「Mペサ」のようなイノベーション。


ヨーロピアンデジタル…ブランド力や歴史に強みをもった価値創造、規制。伝統にイノベーションを足して付加価値をつける。
SDGsとは法と倫理で資本主義を支配するヨーロッパ式ゲームである。環境や社会、ガバナンスを考えて投資するESG投資を促進しているのもヨーロッパ。GAFAMに対しても規制を強化しようとしている。

日本の立ち位置…米・中・欧の中間地点を目指すべき。流行を生み出し大量消費する米・中と欧との違いは歴史。ヨーロッパの資本主義は、消費と再生の循環経済の工程に付加価値をつけるもの。この付加価値の仕組みを理解し、立ち位置を考えることが必要。この付加価値は伝統・歴史・ブランドからくる付加価値である。日本独自の伝統・歴史にテクノロジーで付加価値を加えて新たなイノベーションを起こす「デジタル発酵」が必要である。


3. 2030年の製造業

 2030年には製造業を取り巻く環境も大きく変化していると思います。ここでは、1.に出てきた、5つの破壊的テクノロジーが製造業に及ぼす影響に関して簡単に考えたいと思います。

AI…機械学習・深層学習に関しては、すでに利用されてきています。画像検査のAI判断や、バラ積みピッキングのAI判断、ロボットの走行速度の効率化や切粉状態の監視等です。
 今後はより人でしかできなかった作業や、AIによりさらに生産性が上がる部分に利用されると思います。例えば、検査工程の人が判断する部分や、多品種ワークの判別、間違いの検査、組立ロボットによる人の嵌め合い感覚の最適化、ワークによる最適な加工条件の割り出し等、利用用途は様々です。

5G…工場ごとのローカル5Gが取り入れられ、完全にリアルタイムネットワーク化された工場が実現します。多品種のワークに対して、受注後の設計-製造-品質管理をソフトウェア上でシミュレーションすることで本当の意味での一品一様が実現するデジタルツインが実現している可能性があります。

自動運転…自動車の自動運転が進み、自動車会社のソフトウェアの重要性が高まります。自動車に取り付けられるセンサ、カメラの高度化はもちろん、工場で走る自動運転車も増えると思います。工場の決められた敷地内でのものの搬送は、ドローンなどが行うようになるかもしれません。

量子コンピュータ…勉強不足で量子コンピュータがどのような計算に優れているかがあまり理解できていないため、不明確ですが、より精密な設計シミュレーションができるようになるのではないかと思います。CAEでの熱流体解析やトポロジー化設計が高度化することにより、より高度な設計をより早くでき、生産ライフサイクルが向上するようなると思います。

ブロックチェーン…デジタルツイン、IoTの普及とともに、工場のセキュリティが非常に重要になります。それらをブロックチェーンで管理することにより、ネットワーク化された工場の実用が可能となります。また様々な角度からのデータを蓄積することでトレーサビリティの質も向上して、消費者がより安心してものを購入できるようになると思います。



 今回は2030年の世界地図帳をまとめて、製造業への影響をほんの少しだけ書かせていただきました。詳細技術に関しては別記事で書いていきたいと思います。また、SDGsに関しても、今後製造業で意識した取り組みが実施されていくものと思われます。パナソニックは、パナソニック エコテクノロジーセンター株式会社にて二酸化炭素ゼロ向上を実現しています。今後は、様々な分野で脱炭素化が進むと思われますので、その辺りも調べて、具体的な方法を紹介していきたいと思います。

 それでは本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。





 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?