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工作機械の営業で(営業研修)セールスイズアカデミアを実践して学んだこと

 こんにちは。また久しぶりの投稿となってしまいました。今年1月から営業代行会社CEREBRIXの「成果をコントロールするBtoBの新規開拓営業」を学ぶオンライン講座セールスイズアカデミアに参加しています。新規営業プロセスを細分化して、データ分析から生み出した方法論で成果をコントロールできるようになることを目的とされています。
 今回は日々の工作機械の営業においてこの講座で学んだことが活かせる事例があったので、自分の振り返りもかねて投稿します。


※初めにセールスイズアカデミアという講座とそこで学んだことを紹介しています。工作機械の営業での実践編を読まれたい方は飛ばしてください。


セールスイズアカデミアとは

 先述したとおり営業代行会社CEREBRIXが開催しているオンライン新規営業講座です。講師は今井昌也さんというCEREBRIX内のセールスエバンジェリストという肩書きの方です。今井さんは、ご自身とCEREBRIXが今まで蓄積してきた営業ノウハウをまとめた本「Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術」を出版されています。

主に本の内容に沿って実践を踏まえて解説してくれる講座になります。


※そのため具体的な方法論の内容は本やレビューをご参考ください。


・講座期間は3ヶ月間で2週間に1回(計6回)集合研修
・莫大な量の動画を見て予習→集合研修(オンライン)で実践、解説を聞く    
 22年2月20日現在は3回目まで終わっています。

 講座自体の感想としては、次の3つです。

1. 講座自体に関して
 本の補足ぐらいかと思っていましたが、実際は本の何倍もの営業現場のリアルな情報を動画で学ぶことができます。予習と事前課題だけで大変な量で、正直今回まで予習も復習も追いついていない状態でした。情報量の面で考えても講義動画だけでもこの講座の価値があるとは思いました。

2. 実践形式
 集合研修では仮想の企業に対して営業する形で、事前調査からテレアポや面談のロープレを行います。今まで関わったことがない商品の営業を実際に行うのは難しく、他の参加者の考え方なども聞けて勉強になります。また同じ課題を講師もやって見せてくれます。講師がどのように考えてその行動をとっているかを解説してくれることが非常に勉強になります。自身もおっしゃっていましたが、講師自ら同じことを見せてくれる講座は珍しいと思います。口だけではなく結果を出すことも大切な営業だからこそ、見せてもらうことで説得力が増します。

3. 直ぐに実践できる。
 本の内容だけでも直ぐに実践できる方法論ではありますが、講座では実際にターゲットリストの選定や攻略法を考えたり、解説を聞くことで実際に行う流れがわかるため、より自分の営業に活かしやすくなります。


内容で特に学びがあったこと

 どこまで書いて良いのかわからないのと長くなってしまうので、中でも学びが深かった点を少しだけ紹介します。

1. 営業活動をプロセス分けして"買わない理由"を潰す。
 この本や講座の本質は、

「売れた理由」ではなく「買わない理由」(Sales isより引用)

つまり売れなかった理由を分析することにあります。そして、

「受注」というイベントは営業プロセスの最後(Sales isより引用)

ですが、

「買わない」というイベントは営業プロセスにおいて、受注より前の全ての工程で発生(Sales isより引用)

するため営業プロセスを再分解して対策をとることで再現性が保てるという考え方です。
 講座ではそのプロセス分けと「買わない理由」の把握の仕方、改善方法を教えてくれます。そのプロセス分けが本当に細かく、明確に定義されているので感覚ではなく体型的に営業活動を改善できることが特長だと思います。

※実践で役立った点は後術します。

2. ターゲティングリストは精度と鮮度が大切
 顧客リストの作成方法も学びになりました。業界や事業内容、規模でリストアップすることは当たり前かと思いますが、

精度 顧客ニーズ(相手の求めているもの)と提供価値(商品で提供できること)のマッチング度合い
鮮度 「購買可能性が高いタイミング」 (Sales isより引用)

が重要であると学びました。これらは頭で把握しているだけで、言語化してリストにまで落とし込めていなかったため参考になりました。
 また自社の他の営業を見ても特に"いつ必要か"という鮮度が重視されず、どちらかというと営業マンが行きたい(行ける)タイミングで面談する方が多いです。そして「実は他社で買っていました。」ということも少なくないです。この講座では、顧客リストに鮮度の指標を入れる重要性を説かれており、納得感がありました。

3. ソリューションではなく、コンサルティングセールスプロセス
 BtoB新規営業には、顧客の課題を解決するソリューションセールスではなく、課題を一緒に発見していくコンサルセールスが必要とのことでした。

 これは言うはやすし、行うは難しの典型で、いわゆる課題解決型営業とは実際にはお客様にニーズが既にある状態から課題を掘っていき、最適な解決策を提示する形が多いと思います。

そうではなく、

まだお客様が気づいていない緊急かつ重要な課題 (Sales is Academiaより引用)

