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【詩】だんだん変わるということ 〜S教授へ〜

その間際が一番謎めいて心を惹いた
表情が消え言葉からもあらかたの個別性が消えた
散らばった言葉は掃き寄せられて唇を動かし
色形のない花になってぽつぽつと大気の階梯を登った
手はそういう手ではなくなり
足もそういう足ではなくなり
全身がものと入り混じるように認知の対象から外れた
もうそれはそれではない これはこれではない
愛が、もう愛ではなく純度の高い水として
とどめ難く流れ落ち始める
すべての事物と区別のない光をまとい
目を閉じても消えず忘れても消えない
見えないし思い出すこともできない現象になっていく
その過程が、むやみに美しい

書き記すまでもなく
美しいという言葉もたちまち無数の
色形のない花に紛れて
実態を失ってしまうのだった

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