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瑞鳳寺の鐘の音

仙台市の中心部からあまり遠くない場所に、瑞鳳寺というお寺がある。観光名所である瑞鳳殿のすぐ近く、というか隣にある寺院である。多分大変由緒のあるお寺なのだと思う。調べたことがないから分からないけど。

この瑞鳳寺、朝の6時と夕方の6時に毎日鐘を鳴らす。みけ子の住んでいるマンションからもこの鐘の音がよく聞こえる。朝と夕方の決まった時間に打ち鳴らされる鐘の音は、なんとも風情がある。音だけ聞いていると、まるで京都か奈良あたりにでも住んでいるみたいな感じだ。気持ちだけ古都の住民ね(笑)そしてここのお寺では、誰でも大晦日に除夜の鐘がつけるのだ。子ども達が小さかった頃は除夜の鐘をついた後、甘酒のお振る舞があり温かい甘酒を飲むのが楽しみだった。

その、今は毎日鳴らされる鐘の音だけど、この界隈に引っ越して来た後に一度だけ鐘がならない時期があった。東日本大震災の後のことだ。

その当時は、現在の場所よりもっと瑞鳳寺に近い場所に住んでいたから、鐘の音はかなり大きな音で響いていた。初めてその場所で鐘の音を聞いた時はちょっとビックリするくらいの音量だったかと思う。でもそれが毎日のことだったから、その鐘の音にもすぐに慣れて、みけ子は特に何も気にせず日常の音の一つとして聞いていたと思う。

しかし、2011年3月の東日本大震災後。1か月ほど瑞鳳寺の鐘は鳴らなかった。鐘楼が地震でダメージを受けてしまったらしいのだ。鐘の音を聞けなかった1か月ほど、実は鐘がならないことに自分は全く気がついていなかった。近所の人にそう言われるまで、鐘がならないことにさえ気づかなかったのだ。それだけ日常が混乱していたのだと思う。

だって、要介護の両親とみけ子家族とで6人。さらに住んでいたマンションが全壊して一時的に引っ越して来た義両親の2名も加わって、総勢8人がマンションの同じ階の2部屋に分かれて住んでいたから。貯水槽が壊れての断水と、都市ガスの復旧が遅れて約1か月ほどはガスはカセットコンロで、水は給水場所に行ってもらってくる生活だった。お風呂に入るのには難儀した覚えはある。電気の湯沸かしポットが大活躍で、その少ないお湯で身体を流したり銭湯やホテルのスパに行ったことは覚えている。そんな、震災の後の混乱した日常のことを、今は毎日耳にする鐘の音を聞くとしみじみ思い出す。

能登半島での大きな地震から1か月。なんとか早く、被災された方には平和な日常が戻ってくることを願っている。



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