を仮説や問いかけの中から発見して、解決策を提示いくことが必要とのことです。これをファクトファインディングと定義されています。

 実際に営業をしているとわかりますが、このファクトファインディングはそもそも新規営業の場合、お客様がこのようなことは話してくれないことも多く、非常に難しいと思います。

 この部分に関して、「ヒアリングとの違い」や具体的な方法、それには「合意が必要である」こと、合意をえるための準備や初回の面談方法などが詳しく解説されており、大変参考になりました。


実際の工作機械の営業で生きた点

 ここからは実際に私の営業で活かされた点を紹介します。受注に至ったわけではなく、逆に失注しそうな事例になりますが、今までであれば簡単に振り返りを行うだけで仕方ないと言って別案件に望んでいたかも知れません。しかしこの講座を受けていることにより「買わない理由」とどこが良くなかったのかを自分の中で消化することができ、今後に活かせそうと感じたので紹介します。

※専門的な内容にもなるため、セールスイズアカデミアの情報だけを読みたい場合飛ばして頂ければと思います。

 状況
 ある組立をメインとしていた製造業が加工の内製化を検討していました。初めてのNC機での量産加工ということで、加工ができるのかどうか、材料費やランニングコストから検証が必要でした。

プロセス案件不明確のコピーのコピーのコピーのコピー

 ただし量産品で数が非常に多く現在の月生産数を踏まえると、材料供給までを自動化してとしてもNC機が10台程必要な計算で初めての投資としては大型投資となり現実味が低い状況でした。
 そのためまずは品種を絞って数を減らす、材料費削減のため材料を変更することなど様々な費用対効果の検証をしました。結果的に切粉をリサイクルすると当初の材料の方が安く材料はそのままにする予定になりました。


 こちらの提案

NCの量産加工自体が初めてのため、まずは加工ができることの証明。
スモールスタートで初期コストが少ない方法で提案。
加工できるかの不安を払拭するため、テスト加工や加工し易い材料の提案。
 加工内容は特殊な加工で材料供給から自動化することが一般的で、その加工に特化したメーカーが数社しかないような加工でした。その中で実績も多いシェア2位のメーカーを提案。(シェア1位は競合)
 メーカーの知見も多いため、打合せでは加工や初めてでもどのようにしたら加工しやすいか、どのように加工ノウハウをつけていくかなどを説明していました。

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 結果 
 様々説明と提案をするもあまり進展がよくない状況で、何度か問い合わせると、「材料を変えても費用対効果がでないので今回は見送りにします。」という回答をもらいました。

 しかし実際は材料を変えない方が費用対効果が出て、見送りにする理由にはなっていませんでした。

 そこで再度その説明や今後の進め方を提案することを希望しましたが、乗り気ではなく受け入れてもらえませんでした。

 そんな中、別の担当者と話をした際にちらっと聞くと、「別の機械メーカー(競合とも違う別の工作機の総合大手)がプログラム作成から材料供給、検査など何から何まで全自動でできるので、そっちで検討しているみたい。それが最適かはわからんけど、担当は気に入ったみたいで全自動で上の方にも話してるみたい。」と伺いました。
 投資対効果でメリットが出にくいため進んでいないか、テストの結果待ちなのかどちらかかと思っていましたが、全く違う内容で進んでいることに驚きました。

 その全自動の大手メーカーはこちらと比べても費用感が倍以上違う上、ほとんどの自動化はその加工には特化しているこちらのメーカーの方でも得意な分野です。通常同様の加工を行なっている企業は、プログラムも絞られているため最初からプログラミングの自動化までは行わず、初めから機械メーカー任せに全自動化をすると加工や検査のノウハウもつけられないことが通例です。

 しかしお客様も初めてのため、それを理解することも難しく、さらに既に大手企業側に気持ちも向いているため現時点では話を聞いてもらえず、全自動化案が白紙にならないとこちらには振り向かないだろうな…という状況です。

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 情報少ないですがざっとこのような状況です。要は既にお客様もこちらには向いていない状況になってしまっています。

 しかしせっかくですのでなぜこのような状況に至ったかをセールスイズアカデミアで学んだことを踏まえて振り返ってみました。

セールスイズアカデミア流「買わない理由」の分析

1. ファクトファインディング(課題発見)ができていなく、ソリューション提案のみになっていた。
 ここが最も大きな理由だと思いました。お客様が「内製化したい」というニーズがある中、"そのニーズ自体を実現する"機械しか提案できていませんでした。内製化を実現する機械と加工のサポートのみの提案しかできていませんでした。

提案趣旨
・スモールスタート…極力投資額をかけずに少ない台数から内製化(費用対効果が出ること・初期投資額が低いことありきだと決めつけていた
・加工に対するサポート…テストや加工検証、ツール選定を行なって、まずは簡単な材料・加工から行い、導入後に徐々に加工ノウハウをつけていけば良いと考えていた。

