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メカトロテックでみた機械トレンドやリアル展示会の魅力

 こんにちは。名古屋で本日まで開催されているメカトロテックに行ってきました。久しぶりのリアル展示会ということもあり会場も大盛況で、私も非常に楽しみました。
 今回のメカトロで見た機械のトレンドやリアル展示会で感じたことを記録ついでに書いてみます。全ての展示を見切れていないため、内容には偏りがあるかもしれませんが、私の思う範囲で面白かったものを紹介します。

目新しい技術は? JIMTOF後に機械本体の新機種を発表したメーカー3社

 今回の目新しい技術はAI技術などソフトウェアが中心だったと思います。工作機械メーカーの技術もJIMTOFオンラインで発表していたもののリアルな展示が主だったと思います。さらにそれらは、自動化を実現するソフトや周辺機器がメインだと思いました。もちろんEV部品向けなどターゲットを変えた様々な加工方法も紹介されていましたが。そのような中でもJIMTOFオンライン後に出てきた機械本体の新商品を数点紹介したいと思います。

1. 村田機械 MWR120:業界初のY軸搭載正面2軸旋盤。正面旋盤(平行2軸旋盤)にこだわってきた村田機械らしく正面旋盤での工程集約が可能な機械を発表されていることに熱いこだわりを感じました。

2. FUJI GYROFLEX:12インチ対抗2軸の大型複合加工機です。ストッカーも両脇に搭載、2軸の間にATC40本の工具主軸があり様々なワークの自動化が可能になります。レニショーの測定機も連結させて自動測定までを行う機械を展示していました。

3. 三菱電機 CFRP用レーザー加工機:CFRP材を切断できるレーザー加工機です。専用の発信器により切断面が繊維状にならずに綺麗に斜めに切断できます。1500x1500の機種と3000x3000のワークに対応できる機種があるようで、今後の自動車部品の加工にも使えるのではないかと思います。



簡単に実現できる自動化パッケージ

 自動化は自動化でも簡単に実現できる自動化事例が多く紹介されていました。
1. 機械と同じ操作盤で制御できるロボットやローダー
 
機械内にロボットやローダーを配置することで、機械と同じ操作盤で簡単に設定が可能となります。さらに省スペースでの自動化が実現できます。

オークマ ARMROID:機械内に配置したロボットです。始点と終点を入力するだけでロボットの経路は自動生成します。さらにロボットが様々な方面にクーラントをかけて掃除も行えます。ハンド交換は切粉がかからない場所で行います。

エンシュウ e-LOADER:立型マシニングのX軸を利用したローダーです。ストッカーと連結して多数のワークを自動化することも可能です。機械の操作盤で簡単に設定できます。


2. 協働ロボットとストッカーのセットで必要な時だけ簡単に自動化
 
昨今非常に流行りですが、台車に協働ロボットを乗せて移動できる自動化パッケージです。ロボットを実際に手で押して動かすことによりプログラミングするダイレクトティーチングにより簡単に必要な時だけ自動化が可能となります。メーカーによって異なりますが、およそ数百万〜1200万ほどのパッケージです。

展示していた企業例:DMG森精機、中村留精密工業、滝沢鐵工所、シチズンマシナリー、その他多数のロボットSIer

滝沢鐵工所の事例

3. 5軸加工機での多面パレットチェンジャーを使った自動化
 
5軸加工機の活用例として、3軸マシニングセンタでの加工内容を多面パレットチェンジャーを利用して長時間無人運転をする方法が紹介されていました。使いやすい治具や操作しやすいパレットチェンジャーなどより設定時間を減らせるシステムが目立ちました。

松浦機械製作所 MX330:10面パレットチェンジャー搭載の5軸加工機を展示。操作のしやすさ、ミーリングチャックを使った段取性の高さなど実際に使う人の手間を減らせる工夫を紹介していました。

マキノフライス DA300:多面パレットチェンジャーのスケジュール管理など簡単に使えることを売りにした自動化パッケージとして展示していました。スタイリッシュな見た目のパレットチェンジャーで近代的な工作機械に感じました。

4. 協働ロボットを使ったパッケージ
 
もちろん加工機メーカーだけではなく、協働ロボットを使った自動化パッケージは様々なところで展示されていました。特にパレタイズやネジ締め、検査工程の自動化事例が多かったです。主にダイレクトティーチングやワーク寸法と置き場所を入力するだけで経路を自動生成するなどティーチングレスのパッケージが多かったです。中国製の協働ロボットも多数見かけました。


