持続可能な工場への対策案:メモ(工場でできるSDGs②)

 こんにちは。以前の落合陽一著「2030年の世界地図帳」からSDGsと2030年の製造業に関してまとめてから1ヶ月が経ってしまいましたが、今回は、現時点で考えられる持続可能な工場のための施策をまとめたいと思います。そして次回以降でより具体的な案を深堀していきたいと思います。

 前回記事


※今回は現時点で私の頭の中で考えられる施策のみをまとめました。今後、専門書やネットで調べて正確な情報を発信していきたいと思います。そのためこの記事だけでは内容が抜けていたり、偏っていたりするかもしれません。

SDGsの番号と合わせて期待される効果を書きました。


1. 3Dプリンタによるますカスタマイゼーションの実現

効果:材料費減、人件費減:SDGs 12(作る責任、使う責任)
 3Dプリンタによって必要なものを必要なだけ瞬時に生産するという生産方法です。射出成形のような鋳造方式ではそれぞれに金型が必要になり、切削方式ではジグが必要となります。それらを3Dプリンタで行うことにより、様々なニーズに対して適切なものを設計して、いる分のみ製作できるため、限界費用(生産量と最小の一単位だけ増加させた時の総費用の増加分)を限りなく削減することができます。そして3Dプリンタの材料も様々なリサイクル材の使用が可能です。
※今後別記事で詳細を書いていきたいと思います。

2. 植物性樹脂による射出成形

エンプラ作成時のCO2削減:12,13(気候変動に具体的な対策を)
 樹脂成形を行う際に、自動車業界を中心にエンジニアリングプラスチックが多用されていますが、それらは石油を使って生成されます。地球温暖化へ配慮して、今後は植物性の樹脂が多く使用されていくと思われます。現在はエンプラと比べて、薄肉が成形しにくい等のデメリットもありますが、成形自体の技術革新も起こっており、次第に変わりなく成形できるようになってくると思われます。

3. 工場内での太陽光発電化

石油・石炭のエネルギー使用量減:7(エネルギーをみんなに。そしてクリーンに。)
 工場内で太陽光発電を行うことです。すでに実施されることも多いですが、工場屋根を太陽光発電にすることで、広大な工場敷地を利用して再生可能エネルギーを生成できます。

4. 工場排水処理装置による排水の浄化

工場排水の再利用:12,6(安全な水とトイレを世界中に)
 特に化学工場や塗装工場などの排水は非常に有害になるため、排水処理が必要となります。日本の工場排水は高度に浄化処理されて排水されているようです。これらの技術はよりグローバルに必要とされてくると思います。

5. 冷凍関連設備の脱フロン化

温室効果ガスの削減:13
 昔は、冷凍・冷却関連設備ではフロンが使われることが一般的でしたが、フロンは地球温暖化を促進するガスであり、オゾン層を破壊することからも2019年には特定フロンが全廃されました。温暖化対策のために、冷凍空調関連設備の脱フロンが掲げられ、アンモニアや二酸化炭素、空気などを使って冷却を行われるようになっています。さらにそれらのような省エネ設備を導入する補助金も出ています。

6. 協働ロボットによるマスカスタマイゼーションの自動化

生産コスト・人件費削減:12
 協働ロボットを使用することにより、様々な工程を自動化して、マスカスタマイゼーションに対応することです。協働ロボットにすることで、安全策が要らず、ティーチングも容易となり、通常の産業用ロボットよりも多品種に対応ができます。必要な時に必要な分だけを生産するラインの自動化に貢献すると思います。

7. 複数企業の連携した生産管理システムによる生産ロス削減

生産ロスの削減:12
 複数企業で生産管理・発注システムを連携することにより、より迅速で正確な生産管理が可能となります。そのため不要な在庫、誤発注などが減り、生産ロスを削減できると思います。

8. IoT、シミュレーションソフトによるマスカスタマイゼーション

材料費・人件費の削減:12
 IoTにより設備・工場をネットワーク化して生産するデジタルツイン構想のことです。さらにネットワーク化された生産ラインでのシミュレーションを先に行うことで、試作のロスを省きます。そのため製品の開発時間・ライン立上時間が短くなり、全体的な人件費、材料費を削減することができます。デジタルツインにより、本当の必要なものを必要な分だけ生産する生産ラインが可能となります。

9. 油圧機械の電動化

省エネ、工場温度減:7,13
 油圧機械(射出成形機やダイカストマシン、プレス機)の駆動をサーボモーター等による電動化することにより、省エネとなります。サーボによる制御のため、不要な時間の消費電力をコントロールでき、そもそもの必要電力も低いため省エネに繋がります。さらに油圧機器類は熱を発するため、温度上昇や油分ミストの発生等、工場の環境を悪くするため、工場全体の環境改善に繋がります。

10. 集中クーラント管理システムによるクーラント削減

排水減、再利用:12
 量産の切削工場でのクーラント(切削油)使用量はばかになりません。設備毎のクーラント濾過をしているところは多いですが、工場全体で管理しているところはまだ少ないように思います。それらを大型のタンクから供給することにより、クーラント管理・交換を自動化することにより、クーラント使用量を減らすことができます。濾過精度をあげることによりクーラント寿命、工具寿命を長持ちさせることが出来ます。後日別記事でまとめたいと思います。

11. 切粉圧縮による切屑減

産業廃棄量減、再利用:12
 金属加工をしているとどうしても切粉が発生してしまいます。それらはそのまま廃棄されることが多いです。特に旋盤が多い工場の場合、カール状の切粉が山盛りになります。それらを切粉破砕機や高圧クーラントにより細かく分断したり、分断された切粉を圧縮機で圧縮してそのままリサイクル材することで産業廃棄量を減らすことが出来ます。圧縮すると、切粉についていたクーラントも絞って再利用することが出来ます。切粉の再利用は必須となってくるのではないかと思います。

12. 重量作業・危険作業のロボット化・自動化

事故リスク減:3(全ての人に健康と福祉を)
 重量物の搬送や、高所や火器使用など危険作業は機械化・自動化されていますが、今後はよりその傾向が進むと思われます。今まで人でしか出来なかったようなことも機械化が進むと思われます。例えば、アシストスーツを使った重量物の搬送などが一般的になると思います。

13. 加工法の変更、新たなソフトウェアによる材料ロスの削減

材料費減:12
 例えば、板金の切断を行うレーザー加工機では、図面から加工レイアウトを自動で考えて、ロスが少ないように材料のどこでその図面の加工を行うことが最適かを判断するようなソフトが出ています。さらにバー材の切削を行う自動盤では最後の残り部分の端材を次の素材とつなげて端材のロスを少なくするといった加工法が開発されました。そのような少しでもロスをなくすソフトウェアや技術が今後も開発されていくと思われます。


以上、今思いついたものを簡単に書いてみました。他にもまだまだ様々な方法があると思います。今後は、本やネットから他にどのような方法があるか、実現するための具体的な機械や方法を紹介していきたいと思います。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。





 

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