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「広報がほしい」って、どの役割のことを言ってます?|広報Tips

「広報を手伝ってくれる人を探している会社があってさ。一度相談に乗ってくれない?」

ありがたいことに、そんなご相談を毎日のようにいただくようになりました。しかし話を聞いてみると本当にいろんなニーズがあり、こんなことを呟いていた時期も。


どんなプロジェクトもそうだと思いますが、専門人材をプロジェクトにジョインさせるのであれば、ジョブディスクリプションを明確にしておくことが重要だと思います。
そこで今回は(一般的に)広報活動の一環と認識されている仕事の中身を整理してみたいと思います。

そして結論としては、それを全部一人に担わせるのではなく、社内で分担しながら進めていけるといいね、という話をしています。


「広報の役割」とその仕事

早速思いつくままに書いてみましょう。ここではまず、「役割」という軸から整理してみます。

・取材窓口としての役割(メイン業務:取材誘引・メディア対応など)
新製品や企業情報などを伝えるプレスリリースをマスコミ各社に送る。取材してくれそうなメディアを新規開拓し、ネタを売り込む(メディアキャラバン)。掲載前記事の事実確認や原稿チェックを行うことも。

・秘書的な役割(メイン業務:取材日の調整、社内調整など
社内調整、関係者への取材の事前告知など。

・ロビイスト、市場のリサーチャーとしての役割(メイン業務:業界団体イベントへの参加、業界情報、競合他社の最新動向の情報収集
競合他社のニュースや露出状況などを調べ、社内共有。他社の情報発信戦略を分析して自社でも活用できないか検討したりも。

・コミュニティマネージャーとしての役割(メイン業務:インターナルコミュニケーションの促進、社内外イベントの運営)
経営者の声をまとめて社内に発信したりイベントを企画したり、、規模の大きな会社では社内報を作成することも。広報担当者はイベントレポートの作成などを担う場面も多く、必然的に社内外のイベントに参加することが多い。

・マーケター、ステークホルダーとの接点としての役割(メイン業務:SNS運用、メルマガ運用)
企業SNSアカウントやメルマガの運用を通じて世の中に企業ブランドを発信していく。マーケティング担当者がいる場合、業務領域が重なることもしばしば。

・コンテンツメイカー、インハウスライターとしての役割(メイン業務:企業ブログやコーポレートサイトの更新、プレスリリースの作成など
ブログやコーポレートサイトを更新して、企業の最新情報を伝える。採用広報の一環として、Wantedlyなどの外部ブログを更新することも。プレスリリースのライティングも担う。


規模の大きい会社だと、ここに
マネージャーとしての役割(広報チームの統括)
ディレクター・プロマネとしての役割(外部への発注管理)
企業倫理やコーポレートガバナンスの推進役としての役割(危機管理)
なども加わるでしょう。

広報って、思いつくだけでもこれだけの「役割」を期待されています。でもね、ここで考えたいのは、「大変な仕事だな」と悲しくなるんじゃなく、「それならみんなでやればいいんだ」とマインドセットを変えることなんです。


「この領域は、この人と!」で分担できるといいね

これだけの役割を一人の「個人」に担わせることは企業にとってかなりのリスクです。属人化の極みだし、たとえ一人目の広報担当者で上手くいったとしても、企業の成長ステージによって必要とされる役割とその難易度は大きく変わるから。

私はスタートアップをはじめとするベンチャー企業の広報実務についた時、勉強すればするほど「やるべきこと」と「役割の範囲」が広がっていき、軽くめまいを覚えました。

そこで私がたどり着いた一つの結論は「一人で全部やろうとしない」ということ。

昨日書いた記事のスライドの中に、こんな図があります。めちゃくちゃざっくりしていますが、仕事の性質から、当時私が担っていた広報実務を整理したものです。

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ここで一度整理したことで、企業の情報発信として足りない部分と、自分が得意な領域がどこかを俯瞰して見ることができるようになりました。そこで、私は社内のメンバーに協力を求めました。

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たとえば、私の仕事に決定的に欠けていたのは業界内での生の情報収集とロビイ活動でした。でも、本当はいろんなところに出向きたいけど、子どももまだ小さいし我が家はワンオペの極みなので(シングルマザーです)、なかなか気軽に夜のイベントなどに参加することができません。

また、業務委託で複数社を並行してご支援していると、増え続ける全ての取材に同席するのは物理的に不可能になります。

そこでそれらの足りない部分をどう補うか話し合いながら、他のメンバーと一緒に取り組んできました。


分担していくとみんながPRマインドを身につけ始める

「自分で全部はできない(しようとしない)」と割り切って生まれた副次効果として、他のメンバーのPRマインドが上がったという点があります。

私が考えるPRマインドとは、こんな感じ。

・何かあったら(なくても)発信することが当たり前の状態
・オープンにすることの気持ちよさを知っている
・情報発信を通じて世の中と関わる楽しさを知っている

まだまだ言語化しきれていませんが、メンバーがこういうマインドになってくれると会社にとってはいいことずくめだと本気で思います。

各種の情報発信の施策がなめらかに進行するようになるだけでなく、広報担当者は自己重要感を感じられるからモチベーションも企業へのロイヤリティもうなぎ登りだし、これからも広報頑張るぞ!という意識になれる。

「みんなが嬉しい広報PRを」が私のモットーですが、もちろん「みんな」の中には「広報担当者自身」も組み込まれなければいけません。

現実問題として、役割を超えた仕事の連携の難易度は社風によって大きく異なる、という点は十分理解していますが、「組織にとってどちらが目指すべき道か」を見つめれば、必ず現場(と経営陣)の理解は得られると思います。

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それでは、今日も良い1日を!


Photo by Tim Arterbury on Unsplash

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