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韓国最大の美容予約アプリのカンナムオンニを運営する『Healing Paper』がたった3年で日本最大級の美容予約アプリに成長した理由

カンナムオンニは、韓国のHealing Paper社が運営する韓国&日本最大級の美容クリニック予約サービスである。
医師出身のホン・スンイル代表らが2012年に創業した企業で、 美容整形市場におけるクリニックとユーザーの情報不均衡の問題をITで解決するため、2015年に"カンナムオンニ"を提供開始。2020年10月には日本への参入も果たし、2023年12月時点では、日本でのダウンロード数が累計100万を突破。ダウンロード数の日韓合計で550万を突破(2023/12時点)。韓国のクリニックは1,800院、日本のクリニックは1,400院がプラットフォームに加入しており、両国で大きくシェアを拡大させている。
※国内最大級のトリビューは累計85万ダウンロード(2023/6時点)
そんな彼が、日本国内でどのように日本最大級の美容予約アプリに成長したのかを探ってみた。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000063010.html

Healing Paperの会社概要

2012年に設立され、SV InvestmentやLegend Capital、KB Investmentなどから出資を受け、2015年から美容クリニック予約サービスのカンナムオンニを展開している。また、収益モデルに関しては、韓国ではユーザーの送客手数料でお金をもらうのは違法なため、バナー広告を含む広告費で収益化。一方で、日本では送客手数料での収益化を行っていると思われる。

日本人向けのアウトバウンド戦略

カンナムオンニの特徴の1つに、日本人が韓国の美容クリニックに施術しにいく人が多い点である。

カンナムオンニでは、そういったユーザー層に向けて、アプリの自動翻訳機能を活用し、韓国のクリニック情報を日本語で提供したり、韓国語がわからない日本人でも現地の韓国人や医師と会話したりできる。
また、渡韓するユーザーが増えるにつれて、SNS上でも韓国クリニックに関する発信や会話が多く見られるようになったことから、カンナムオンニが主体となって、2022年11月から、実際に韓国で人気のクリニック・ドクターを複数院誘致し、無料で直接カウンセリングが受けられる「カンナムオンニ相談会」を開催している。(累計3,000人以上が参加)
では、そもそもなぜここまで日本人がわざわざ韓国の美容クリニックに足を運ぶのか?カンナムオンニのリリース記事によると、以下の4点が背景にあるとのこと。
1)新型コロナウィルスの感染リスク低下に伴う、渡航緩和
2)美容・ファッション・KPOPを始めとする韓国カルチャーブーム
3)国内の美容医療・美容整形の浸透とそれらの最先端を行く韓国美容情報との接触
4)韓国クリニックの施術・手術費用の安価さ
特に、4番の施術・手術費用の安価さが大きいと見ている。例えば、フォーブスの記事によると、湘南美容クリニックで二重手術(切開法)を受ける場合の費用相場は20~30万円程度、それに対して韓国の場合は、医療機関の情報サイトMoDooDocによると平均15万円にも満たない金額。渡航費や宿泊費を併せても、クリニック次第で安価な施術を受けられる。更に、個人的に感じているのは、韓国の美容クリニックに足を運ぶ日本人の特徴として、滞在中にいくつもの施術・手術を行う人が多い印象である。結果的に、1つの施術・手術では大きな差は出ないものの、複数行うことで日本で受けるよりも大幅に安い金額で受けれるのである。

https://forbesjapan.com/articles/detail/36639

日本企業の買収

Healing Paperは、日本参入とほぼ同時期の2020年8月に、日本で美容医療口コミ・検索アプリ「ルクモ」を展開していたティンク社を買収。当時、ルクモには、約15万人のユーザーを保有し、日本全国の美容整形外科・皮膚科などにおいて、ユーザーが実際に経験した口コミ情報を約10万件提供していた。Healingpaperが日本国内の事業領域を拡大するのに大きなシナジーを生み出すことができるとの判断からの買収であったが、結果的に、成長していく基盤として成功だったではないかと感じている。

大規模なキャンペーン

カンナムオンニは、日本参入当時から大規模なマーケティング施策を積極的に投下している。例えば、「予約した方全員を対象に5000円キャッシュバックキャンペーン」や大型キャンペーンの「カンナムFES」などである。「予約した方全員を対象に5000円キャッシュバックキャンペーン」に関しては、カンナムオンニ経由でオンライン予約をし実際に施術を受けた方全員に対してのキャンペーンを実施。また、大型キャンペーンの「カンナムFES」に関しては、下記3つのキャンペーンを実施。

CMによる宣伝

2022年9月には、雑誌「CanCam」の専属モデルであり、アーティスト兼モデルの「楓」を迎え、WebCMを開始。
更に、2022年1月と2024年1月の2回に渡って、10~20代女性から広く支持を集める大人気韓国モデル「カンテリ(テリちゃん)」を迎え、日本でカンナムオンニ特別CMを公開している。直近公開したYouTube動画だけでも3ヶ月で100万以上再生されており、日本の若者女性の間でも人気なインフルエンサーだと分かる。
※カンテリは、現在、instagramのフォロワー数は180万人を超え、Youtubeチャンネル登録者数は約60万人以上

https://www.youtube.com/watch?v=eP8KUCrCjko

多様なチャネルでの宣伝

他にも、Youtube/Abema TV放映、山手線内ビジョン広告、渋谷駅ハチ公改札大型ボード、アドトラックなどあらゆる広告チャネルを活用し、資金を投下している。

最後に

2023年12月に、韓国外国人患者誘致プラットフォーム「UNNI」リリース。今後、カンナムオンニは韓国と日本での医療情報提供と同時に、外国人患者の誘致にもさらに拍車をかける計画。日本進出を皮切りに、韓国の美容医療病院訪問の需要が高い海外にも徐々に事業を拡大する予定とのこと。
また、彼らとしては、韓国での市場展開はもちろん、韓国以上に日本市場で展開しようとしており、カンナムオンニの日本国内での動きが国内美容クリニック市場に与える影響は非常に大きいと感じております。
弊社は、B4Aを中心に、美容クリニックや美容業界へのプレイヤーにも投資しておりますので、今後も積極的に業界動向を追っていきます。


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