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三十にしてSAN値知る〜初めてのTRPG

例えば。
オフィスで仕事をしている時、社長から内線がかかってくる。「エム王くん、今から社長室来れる?」「はい、伺います」
社長室では、厳かな表情で社長が待っている。「まぁ座ってよ」「はい」
社長「いやぁ、来期の事業計画なんだが…」
「な、なんでしょう…」
「エム王君にね、日本版ビッグバンセオリー*の登場人物を任せたいと思ってるんだ。やるからには必ず、成果を出して欲しい。エム王君、やってくれるか?」
と、言われたとする。
こんな時、あなたは何と答えるだろうか?
かくいう私は
やります!!!
と即答するような人間である。
(* ビッグバンセオリー:パサデナを舞台に繰り広げられる仲良しオタクのシチュエーションコメディです)

だがそんな私には一つ、心配事があった。
「マーベルもDCもそれなりに履修してる。小学生の頃からスター・ウォーズの大ファンだし、物理の知識こそ無いけれど、人文なら何とかなるかもしれない。でも…でも…」
TRPGやったことない!
ダンジョンズ&ドラゴンズやったことないよ!
レナードたちよくやってるのに私知らないよ!

前置きが長くなったが、要は、昔からずっとTRPGがやってみたかったのである。(いや、長くなったとかいう次元じゃない。お読みくださってる方、本当にありがとうございます)
そんな折、友人のKPからありがた〜いお誘いをもらって、初めてTRPGにチャレンジすることができました!ありがとう!おめでとう!Congrats!

KPはいつもマダミスをやろう!と声をかけてくれて、ゲームマスターばかりしてくれている(ご本人曰く「楽しんでやってる」そうなので決して強制ではない)ファシリテーションスキルと優しさを備え持った聖人のような人物だ。

今の日本ではTRPGと言えばクトゥルフ神話TRPGというものが主流らしい。
ダンジョンズ&ドラゴンズはそんなにポピュラーではないらしい。
無知!

と、いうことで、まずはKPからTRPGのキャラクター設定やゲームシステム、操作方法などについて教わる。
キャラクターは、様々なスキルを数値で設定しながら作り上げていく。こんなに細かいんだ…という程沢山の項目がある。
まずは自分自身をキャラクターにしてみよう!ということでスキルや能力値を決めていくのだが、さながら期末の人事評価のようであってなかなか緊張感があった。「エム王さん、今期の売り上げ惜しかったね」という上司の声が聞こえるようだ。
しかもこの項目名というのがなかなか厄介で、聞き慣れない言葉ばかり。一度説明してもらったのだけれど、「これ何の数値だっけ…」とKPに何度も確認しないと進められなかった…。1週間経った今ではほぼ何も思い出せない。

そして、それは当然にやってきた。
そう、SAN値。
Twitter(Xじゃなくてね)で名前だけは見たことのあった言葉、SAN値。
ただ会話であんまり聞いたことはなかった、SAN値。
改めてググって調べようと思うほどには気にならなかった、SAN値。

私はこの歳にして、SAN値と向かい合った。

SAN値とは、正気度を表すパラメータ。
(sanity由来なのかな?多分。知らんけど)
この値は精神力の数値から自動計算される、固定の値だ。私は中学生の頃からずっと「鋼のメンタル」と言われてきているので、SAN値も自ずと高い数値になる。
そしてSAN値がゼロになると「発狂」してしまうとのこと。
シンプルに怖い。
しかもゼロにならなくても、一気に一定数下がるだけでも発狂してしまうらしい。怖い。
気を付けたい。主に日常生活で。

他にも様々なスキル(私は営業マンなので「言いくるめ」が高めなのでは…?的な感じで今回はゆるりと決める)を設定して、いよいよ実際に遊ぶシナリオを説明してもらう。
この日KPが選んでくださったのは、「カタシロ」というプレーヤー1人で遊べるストーリーである。
お話の中で、ダイスを振って自分のスキルを使ったりすることで物語が少しずつ進行していく。ダイスの目によって望んだ行動が叶わなかったりもするのだけれど、今回はなかなかの強運を発揮していたと思う!デジタルのRPGもほとんど遊んだことが無いので、物語の登場人物になるのが、本の中に入ったみたいでとーっても楽しかった。
読書している時、映像を思い起こしてその中に没入して楽しむタイプなので、本当にそれができるってすごい!!!

どんな方がお読みくださってるのか分からないのでここではストーリー詳細は省きますが…
とにかくとーっても面白かった!自分自身の価値観とか考え方を深く知ることができる素敵なお話でした!
あと、NPC役を演じてくれたKPの演技力がすごい。感動。もしかして昔子役とかやってた?今からでも良いから俳優業始めないと世界の損失になるんじゃない?大丈夫?

で、このシナリオは自分が遊ぶんで楽しいのはもちろん、他の方がどんなお話になるのか見るのも楽しいとのこと。
遊ぶ方によって、お話の雰囲気が結構変わるらしい。
仕事ができ過ぎるKPは、共通の友人NKと遊んだときの録画をしていて、私のも録画してお互い共有することになった。

これがねぇ、大問題。

なぜならNKが、好感度を上げに来ていたからである。(誰に対して?)

とにかく、全くお話の感じが全然違う。例えるなら、私が遊んだ時のお話はスリラーだったのに、NKが遊んでいる時のお話はハートウォーミングストーリーだったのである。
NKは本当に良い人だ。仲間内の全員が口を揃えてそう評するだろう。それはもうみんなが分かっていることだ。
だからもう十分ではないか!

そういうわけで全部見終わった時、「自分のを見られたら友達やめられる」と本能が囁いていた。これをネタに強請られるかもしれない。こわい。
KPとNK、2人の友人の弱みを早急に握らねばと固く誓う水曜の昼下がりであった。

もちろんNKは普通に遊んでいただけだった…すべてはエム王のSAN値が著しく下がったことによる妄想だった…
~完~


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