それに対して大手企業側は、

プログラム作成から検査まで何から何まで全自動を提案
 現在でも実現性や費用対効果があるのは自分の提案と確信はしていますが、お客様側からすると経営課題を考えた時に、"全自動化"と言われた方が適していると考えられるのも致し方ないと思いました。

経営の観点から考える緊急かつ重要な課題は、

内製化をして、加工外注費や納期管理リスクを減らすことであって、
加工機を徐々に入れていき加工ノウハウを蓄積することではないと気づきました。

 まして極端に言えば、組立がメインの会社なので、今から加工ノウハウまでつけたいと思っているわけでもなく、それよりも"全自動で勝手に加工が完成する"と言われる方が食いつくのは間違いないと思いました。

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 この点が私は、ソリューションセールス(加工を内製したいという今目に見えるニーズに対して解決策を提示しただけ)で、担当者ではまだ気づいていない経営課題なども踏まえた提案になっていなかったのだと思いました。
これがファクトファインディングするということなのかと感じました。


2. ファクトファインディングする合意が得られていなかった。
 こちらはお客様目線で考えたつもりでスモールスタートや加工のサポートを提案して、自動化もできることを説明していましたが、受け入れられず理解してもらっていませんでした。

 この点もそもそも初期の段階で、より鮮明に仮説を立てて、提案→お客様のことを伺う(これをセールスイズではアプローチと呼んでいます)ことができていなかったと思います。

 新規営業にも関わらず勝手に決めつけてこちらから提案するだけだったので、お客様も相談できなかったのだと思いました。このことからアプローチの段階でファクトファインディングの合意を得る必要性を痛感しました。(大手企業は既存取引があるので、そもそも関係性もありました)


3. キーパーソンを見誤っていた。(会いやすい人に会っていた)
 初めに話をくれた担当者と、途中からメインで検討する担当者が変更になりました。もちろん新しい担当者とも何度か面談をしていましたが、1対1での接触はなく、機械の打合せに終始してしまっていました。会わなければならない人に適切に行動を取れていないことも、お客様がこちらから「買わない理由」の一つだと思いました。


 セールスイズアカデミアで出てくる事例や他の参加者も、ITサービスや人材系など無形商材が多いイメージでしたが、この体験から自分が扱う工作(産業)機械という分野でも本質的には同じであると実感できました。このように講座を受けながら実践で日々PDCAを回せる点もセールスイズアカデミアの特長であると感じました。今後も機械業界の「買わない理由」を突き詰めていきたいと思います。


「セールスイズアカデミア」 の本質

 本講座の講師であり本の著者である今井さんは本当に納得いく説明をされます。そしてこの本「Sales is」も講座「セールスイズアカデミア」も本当に納得感があります。

 そこで何が違うのかを私なりに考えてみたところ

セールスイズアカデミア = 言語化 + 細分化 x 実践データ

だと思いました。

言語化… 
 抽象的なことや感情的なこと、表現が難しいリアルな営業現場でのニュアンスなど何から何まで明確にそして本当に細かく言語化されています。言語化されていることにより定義付ができ、理解しやすく納得するのだと思います。

細分化…
 営業プロセスや顧客動向、パターン分けなどありとあらゆる情報が細分化されています。そのことにより細かい部分まで分析→対策ができるのだと思います。

実践データ
 細分化して分析するために膨大な実践をこなしてデータ化されています。講座や本の中でも「◯◯の人、何人にアンケートをとったところ△△という回答が最も多かったです」とか、「◯◯と△△の営業手法をどちらもやってみたのですが、◯◯の方が効果がこんだけ高かったです」などのような説明が事細かに出てきます。
 しかも「オンライン化での営業のAパターンとBパターンを試した結果...」など最新の情報で"そこまで実験してるんかい"というような細かいところまで実践データがあります。営業代行という業種上様々実践してきた(できる)からこそ現実味のあるデータを出せるのだと感じました。


セールスイズアカデミア2期生募集中

 現在セールスイズアカデミアの2期生を募集開始したようです。(22年4月〜6月)。



ちなみに私が参加した理由は、
たまたまtwitterで案内を見つけて、以前S1グランプリで感動した今井さんが講師だから興味を持ったこと、

及び

ちょうど自社で発足した"属人化していた営業"を全社的に考え直していくチームに入ったタイミングでもあり、体型的な営業を学びたいと思った

ため参加しました。

 費用はそれなりにかかりますが、昨年国からいただいた給付金を使ってなかったので、これに使ったことにしようと思って参加しました。
 今のところ動画講座だけでもその価値はあったかと思います。課題もあるので日々の業務に追われる中でも強制的にやらなければならず、嫌でも身にはついているのではないかと思います。
 これからも自分ごとに落とし込んでいきながら、勉強と思考を続けていきたいと思います。また全講座終わってから感想記事を上げたいと思います。

長文読んで頂きありがとうございました。



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