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スイカを食べるたびきっと思い出すよ

5月10日、一粒万倍日の大安吉日に、父が天国へ旅立ちました!

医師の診断から1年11カ月の闘病生活でした。
入院はしたくない、という父の願いを尊重し、ストーマ手術以外はすべて自宅で過ごし、最期のそのときも朝8時に母と私のいる場でゆっくり呼吸が止まりました。

お葬式前後で出会った方々からは口々に「お家で最期まで過ごすなんて誰もができることじゃない、どれだけすごいことか」と言ってくれて。つらい闘病生活ながらも、父の最大限の望みが叶っていたとしたらうれしいな。

父永眠のnoteを下書きするのはこれで3本めで、亡くなる2週間前に急激に悪化してしまってから最期の日の朝の様子まで事細かに書いたものが最初。それをもうすこしライトにしたのが2本目。そして結局、そこを大幅カットして、文字でも気持ちよく父を送り出そう!と書いているのがこのnoteなのです。

でも、父と過ごした最期の話はいつか小出しにさせてほしいので読んでね。


父について「反面教師にしたいのです!」と書いたnoteは数知れず。それほど頑固で、やること成すことに家族中が「???」と思考が追いつかない宇宙人でした。臆病ゆえに強がり。だからこそ病気の発見も遅れてしまったね。

面と向かって「父のこと」を誰かとじっくり話すことなんてこれまでなかったけれど、お通夜~火葬までの間に親戚と話すとみんな口をそろえて言うのが「お父さんは本当~~~~にメメちゃんばかわいがっとったとよ」の一言。

末っ子であり、一人娘。
母に聞くと、生まれたわたしを抱きかかえた瞬間に「この子は嫁にはやらん」と発したそう。幸か不幸か、結果的に父の当時の願いを今もなお守れてしまっているわけで。

ライターネームを名乗っているけれど、わたしの本名はすこし珍しくて、父が命名期限のギリまで悩んで付けた名前なのだそう。わたしは結構、この名前を気に入っていて、この名前で生きていける人生そのものが最大の父からのギフトかもしれないな。


本題なんだけれど、今日はとある写真を見てほしくてnoteを書いているのです。

父の大好物はスイカ。
父は4月後半にガタッと体調を崩してしまい、時系列でいうと自転車で転んだ→捻挫したので寝たきりになった(そのときは一時的に寝たきりになったと思ってた)→一気に悪化し約2週間後に永眠。

逆に言うと、亡くなる約2週間前には自転車を乗り回せるほどの体調だったのです。

そんな、最後に自転車でお出かけした(そして転んだ)日も、歯医者の帰りに父はスーパーでスイカを買っていたのでした。

わたしが東京から帰省した日は、まだ会話がちょっと成り立つレベルだったので、父はわたしに「転んじゃった」「でも捻挫で済んだから2、3日でまた歩けるようになる」「でもスイカは守ったとぞ」「だから冷蔵庫にあるスイカを食べなさい」ということを途切れ途切れに熱弁。

わたしは、最後に見た(たったの3週間前くらい)顔つきからまたもう一段階、病気が進行したのだと察せてしまう父の顔を見ながら泣き笑い。

たぶんこれが父が自力で買ってこれる最後のスイカなんだろうなと思うと、ものすごく食べるのがもったいなくてしんどかったけど、腐らせるのがいちばん最悪なので、

めちゃめちゃ仰々しく写真を撮りまくったあとに、美味しく食べました!


「父が守ったという、噂のスイカ食べたよー。美味しかったよー」と言えば、父はニカッと笑ってくれて。

亡くなったあとも、"自転車から転んだがスイカは守り抜いた父"はテッパントークとして親戚中に広がってゆきました。悲しい場面でも、こうやって「父らしいね」と笑えるエピソードがゆるゆる空気中を揺蕩う感じに、少し気がまぎれたりもして。

ーーということで、母協力のもと撮影した、父が最期に守ったスイカです!
今日はこのスイカの晴れ舞台です!(!?)
甘くて美味しかったよー!

父の愛車(🚲)の荷台にて


おとーさん、30年ちょいの付き合いだったけど、たくさんたくさん愛してくれてありがとう!!腹立って狂いそうになることのほうが多かったはずなんだけど、今お父さんを思い出すと、そんなシーンばかりが過っては「かわいかったな」なんて気を許してしまいます。そうです、あなたはややこしかったけど、かわいかったです。母はまだまだ、父に縁のあるものを視界に入れるたびに涙してます。もも(愛犬)は父と散歩していた夕方5時になると、玄関近くで今も毎日父を待ってます。わたしもそろそろまた東京へ戻るけど、ひとりぼっちになったらきっと、ものすごく寂しくて泣いちゃうと思うよ。でもできるだけ、父が「もうここに居ないこと」ではなくて「居てくれたこと」に目を向けて前向きに生きていくから、家族みんなのことをそっと見守っていてね!父が最後に送ってくれた父特製ホルモン煮込みとポン酢が家に残ってます。食べるのがもったいないけど、それもぜんぶ美味しく完食するからね。ここ2年、「痛い」「つらい」とはわたしにほとんど言わなかったけど、しんどかったよね。苦しさから解放されて、ゆっくり休んで、もし生まれ変わりがあるなら次の命も楽しんで健やかに過ごせますように。たくさんたくさん、祈ってるよ。

大好きだよーー!!

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