AIを利用したプログラミングの自動化

 AIを利用した自動プログラミングソフトの紹介も目立ちました。加工条件等を自動生成してプログラミング時間を削減したり、自動で最適な条件を学習していき自動で改善を行ったりできるソフトなど様々な商品がありました。


1. 加工機における自動プログラミング
 ヤマザキマザックや中村留精密では、3DCADデータを入れ込むことで自動で加工条件を生成することができる制御装置を紹介していました。(別メーカーでもできるところはあると思います。)

2. DMG森精機 AIチップリムーバル:AIが切粉の体積状況を判断して、機内上部のクーラントノズルから最適な方向に噴射する機能です。切粉の体積を防ぎます。

3. アルム ARUMCORD:立型マシニングのNCプログラミングを自動生成するソフトウェアのメーカー。CADデータを入れるだけで最適な加工方法を自動で生成。CAMの場合と比較して加工方法、工具、加工条件の選定も自動化できプログラミング時間を削減できます。


環境対策・カーボンニュートラル

 今後は必ず求められる環境対策やカーボンニュートラルに関しての展示も多くありました。しかしこれらは「カーボンニュートラル」という言葉だけが先行して使われているだけではないかと思う内容も多かったです。ひと昔前の「IoT」のようなイメージを持ちました。
 逆に、カーボンニュートラルのためには、①使用料を把握(IoT)、②必要な時だけ使用(インバータ化等)、③CO2を排出しない方法・機器類の使用、となると思いますが、①②に関してはすでにIoTや省エネ対応できているメーカーが多いと思います。それらを今は流行りの「カーボンニュートラル」という言葉を用いて発表している印象を持ちました。

しかし今後は工作機械・産業機械にも③の抜本的な改革が求められると思います。それらを実現する機器や技術を追っていく必要があると思いました。

ファインマシーンカタオカ ヒートポンプで洗浄液を昇温:洗浄機において、洗浄液を昇温させるためにヒーターやボイラではなくヒートポンプを利用することで消費電力を1/3にする商品でした。初期投資やスペースなどのコストは少しかかりますが、液温が下がりやすい洗浄機(トンネル洗浄機など)には効果があるようで大手自動車メーカー等で実績ができているようです。

今後はこのような今までと違った方法でカーボンニュートラルを達成することが求められると思います。


リアル展示会の魅力

 2年ぶりに大きな工作機械のリアル展示会に参加して、展示内容を見るほかに3つの魅力があると感じました。

1. 設備構造を細かく見ることができる。
 
本物の機械を後ろ側などオンラインでは見にくい部分も見ることで、実際の操作性やメンテナンス性、設計の工夫などを理解できます。これらは実際に導入する際には非常に重要になるので、リアルに機械を見る必要があると思いました。展示内容も設計構造を知ることで「なぜそれが達成できるのか」が理解できました。

2. 複数社比較できる。
 一度に本物の機械を複数社比較できることも、実際の工場見学やオンライン展示会と違う魅力です。カタログスペック等では大差がなくても、実際に見てみると細かい部分の違いがわかります。
 また機械メーカーの設計の方も競合他社のチェックをされていました。それもなかなかない機会ではないかと思いました。

3. 人と出会える。
 
人と出会えることの大切さ、楽しさを改めて感じました。久しぶりに再開するメーカーの営業マンや最近もお世話になっている方、新しいメーカーの方など、様々な方と出会って実際にお祭り気分で話ができることも大きな魅力だと思いました。


まとめ

 今回のメカトロでは、出展社も来場者も非常に活気があって今までとの違いを感じました。また私自身も久しぶりの人に会えたり、JIMTOFオンラインの答え合わせができたりといった楽しさがありました。しかし同時にカタログを持って一日歩き続けるのは本当に疲れますし、時間も足りません。混んで来ればゆっくり聞きたい話を聞くことも難しくなります。その点オンライン展示会は自分の時間でいつでも見ることができるのが魅力だとも気づきました
 日々の情報収集にオンラインも活用しつつ、リアル展示会にはできるだけ足を運んで情報収集したいと思いました。


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